07話 茸狩:サヨナラジュピター 起
注意:皆ハレンチ好きね! ちょっとだけよ!!
今までのあらすじ
「チート転生したくないか? ならば三遍回って無念といえば-」
「- 無念!」
異世界にて、
「問おう!……貴方が私の運命の人か!!」
「熱いよ! 狭いよ ! 苦しいよ!」
炎、そう炎の海である。
それも煙と霧のようなスプリンクラーの入り交じった
蒸し暑いなど生易しい高温の蒸気のモヤの中家族を求め
必死に這いずる小さな影がある。
全身を煤まみれ、
血まみれにしながら残った右目で家族を探し求める。
「とうさま……、
かあさま……、
……こ……うめ」
* * *
それは翌朝の各社新聞朝刊に
『三友財閥当主、松竹一家テロの襲撃に…』
と言う見出しが一面を飾った大事件であった。
この事件はイスラーム国家からの武器技術供与を断った為の報復だとか
無心を袖にされた中韓民国や北チョンセンのテロだとか言われたが、
数多の人員による大捜査が行われたものの結局真相は闇の中に終わった。
これはそんな昔にあったお話。
もう終わってしまった事件。
癒えぬ傷。
過ぎ去った過去。
あるいは未来に起こり得る新たなる事件の布石。
そして彼の悲しい思い出……
* * *
ガバッ うっ苦しい……。
なんだ? ? ?
一体どうして……?
……ああ、そうか、いつの間にか寝ていた様だな。
くそっ、嫌な夢を見た。
……誰だ今夜は眠れないなんて言った奴は。
見回すと、やけに苦しいと思ったら彼女達が俺にしがみついていた。
「そら苦しいわい!」
道理で悪夢をみた訳だ。
しかし寝苦しくないのかこの連中?
だが随分とうれしい苦しさだったな。
……あの事件に比べれば。
しかしなんだ、リオの奴が一番寝相が悪い。
もう少し大人しく寝れないのか?
っと布団をかけ直そうと近づくと、
ガフッ 「ソゲブッ」 キュー
良いパンチだ。
咄嗟に躱そうとしたが狭い押し入れの中、顎先を掠めた。
脳がいい感じに揺らされる。
ああ、俺の幻想がぶち壊された。
* * *
- 鮮やかな朝がきた理想の朝が。
くっヒドい目にあった気がするが?
っと、起き抜け? の目の前に小柄な少女の影が。
「なんだリオか、皆はどうした?」
「お姉なら今度は当番なのでリティを連れて先に帰って行きました!」
「それならなんでお前はそこにいるんだ?」
「私は確認のために残りました!」
「確認?」
「お姉が言ってた、
『男性は擦ると生命の素を吐き出す』って!」
っと、詰め寄ってくる。
「……何の事だ?」
一応とぼけてみるが。
「さあ、生命を生み出す素を吐き出せ!」
「……吐き出すものなど
……無い!」
って、
「おいこら! 何で俺は縛られている!」
「……今頃気付いたの?」
「誰かさんのせいで、未だに頭がクラクラするんだよ!」
などと大口開けて叫んだのが運の尽き。
ハガッ! 口に何か布切れを突っ込まれた!
なんだ? 吐き出せんぞ!
「まあ、それはいい」
こっちはよく無い。
「ささ、早速始めましょう!」
と、言って真正面に座り込む。
すると短いスカートからパンツ丸見えに……。
って ちょ ま、おま…… 履いてない!
ってことはもしかしてさっきの布切れは……?
とかナントカ混乱しているうちにリオの奴が素足の足裏で
『ボクの亀さん』をカニばさみしてきた。
わーい!
水辺の生き物で一杯だー! って……。
「ここか? ここがええんか?」
ああ 柔らかい足の裏で 挟まれて……。
ソレに丸見えのおかずを前に足で漕きおろされてしまうと、
俺はー、
俺はー。
もうだめ、これ以上耐えられま -
* * *
「-しぇん夢〜」
ふと、気が付けば知ってる天井?
押し入れでも天井でいいんだよな?
いや、天板か?
って、なんだ……夢か!
ふっ、思春期の若造の様な夢を見てしまったな!
コレも女臭いところで眠ってしまったせいかな?
俺もまだまだ若い……って、
「……ねっ、テントが建てられているでしょ?」
「本当ですっ!」
「中はどうなっているのかな?」
って、
「こらー! 何やってるー?」
すると、にこやかに皆そろって
「「「観察!」」」
いいお返事だ! ……だが困る!
しまった。油断していた。
……もしかしてコイツらこの為に一緒に寝てたのか?
PS.
さすがに夢中の出来事まで●RECされていませんでした。
おのれ〜おのれ〜。 ゴホン。
がんばれよ、チート能力。
* * *
今日も朝食をごちそうになった。
リオの手料理は美味い!
いいお嫁さんになるな!
そして今朝は和食風だった!
「そうか、リティちゃんは椎茸ちゃんと食べれるのか。
えらいねえ……誰かさんと違って」
プイと顔を背ける誰かさん。
夢の中の出来事とはいえいい仕返しだ。
それにしてもこいつの魚の食べ方だが、
頭も腹も食べず背中をちょっとづつ食べている。
小さい女の子か?
ってそうでした。
「この子はキノコが大好きなのよ。
椎茸でもしめじでも。
でも大好物なのはやっぱり松茸かしら」
「ヌルヌルとしたとろろも好きです〜」
「里芋もね」
天使ちゃんは意外に渋好みだな。
食育の成果か?
それにしちゃもう一方の妹は……。
「まあもっとも基本的には天国のように甘いか、
地獄のように辛い物が大好物みたいだけど」
……何か根本的に問題があるのかな?
「それで松茸は丸焼きを頭から……
はしたないけどこう『カプッ』と丸ごとくわえて
頬張って食べるのか最高よね!」
「サイコーにジャスティスです!」
「美味しいですよね!」
「まあ、この子達の場合まだ小さいから、
松茸も小さなもので十分だけどね」
っと言ったところで朝食終了。
「「「「ごちそうさまでした!」」」」
* * *
食後の休憩中、
「今日は制御室へ行かなくていいのか?」
ふと尋ねてみた。
「今日は昼まではリオにまかせているわ、
お昼まではリティの茸狩りにつき合ってその後朝まで詰めるつもり」
「朝までって、徹夜か?」
俺は徹夜は得意だが、うら若き乙女には美容の敵だろうに。
「大丈夫、あの中で寝ることも出来るのよ。
寝てても半自動で制御されているし」
「いる意味あるのか?」
「脳の一部を使ってるらしいわ? くわしくは知らないけど」
「まあそれでいいなら、別に構わんが」
しかしキノコ狩りか、した事ないな。
「俺もつき合っていいかな?」
「ええ、リティもよろこぶわ」
それでは早速支度をしようか。
っと、いってもカゴを持つだけだが。
コレは装備にならないようだな。
どういう理屈だ?
……まあ、いい。
さあ、キノコ狩りにでかけようか!
次回 8話 茸狩:サヨナラジュピター 起-承-転結
最終回で夢落ちって最悪ですよね?
でも途中でならセーフだと思うのです。
7話 茸狩:サヨナラジュピター
起 - 意義 おきる、おこす。はじめる。