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28話 襲撃:1 シンゲキ

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富士山 地下 新影の里 -シャンバラ-


 久々(気まぐれ)に神棚に置かれた命の鐘が鳴る。


 それに気づくや、首領はあわてて薄暗い室内のその壁際に立てかけてあった玻璃の鏡の覆い布を取り外すと中身を取り出し、手慣れた様子でその金具をいじり姿見の形態からテーブル状に展開していく。


 そして玻璃の鏡の鏡面に命の鐘を近づけるとその積層ガラスの鏡に地図が立体的に浮かび上がる。

 その上に鐘をダウジングの為かざし最も強い地点の反応を確かめる……などと細やかな作業をしているとなにやら天井から下座に向かって影が降りてくる。


「はは、お呼びでございましょうか?」

 下座で跪く赤き(仮面の)影、自称ナンバーツーの男、赤影である。


 実はこれらの作業の間に首領は伝声管(隣室に声を伝える鉄の管)により人をやって、こ奴めを呼び寄せていたのだ。

「ふむ、実はひさびさにデーヴァの鐘の反応があったので、それによりデウスの鐘の、魔狼皇の場所を探査/特定したので直ちに出撃せよ」

「ははー」


 しかし、気まぐれにしか反応しないのは困りものだな、などと首領は内心思っていると

「しかし、気まぐれにしか反応しないのは困りものですな!」

 などと赤影はのんきにも言ってくる。


「ナニをのんきな事を言っている。そんな事を言っている間にさっさと取り返しにいけー」

「も、もうしわけございません」

 要らぬ勘気を買い慌てて飛び出していく。


 ……そういえばあの赤影今更ではあるのだが、かつて「成功するまで帰ってくるな」と言われたはずだが、なぜまだ里にいるし、またいる事を知っていながら首領は何も言わなかったのであろうか?

 ……きっとまだ出かける準備の最中だからであろう。けっして勢いだけで怒鳴り散らしている訳ではないはず……である。


 そしてその様子を影で一人伺いほくそ笑んでいた者がいた。

 首領のバカ息子である。先頃威勢よくとびだしたものの魔狼皇の居場所を知らない事に気づきさっさと戻るもそのまま茶でもしばきながらぶらぶらと振ら付いていたのだったが、火急の使者を目撃してこれはと思いこうして物陰で様子を伺っていたのだった。

「ハンターチャーンス!」



   * * *



 ここは山腹にある偽装飛行用カタパルトの発着場。

 まあ、カタパルトと言うよりスキーのジャンプ台のような気もするが。


 あれから喜び勇んでバカ息子ことひろしは希少な航空装備を私物化(カスタマイズして名前までつけるしまつである)……もとい特別に占有させてもらっている機体を使っての緊急発進の為にやって来たのである。

亜室号あむろうごういっきまーす」

 とは言えこの機体実は高性能なハングライダーでしかない。あまり遠距離には向かないのである。

 そこで毎度助っ人の運び屋を呼んで機体を曳航してもらうのである。


「ええ、宜しくてよ!」

 その者は大型の猛禽の姿をしていた。だがその声から実は女らしいという事以外単なる獣人なのか知性ある霊獣なのか況してや鷲だか鷹だか隼だか(いや梟で無い事は確かなのだが)、高額な費用を請求する事以外まるで知らないわからないのだ。それでも彼はさして気にもしていなかったので詮索などしなかった……大物なのだろう。

「さあ、僕の神掛かった一撃-神撃-を見せてやるぜ!」


「ドッキングポート展開願い、光学照準投射よろし、射線軸合わせ開始」

「ユーハブコントロール 」

「アイハブコントロール」


 危なげなく発進したハングライダーのその上部に設けられた取っ手を猛禽の足で掴み、そのまま指定された目標まで曳航する運び屋さん。あっと今に山岳から飛び立ち小さな黒点になっていく。


「ははははっ開放的だな〜」

 彼らが飛び去った後、そこにはなぜか雨も降らぬのに虹が架かっていた。




    * * *




 一方そのころ首領の命を受け魔狼王を探査捕縛に出向いた赤影一行であるが……

 赤影と同様に猛禽の姿に変身した者4名とその足に捕まった各2名の黒ずくめの下忍、計12名を引き連れて目標地点上空へと到着していた。


「よし、二名は地上要員を索敵の為投下後同様に空から索敵を開始せよ」

「「了解」」

「残りはこのまま低速飛行で待機」

「「了解」」


 赤影の部下は下忍を適当な地点で投下するとそのまま左右に分かれて索敵に向かった。

 すると間もなくちょうど谷間から出てくる一行らしき人影を発見したのだ。


「進撃せよ!!」



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