18話 警戒:ジタクケイビイン
あれからであるが、
アッシュヴァン双子にはここの軍事アドバイザー的な役職に着いてもらった。
とは言え、所詮はよそ者であるので、
周囲の政情の監視と紅蓮達と一緒の巡回警備による視察を頼んでいる。
一応名目としては、最近周囲がきな臭くなってきたので
世情に疎い我々に変わって監視して欲しいという事を言っているが
真相は外部の者をあまり内部には入れておけないということなのである。
そして俺にあたえられた役職は自宅警備員である。
ふっ、前職もそうであったがな。
そうなぜか俺は既に身内扱いなので内部の警備を任されているのだ。
……まあ特に何かをする訳でもないが。
なので暇なので他になにか仕事が無いかとリアにかけ合うと、
新しくソムリエとして蔵にある酒類の判別管理を任される事になった。
バトラーと言う気もしないでもないな。
前にソムリエの講習に出た事があると言ったら、
(長らく引きこもっていたので爺やに興味があるならと、誘われたのだ)
大人がいなくなったため酒類を消費する者がいなくなって
持て余しているそうな。
酒蔵に以前から溜め込まれたものや、
新しくつくったものなど消費される事無く、
毎年新酒が溜め込まれているので一度整理して欲しいと頼まれたのだ。
場合によったら外部に輸出する事も考えているようだ。
最近は3姉妹がやってきて寝苦しいので夜が明ける前にそっと抜け出して
他と時間がかぶらないように早朝のウチに風呂に入る。
そして二度寝する。
朝遅くに起きて皆と一緒に朝食を取り
朝のウチに酒の味見をして昼前には仕事を終える。
酒の味見といっても
アルコールを積極的に摂取する趣味はないので
用意された容器に
”ペッ”する。
なんでも後で再利用するから不純物など入れないで
と注意を受けている。
なんだろう?
どう言う再利用をするのかな?
エコロジーでリサイクルだよな?
それは兎も角、
ようは朝寝、朝酒、朝湯の毎日である。
まあ例え、元の世界であっても一代で身代を潰す事はないがな。
なにせ好調な商売で身代を潰すなど
無能な働き者の仕業だと俺は思っているからな。
有能な怠け者である俺は名目上の会長職を歴任していたが、
月に一度の介入で各会社の業績をあげてきたのだ。
* * *
まあ、それは兎も角、
相変わらずお隣がきな臭い。
どうにも近年、各地で不審な集団が暴れ回っているようだが、
その正体はかの連中らしい。
そこで双子に聞いた話ではあるが、
『シャンバラ』という組織に対する
この世界の一般的(支配者層/知識階級の)間の認識というのは、
霊的指導者である『大師』達。
そして彼らが率いる『秘儀参入者』達が
神々への道と至る為に日々修練している修練の場。
そんな神秘の地下の国だという事だ。
ちなみに、一般的なシャンバラに住む者達であるが
通常の人々より長生きで老化の速さも非常に遅く、
また修行を修めた者は神秘の力を振るうまさに神秘の民である。
という者達だそうだ。
さらに詳細を聞くと、
元々は遥古代にデーヴァという種族の神々が
自らの都として創り上げた地下世界であったそうだ。
が、やがて外部から段々とそこに修行者らが集まり、
そこで神々の後継者足らんと日々研鑽を積む修行の聖地となった
っと、いう事だ。
そう、つまりシャンバラとは
高度な文明の精神社会であり、
超能力的な力を含む超人的な特異能力を持つ
極めて長寿な半不老の人類が住まう『改竄人間』達の巣窟であるのだ!
そんな極めて危険な連中がとうとう野放しになったのか?
また、現在周囲に猛威を振るい始めているというのは?
既に対岸の火事では無い。
故に警戒を厳にしなくてはならない。
そう言う意味で、かの双子はいいタイミングでやってきたと言える。
まあ、とは言え、ウチの警備網を突破できるとも思えんがね。
紅蓮様々である。
などど思っていると、
とうとう事態が動き始めたのだった。




