05話 居候:カプセルホテル 中編
注意:ハレンチ警報。
前回のあらすじ
時を遡る俺! 今(3ヶ月後は)三姉妹と仲良しさんでウハウハだぜ!
部屋を充てがわれた。早速巣作りをば。
チート能力探索だ!……謎は全て解けた!!
爺はマニアック!!!(壁ドン!!
5話 居候:カプセルホテル 中二編
……新機能が判明しました。
何と眼鏡がマスクになります……なんかヘルメットみたいなツルツルなの。
これではまるで黒い照る照る坊主!
もしくは吊るされた烏避けの錆びた銀色の鴉の様だ!
魔眼によりメガネをマントと連動させて操作していくとメガネがこう”バッ”と展開して頭全体を覆うように被さり一体化。
これで防備は完璧だな……だが全裸だ! クソッ!
あとメガネはマントと同様首もとの金具にしまえます。 - 便利!
そんなこんなでチート機能で遊んでいると部屋に呼び鈴が鳴った。
誰だ、またテリアス嬢か?
……って他には一人しか居ないじゃ……、……、……。
いやあの紅蓮とか言う円盤ロボ軍団やも知れぬ。
ヌウッ、ぬか喜びなどしないぞ!
「どうぞ」
まあ別に誰か確認しなくても入ってくれば解ることだし、そもそも警戒する理由もない。
女の子のお誘いとか別に期待していない。
- ソソクサと身なりを整える。
「お邪魔するわよ。今宜しいかしら?」
「それは構わんが、どうした? なにか話か?」
別に期待などしていなかったからな、別に女の子が部屋にいるだけで浮かれているなどという事はないぞ。
「良い機会だから、貴方をもう一人の妹と会わせたいと思ってね」
何、妹とな!
* * *
またぞろエレベーターを使って今度は更なる地下に向かって降りていく。
エレベーターでの移動時間を使って、
「……で妹は今、制御施設で私と交代でこの箱庭世界の管理をしているの。そして……」
などと、もうひとりの妹とこのジオフロントの説明を受けること暫し。
だんだん眠くなるな……っていかん、いかん。
しかし、まるで地獄の底にでも向かうようだな、まったく。
* * *
ようやく到着したエレベーターを降りる事しばらく。
俺たちはズンズンと歩いていく。
……動く歩道じゃないのな。
そして歩きながらも、説明は続く。
「ここがこの施設、いえ此の地の中心地、最重要区画」
「いいのか、そんな大事なところへ俺なんかを招いて」
「いずれ貴方にも - になって -
- ってもらうのだから 慣れてもらわないと」
「えっ、なんだって?」
マジよく聞こえなかったんだが?
「着いたわ」
と、前に向き直ろうとするとなんかグラッときた。
んんっ? あれ? なにかが向かってくるぞ?
よく見えないので目を凝らしてよっく見てみる。
すると何処からかエイの腹のような、アワビの腹のようなクリーチャーが突然顔面に飛びかかってきた!
グヌヌ。無論躱そうとするが……。
「っ早い、って……わ……割れている大断裂……がっ、
モガモガ(フェイスハガーだと!)」
ハッ!
「……なんだ今のは」
録画記録を調べてみたが、やはり何も記録されていなかった。
「……白昼夢? いや我が魔眼が見せた未来予知かなにかか?」
ふっ! リアルチート能力を得たのも考えものだな!
などと気取っていると、
「どうしたの? 着いたわよ?」
と、少し呆れたような調子で声を掛けてきた。
いやなんでもありません。
* * *
其処には少女が透明なカプセルの中、水につけられ浮いていた。
「……水死体!? 標本か!?」
「……ちゃんと生きているわよ。あの中でも息ができるし」
などと俺に答えるとテリアル嬢は少女に向かって言い放った。
「交代するわ、出てらっしゃい」
すると、液体の中で彼女の目が開き、周囲から泡がシュワシュワ出てくる。
そして何やらメカニカルな展開が目の前で起こっていく。
っと、やがてカプセルから水溶液が全て抜けて行き、おもむろに扉が開いた。
って、彼女は衣装をまとっていないじゃないか。はしたない(喜
水溶液のカプセルから生まれてきたのままの恰好で雫をまき散らしながら出てきた少女。
やはり小さいな。まだ小学生の高学年位か?
