14話 女傑族:アーマーゾーン
- アマゾネス、又はアマゾン -
皆さんご存知ギリシア神話に登場する女性だけの部族の事。
一応南米のアマゾンの語源の一つに挙げられる。
(侵略者である欧州人が密林で女戦士に襲われたからだとか)
日本じゃ
『アマゾネス』
が種族名で
『アマゾン』
が土地の名前のようにも思われているようだがな。
実はこれらは本来同じ言葉が訛ったモノである。
そう、本来はすべからくアマゾーンと呼ぶらしい。
まあ俺はアマゾネスと呼ぶがな。
それで件のアマゾネスだが、実はこちらの世界にも存在する。
この世界の『アマゾン海周辺の女系戦闘集団』の事を指すそうだ。
『アマゾン海』
……確か黒海の古い呼び名だったような?
だがこの世界のアマゾン海とは何処にあるのか?
- かなり西にあるそうです。
……まあいい。
そもそもなんでアマゾネスなんて言葉が出てきたのかというと、
実は拾った女の子達の出自がアマゾネスだからだ。
そう行き倒れでいた二人は自称アマゾネスだったのです。
しかも東国無双と西国無双の称号を持つ双子の少女達。
さすがアマゾネス、おっかねぇ。
大体何でリアの奴が身も知らぬ行き倒れを拾ったかと言うと、
「手甲に東国無双と西国無双の紋章があったのを発見したから」
だそうだ。
(これも例の書物に載っていたで紋章を見たことがあるからだとか)
なにやら重要人物そうなので救助の必要性を感じたようだ。
ちなみに別名で
西国無双を『聖帝』、
東国無双を『拳王』
とも呼ぶそうだ。
果たして帝と王どっちが偉いのか?
まあ、異名なので特に意味はない様だがな。
そう、その称号は認められた者のみが名乗ることを許されたもの。
無敵の戦士の称号の一つであり、この子達は無敵の戦士様達なのだ!
世紀末覇者にでもなれそうだ。
とてもそうは見えんが。
* * *
長い金髪を結わえているボーイッシュな女の子が
ナースティヤ=アッシュヴァン。
もう一方の長い金髪を結わえているボーイッシュな女の子が
ナースティア=アッシュヴァン。
ってどちらも同じ顔と姿だ!
……まあ、双子だから当たり前か。
一応区別をつけるポイントは
『右手』に手甲を付けている方が『ナースティア』
『左手』に手甲を付けている方が『ナースティヤ』
だそうだ。
……あれ? 逆だっけ?
うん、とりあえずどっちらもアシュヴィンさんとお呼びしよう。
しかしアマゾネスと言えば、
弓を射るのに邪魔だからとその胸をえぐると聞くが……。
くすっ、彼女達には関係ない様だな!
まあ、ウチの女達にも関係ないがな!
……よもや既に切り落としているなんて事ないよな?
ブルブル、まあいい、どうせ俺には関係ない話だ。
別に怖くなったからじゃないぞ!
「いやぁ、どうもすいません。
行き倒れていたところを助けて頂いてありがとうございます。
あっ、おかわりいいですか」
「もうお腹がすいちゃってすいちゃって、
もー、1週間も何も食べてなかったもので」
それで女の子にしてはがっついているのか。
駄菓子菓子
1週間も強制ダイエットでなんで死ないの?
頑丈すぎでしょ!
まあなんにせよだ。
「そろそろ落ち着いたかな? それでいくつか質問をしたいのだが」
「はい、食べながらでいいならどうぞ!」
……まあ、いいか。
「そもそもなんで君達行き倒れなんかになったのだ?」
「いやぁ、実はいま放浪中でして」
「次の仕官先を探してあちこち彷徨い歩いていたもので」
「なにせ旅行中街道の周辺では、いろいろ規則がありますからね」
規則?
「むこうから襲撃されたのなら兎も角、
周囲の森に立ち入っての狩りなどは禁止されているのは厳しいですよね」
「それに草や木の実のような食料集めもできないので
しばらく食料の補充ができなくて難儀していたんです」
「……不躾な質問だが、
なぜ放浪など?」
ニートからしたら考えられないよね?
「俺はよくは知らないが、聞いた所君達は高名な戦士だそうじゃないか。
……なら引く手数多だろうに」
「一身上の都合です!
