08話 茸狩:サヨナラジュピター 承
注意:ハレンチ描写ナシ。 説明回
前回のあらすじ
バイヤ「吐き出すモノなどない!」
リオ 「自分の亀の頭だけで考えるな! 今持っている肉欲を我慢するから」
バイヤ「 肉欲があるから、我慢できるのさ」
同床異夢精:
同じ床で異性の夢をみて精を放つ
「夢精卵など産まぬのです!」
「さあ、キノコ狩りの時間だ!」
さて、あれから判明した事や新たなる能力の事を話そうか。
ゲームのように画面表示されている装備品その他の内、
それに関連した項目である道具/所持品などで、
まさにチートと思われる『ストレージ』なる項目もあったが。
コレは後日報告しよう。
とりあえず今重要と思われる項目がある。
お金、所謂所持金である。
正確には個人資産である。
ゲームですら生活するのってお金が掛かるよね。
所持金の表示だが何とこれが日本円である。
しかし、幾ら俺が高額の所持金を所有していても、
こちらの世界で円建てで通じるのか?
最重要案件であるこれをリアに確認したところ、
『そもそも自分達は概念は知っているが
お金など使った事がない。
今はもう他所との交流が無いので
他所がどのような単位のお金を
使っているのかも知らない』
との事。
……まあ普通に考えて使えんよな?
使えたらそっちの方がびっくりだよ!
なぜって日本銀行が発行した銀行券だよ、コレ!
「こんなもんケツを拭く紙にもならないっつうのによ!」である。
いや和紙なのでトイレットペーパーが無い時に変わりになりそうだが?
(寧ろ洗えば使い回せる優れもの?)
銀行の預金もどうやってだか降ろせるようだが同じ事だ。
億単位で現金が口座に入っていようが使えない。
現金がそのまま使用できるのならばチート能力なぞ無くても、
数十億程度ならポケットマネーで即金用意できるから。
現金が使えるなら異世界移住でチートできたのだがな。
ドルやユーロの口座も使える様だがソレとて同じ事。
どうなっているのかな?
元の世界と連動しているのか?
それとも俺に付随して持ってきているのか?
まあ、コピーというか造り物の可能性もあるのだが。
元の世界と繋がっているのなら異世界貿易で稼げたか?
……素直にもとの世界で株式投資していたほうがもうかるか。
まして有価証券などどうやって使えと?
どの資産も肝心のこちらの通貨への両替はできなかった。
あれもそれもどの機能も同じく無駄だ!
だが道具ではなくわざわざ資産扱いでコレがあった。
金の延べ棒である。金本位制か?
これは結構大量にあった。
おそらくこれなら使えるであろう。……使えるといいな!
しかし別の意味で肝心の漫画やゲームその他書籍類、
などなど個人の所有物自体はストレージに収められていなかった。
資産や財産の基準がまるでわからない。
しかしコレでは俺のリアルチート能力がまるで役に立たないではないか。
無ければ最初から諦められたモノを底意地が悪い。
- 解せぬ!
一応他にも宝石類も幾らかあったが、恐らく母の遺品であろう。
なぜなら俺は宝石類など集める趣味は無く、
持っているとしたら着もしない背広類のネクタイピンやカフス辺り
くらいしか心当たりは無いが?
まあそもそも、このジオフロント内では金品は必要無ければ
使えもしないのだが。
- そうこの内部は自給自足で完結しているのである。
実は何を隠そう紅蓮達が供給してくれているのだ!
大型の戦闘用? とやらは最早失われたが生き残りの中で
人間大の連中が前から生産していたようだ。
もっとも昔は多くの堕天死族と共に作業していた様だが手が足りないので
リア達は管理のみ従事しているそうだ。
生産物だが食料で言えば主食の米/小麦などの穀物、
それに豆類に始まり、
各種野菜類、又は香辛料。
布を織る為に蚕の育成や木綿の栽培、
その他、畜産、養殖、養蜂まで一通り
栽培を行っている。
それなりに上質な品のようだ。
伊達に何百年も作業に従事していない
……ってそう考えると進歩が遅いのか?
いや、連中の特性から推察するにパートナーと共に成長とかいうやつか?