彼女が、えー……、そうリオシティ? だよね。
「いいかげん濡れたまま体を拭かずに出歩くのは止めなさいと、あれほど言っているでしょ。ほら、ちゃんとタオルで身体と拭きなさい」
「お姉は口うるさい」
この少女、いかにも生意気そうな、それでいて上品な教育を受けているらしい気品の高さを感じさせる。
と、こちらに気付いたようで、まるで品定めでもするように俺を眺めてくる。
しばらくすると少女は、
「……本当にいたんだ。 全裸マン」
とか、抜かしてきやがった。そこで思わず、
「お前などまるで生えていないじゃないか!
(お前こそ全裸じゃなか 服を着ろ!)」
っと言ってしまった。
いかん! 思わずショックで本音と建前をいい間違えた!
別になんだ、そこにずっと目がいっていたから……釘付けだったからと言う訳じゃないんだ!
ただ俺は……えーそう、アレだ。
『お前が全裸をのぞく時、こちらもまたお前をのぞいているのだ!』
っと、いう事を解らせたかっただけなんだ。
うん、そうだ、そうに違いない!
すると、小生意気にもムキになって言い返してきた。
「お姉だってちょっとしか生えていない!」
いや、そんな個人情報おいそれと漏らしちゃいけません。
とにかく窘めなければ。
「コレ! もっと年長者を敬いなさい……」
と言ってる最中にいきなりこちらに駆け寄り飛び込んできた。
「とー」
いきなりの先制攻撃? 飛び蹴りか?
だが、やすやすとそう簡単には……アレ? これどこかで?
「っ早い、って……わ……割れている大断裂……がっ、
モガモガ(フェイスハガーだと!)」
決して目を奪われた訳じゃないぞ! ただ男性には回避不能なだけだ!!
「ふがっ」
しかしなんだこの感触。細やかかな肌触り、まるで吸い付くかのごとく顔面にフィットしてくる。フォオオオオオ!
暖かく柔らかく、そうまるで命の故郷に還って来たかのごとく安らかな感覚。
まるで息苦しさを忘れしまう……ああいい香りだ。このまま天国に……
などと呼吸困難に陥いり苦しんでいると、
「はっ鼻が……当たって! ……擦れて! きゃん! ……息が! ……息が!」
とか言ってきやがった。
そちらが勝手に締め付けてきているんだろ?
しかしこのままヤラレっぱなしのままじゃな! ペロリ……此の味は命の素!
「きゃいん!」
ん~この塩味は……水溶液の味かなぁ?
「舐めちゃラメ〜……ってナニ? なんなの……コレ? ……んっ……この……感覚! こんなの……初めて!」
などと言ってきだしたがやがて、
「ヒックッ……ヒックッ……ぶええぇ~ん ……お母さあぁ~ん……ヒックッ……怖いよ〜」
その後ビックッと反応したかと思うと瞬間硬直し……弛緩したときに惨劇は起こった。
「ウッキッ……ふ〜う〜~」
あえて何が起こったかは秘そう!
ただ一言だけ言おう! お前はセミか〜!!
それでも彼女は腰を擦り付けてくる事を止めませんでした。……解せぬ。
匂い付けか?
なお、後で録画記録を調べてみるとちゃんと録画されていた。
そこであえて言おう、手振れ補正機能万歳! っと。
次回 6話 居候:カプセルホテル 後編
メイドの居ない生活などできない、執事はいらないが……
っと今までは思っていたが、
……妹ってやっぱりいいものだな! 妹万歳!
妹がいるだけで人生薔薇色! 妹サイコー!
……そう薔薇色で最高だったのだろう……なあ小梅……。
●REC で記録された録画映像の数々は彼にとってこの世界での最高の宝物。
しかも脳内再生、脳内管理のためその存在は誰にも知られません。