……と言いたい所ですが、実は……」
なんでも、
もともと傭兵として彼方此方を旅して廻っていたそうだ。
そしていつもの要に、とある合戦に雇われて居た時のこと。
その合戦には無事勝利し、
その戦勝祝賀の宴に参加しているときのことであった。
実はその宴には、協力者としてとある人物が招かれていた。
なんでも有力な商人……とある大物武器商人だそうなのだが……
宴もたけなわ、
彼女が酔った勢いで、
「矛盾した事を言って良いのは武器商人だけ!」(ドヤ
っと、いきなに叫んだそうだ。
「さあ私の自慢のこの
『どんな盾も突き通す矛』
と
『どんな矛も防ぐ盾』
を
打ち砕かんという勇者はは居ないか〜?」
などと言い出した。
更には、
「もし砕いた者には報償を出すぞ!」
とかなんとか言い出して
自慢の(その商人の看板となる武装:自慢の盾と矛)を持ち出して
煽り立てたらしい。
何時も酔うと毎回言い出すらしい。
故に他の参加者はいつもの座興と思って適当に相手していたそうだ。
だが、これまたその時酔っぱらってたこの姉妹が
勢いで本当にぶっ壊しちゃったらしい。
って、酔っ払ってたからって本当に壊しちゃダメでしょ!
相手の自慢の一品らしいのに、空気読めよ。
まあ壊す方も壊す方だが、煽る方も煽る方だ。
一応謳い文句の通りの品であり、
今まで誰も壊せなかった極めて頑丈な武具らしいのだが……。
なんでもこの武具だが、
どこかの大瀑布で幾千万の月日を掛けて流水に打たれ続ける事によって
鍛えに鍛え上げられた至高の逸品である
と、言うことだそうだ。
さて、そんなものどうやて壊したんだ?
その時、盾と矛をそれぞれ受け取った彼女達は
皆が見守る中距離をとって互いに向かい合いっていたそうだ。
(ひょっとして最強の盾と矛同士をぶつけたのか?)
そして矛をもう一方に投げつけるともう一方が……
……その拳で迎撃し粉々に叩き潰してしまった。
そして返す拳で? 持っていた盾を一閃!
これまた粉々に叩き潰してしまったんだそうだ!
これには皆唖然とした。
実は弱点である互いにぶつけて壊す
……なんてできない様になっていた。
そう、盾と矛は互いに打ち合わせられないような
そんな機能が組み込んであったのだが。
(それじゃあ盾の方が優勢なんじゃね?
えっあくまで防犯用の機能?
性能とは関係ない?)
そう、それで今までに打ち合わせるという方法に気付いた者も
その対策のため毎回失敗してきたのだ。
(トンチの得意な - 小僧さんとか、村長とか、下級戦士とか)
まさか実力行使でやり遂げるものが出ようとは誰も予想しえなかった。
おかげで本当に最強の盾と矛をぶつけたらどうなるか
最早誰にもわからなくなってしまった。
それはともかく、
これを見て武器商人の彼女(銀髪のうら若き美人らしい)が
流石に酔いから醒めてしまったみたいだ。
そして自分から言い出した事のなのに
看板を傷つけられた事に憤りを感じて暴れだしてしまった。
さらにこの腹いせに、裏から自分の取引相手に
「雇い入れたものには武器を売らない」
と手を廻していると言う噂だ。
そのとばっちりを受けたくない彼方此方の陣営から仕官を断られ続けた。
……と、いう事だそうだ。
まあ、どっちもどっちであるがな。
しかしなんかこう思ったより残念な娘達だ。
「「ごちそうさまでした」」
「さて、食べ終わってから言うのもなんですが、
私達路銀が尽きていて食事代などお支払いする事はできません」
「ですが一宿一飯の恩義を返さないというのも東西無双の名に恥じる行為」
「ですから、どうでしょう。
何か傭兵としてお手伝いできる事はありませんか?」
「私達やり手ですよ!」
と、言われてもな?
戦力なら紅蓮達で足りている。
弱って隣のリアを見ると、
「お聞きした所今まで各地を廻られ、各地で見聞を積まれたご様子」
っと、前置きをして、
「実は私達世間知らずの箱入りなものでして。
余り外の事を知らない田舎者ですの。
よろければ外の世界のあれやこれやの情報をお聞かせくださいませんか?」
っと、言ってきた。
すると愛想よく
「「そんな事でよろしければ」」
っと、彼女達はその依頼を受け入れた。
ならばいい機会だ。
「そうだ! 路銀といえばさ、
まずこの地で流通している通貨について聞きたいのだが……」