しかしロボが総出でお手伝いとはまるでウチの屋敷だな。
なぜジオフロント内の流通事情などを知っているかと言うと、
先日ジオフロント内を紅蓮の内の一体が案内してくれたのだ。
……が、途中俺を放ったらかしにしてはぐれてしまった。
まったくトロ臭い奴である。
しかし寛大な俺は慌てず騒がず奴を探して周囲をうろついてみた。
するとうすらでっかい金属塊の後ろ姿が見えた。
ようやく見つけたと近寄って見ると何かが違う。
墓所らしき区画で苔むし蔓にまみれた古い紅蓮が一つの墓標の前で
佇み見守っている。
どうやら奴のパートナーを未だに見守っているようだ。
まあその後リスなど肩に乗せた彼奴を発見して鳥の巣を直したりしつつ
ジオフロント内見学で畑やら田んぼやら養殖場など一通り見て回った。
で、その流れで茸の養殖/繁殖までやっているのを見せてもらった。
まあ、その件で言う事があるとすれば以前このジオフロントの中では
風が吹かないとか言った気がするがあれは嘘だ。
と言うか思いつきで言っただけだ。
後で聞くとちゃんと空調の為に時たま風が吹いているのだそうだ。
無論ソレを利用して花粉や胞子が飛び交い受粉やらなにやら
させているのだそうだが。
まったく不思議な所だ。
実は室内の清掃メンテの類いまでコイツらはやってくれている。
まあもっともあのダダ広いピラミッド型施設はともかく、
面倒を見る人間は最早3名……いや俺を入れて4人だけだが。
掃除/洗濯にと小型の円盤がチョロチョロと何やらやっているのを
時々見かける。
変わった処ではCD大の円盤がCDの如く回転して何やら音楽を流していた。
また、リアに聞いた話だが(お茶会の話題にでたのだ)
このような地下世界は他にも南方の極大陸や暗黒大陸とやらにも
あるそうでさして珍しいものでは無いそうだが。
近くにも、っというかほぼ隣の富士山?
にも地下に洞穴やらナニやらがあって其処に巨神達が住んでいるらしいが?
最も、これもほぼ絶縁と言っていい状態なので
(ご近所付き合いしてないらしい)あまり関係もないか?
まあ引き蘢り達には関係の無い次第である。
* * *
朝食の後連れ立って茸が取れると言う森林区画に向かう。
天使ちゃんはなんだか嬉しそう。
その天使ちゃんだが女の子なので
まあ似たような恰好だがちゃんと別のお洋服に着替えている。
俺のような着た切り雀とはえらい違いだ!
まあ今では全裸だがな!
天使ちゃんはキノコ好き、
今日もキノコ狩りでキノコをどんどんと摘んでいく。
天使ちゃんマジ天使ちゃん!
リティちゃんは可愛いな!
俺の妹になーれ!
その美しい銀髪に映える小さな可愛い麦わら帽子。
時折風で膨らむ真っ白なサマードレスは逆光になると
僅かに透けて見える?
シルエットが! 体のラインが!
無論●RECだ!
ちなみにこれらの服はリアの手作りだそうだ。
本人の服は同じデザインの黒いドレスが無数にあるそうだが、
妹に対しては気を使っている様だ。
リティちゃんが嬉しそうに微笑むと幸せそうに微笑み返す。
そうそう、天使ちゃんだが
よくぬいぐるみを持ち歩いているのを見かけていたのだが、
よく見たらアレぬいぐるみとは少し違った。
物が入れられるし肩に掛けれるよう紐が付いているので
ポシェットとかの物入れの類いのようだ。
茸狩りできるよう中は竹で編んであり底がむき出しになってる。
(胞子を落とすよう)
デザインは茸。『セコモだけ』で有名なマスコットのような
茸のデザインである。
セコモとは:secomo
日本最大最大手の警備会社にして
一大通信事業者でもある一大企業の一つ。
嘗ては西側各国の依頼で共産圏への貿易の規制検査も
独占して手がけていた。(通称セコモ規制)
まあこの事業は冷戦終結後ソ連が崩壊すると
SECOMO規制の意義が薄れたため解散した。
追記:この兵器輸出規制協定は後のワッショイ協約に引き継がれた。
ココも当然ウチの警備に参入していた訳だがテロは防げなかった。
- 役立たずめ!
閑話休題:
ともかくセコモ岳に住むと言う茸の妖精セコモくん
(茸”たけ”は”だけ”とは濁らない)とよく似たこの妖精?だが、
天使ちゃんが、
「この子の名前は熱血軟派 樹皮夫くんです」
っと、紹介してくれた。とってもいい笑顔である。
しかし時折つぶやくジュピタとはなんなのだろうか?
「キノコは森の精たちです!
さあ森の精たちに遊んでもらうつもりで森に接しましょう!」
次回 9話 茸狩:サヨナラジュピター 起承-転-結
もうちょっとだけ続くんじゃ!
8話 茸狩:サヨナラジュピター
承 - 意義 受け継ぐ・受け入れる