消滅都市(非公式) タマシイの生前 《サラリーマン》編
非公式です。
作者の勝手な解釈なので、ご理解の上、お読みください。
今日が初出勤。
スーツに身をびしっと固め、ネクタイをきつめに縛る。
真面目だけが取り柄だった。
通勤ラッシュも今日だけは彼を応援するかのようにまで思える。
“よろしくな新人”
もちろんです。任せてください。
そう答える。
ここで大切なのは、サラリーマンにとっての『ホウレンソウ』だ。
ホウレンソウとは、もちろん野菜の事ではない。
報告。
連絡。
相談。
報・連・相
そしてこの会社では電話の指導について厳しい。
上司からは、“電話は鳴る前にとれ!”
そういわれた。
事実上そんなことは無理だ。
それくらいの覚悟を持て、ということなんだろう。
自分で練習してきた名刺交換。
この一瞬で相手に情熱を伝えてみせる。
そう意気込んでいる。
数日後。
初めて交渉現場に連れて行ってもらえる。
今から楽しみで仕方ない。
彼は、これからの未来に気合と楽しみを持っていた。
この日。この時。
都市で消滅が起きた。