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27話 価値:カチカチヤマ

なんとかGWを利用して書ききった……ヒキニートが外出などするから。

- 足柄山某所 -



ああ、空があんなにも蒼い。

鳶が空を舞っているのが見える。


しかしなぜゆえにこんな事になってしまったのか?

そう計算違いは登山で体力を使い果たしたことか……


「もう十分休憩したでしょ? もう行かないと」

「もうでは無い、まだだ! それに俺は静止しながらもすでに超音速に達している」

 そうこうやって倒れこみながらも尾根伝いに歩いてきたのでだんだんとズレ落ちてきているのだ。

 俺の算数の計算によればその内だんだんと加速していき超音速にまでいたるのだ。

 楽でいいな。


「また訳のわからない事を……」

「もう、しょうがないなぁ~」

 そう言って彼女? はどこからか柴と薪を載せた木製の背負子を取り出し俺に背負わせた。

「大丈夫! これを背負えばちゃんと走っていけるよ!」

「うむ、そうなのか? だがただ重いだけでいっこうに歩けるとはいっこうに思えないのだが?」


 などと呑気に言い合っていた。その最中、いつの間にか双子のもう一方が俺が背負った柴に火打ち石で火を付けけているとも知らずに。


 そしてふと、火打石の打ち合わさる「かちかち」という音を不思議に思った俺が

「おや? どこかでカチカチと音がしないかい?」

 っと、目の前の彼女に尋ねると、アマゾネスの少女? は

「あれはカチカチ山のカチカチ鳥が鳴いているんだよ」

 っと、朗らかな笑顔で答え、

「ははっそーなのかー」

 っと笑顔でこちらも答る。

 会話が途切れ、沈黙の中待つことしばし。(ここまでワンセット)


 まあこの後すぐに、この時火打石が使用されていたのだと思い知ったのだが……っと、諸君は火打石なる存在をごぞんじか? ああ、このようなレトロな道具、如何程の者が知ってるのであろうか? ……まあいわば昔のライターのようなものである。


 そう『火打石』とは、読んで字の如し。自体はチャートと呼ばれる放散虫・海綿動物などの動物の殻や骨片(微化石)が海底に堆積してできた岩石である。

 それは、火口箱ほくちばこもしくは火打箱ひうちばこと言う火打石・火打金を使用する火花式発火法で火を点けるための道具一式が入った携帯用の箱として持ち歩き運用されていた。

 

 - そも火打石による発火原理とは、鋼鉄製の火打金にこの火打石を打ち付けることにより剥がれ落ちる鉄片が火花となるもので(ちなみに基本火打石同士を打ち合わせてもロクに火花は出ないし鋼鉄同士などでも同様)これを打ち付けて火花を飛ばし、この火花を着火しやすい火口ほくちに点火し火種を作り、次に薄い木片の先に硫黄などを塗った付木つけぎ等を用いて点火した。(火口にはキノコや朽木やガマの穂などを焼いた消し炭などが用いられた)まあ、まんまライターと基礎原理は同じである -


- 閑話休題 -


「……って、あれ? いわゆるカチカチ山って富士山麓の河口湖畔に聳える「天上山」のことじゃなかったっけ? だいたいまだそこまではいっていないはずじゃ?」

「チッ、気づいたか」

 そんなのん気なやりとりの結果、火が薪へと燃え移り全体に行き渡るのに十分な時間稼ぎをされている以上、

「ouch!(アウチ!)」

 必然的背中に背負った薪がバーニングな俺は叫びながら近場の湖? へと駆け下りたのだ。

 これぞ世に言う、かちかち山走法  - ニートをも走らせる画期的な方法 - である。




   * * *




「なぜやった?」

 と、湖面からあがり生き悶えだえな俺が問い詰めるも

「富士山にちなんで盟神探湯かな? このままでいいのかどうかの」

 などとはぐらかす。やっぱり怒っているな。


『盟神探湯とは富士山に鎮座して東日本一帯を守護する木花咲耶姫もやった火によって有罪無罪を確かめる神明裁判である』



うんちく:


 カチカチ山でウサギがタヌキを懲らしめるために行う火責めと水没といった事柄は、決してタヌキを無意味に痛ぶるために行われているのではない……と、思う。ゴホン、これは世界各地や日本でも古代から中世にいたるまで政治的にも行われていた神明裁判の一形態である。いわゆる「盟神探湯くがたち」の考え方にちなんでいるのだ。ウサギは裁判官の役目を担わされているだけなのである。そうカチカチ山とは、もしタヌキが無実であるならば、やけどもしないし溺れもしないはずだという暗黙の前提で書かれている物語なのである。 - 以上


 ……って、それなんて魔女裁判? いや魔女裁判も神明裁判なのだが、神明裁判怖い!

 しかしこれはYama(閻魔)の裁判なのか!  

 って、そういやその異名の一つ“雙王”は兄妹一対で、またヤマにはヤミーという双子の妹いるとのことだったな!



「しかしいつの間にこんなもの用意していたんだ?」

 俺は燃え残ったその背負子の残骸を手に持ち、話題をそらす。

 だいたい背負子など出てくる時には持っていなかったはずだ。


 すると簡単に疑問に答えてくれる。

「ああ、それならさっき話す前にその場で倒木とかからパパって作り上げたんだよ、まあ素手で簡単に」


 そしてその素手でもっておこなわれたのであろうその斧で断ち割ったような断面を眺めて思った。

『こいつらには逆らうまい』

 っと。

 だが、疲れているところにさらにこの所業、

「もう歩きたくない!」

 と愚痴も自然とこぼれる。


「さて、結果も出たことだし」

「さあ、早く行くよ?」

 と、問答無用で倒れこむ俺のシッポをムンズと握りしめ引っ張ろうとする。

 俺の男の価値にいきなりナニをする! って

 だめーもう抵抗できないー! そのシッポをつかまれると男は力が出なくなるのー 新たなる価値観-ーー!

「あれ? だんだん手の中で大きくなっていくよ?」


 女子諸君、実は男は尻尾を有した状態で、まんけつ、またはそれを模したパワーホールを目を凝らして見ることで、尻尾が膨張し大猿(隠語)に変身しサイズは通常時の10倍にはね上がるのだ。十二分に注意されたし。(一部誇張が入っております)

 ちなみに大猿化すると、程度の低い下級階級などは理性を失い凶暴化するが、俺のような自意識の高いエリートは理性や知性を保ったまま行動することが出来るので安心だ。などと逃避してみる。っと


「なんか、ますますどんどんと硬く大きくなっていくような?」

 べ、別にこのまま引きずられていくのがいいとか言うんじゃないからね!


 ……って、今握っているのは兄と妹どちらなのだろうか?

 そんな疑問がふと湧いてきた! すると……


「あれ、今度はどんどんと縮んでいって持ちにくいな~」

 もうやめてわたしのライフはもうゼロよーーー!



 すると見かねたのかこの見回りに同行していた無数に存在する(人間大の直径を持つ)紅蓮の一体が円盤状のその体を回転させながらまるで轆轤を使ったように変形していきお釜のような形状になる。

 ん? これ簡易コックピットなのか?

「そうか、載せてくれると言うのか! お前いいヤツだな!!」

 しかも、わざわざ傾いて載りやすくしてくれると言うバリアフリー体勢。なんとも親切設計なヤツである。


 そして魔の手から逃れ這うようにして乗り込んでいく。

「ふむ、なかなかの載り心地ですね……結構、ではまいりましょうかお二方」

「「なんかいきなり偉そうになった?」」


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