第3話 ある日2
ここらの会話?がキツイとこれから先ももしかしたらしんどいかも。
「・・・嫌だ」
「えっ?」
「おばちゃんだって嫌だろう。だから俺に振ったんだろう」
「ならば、俺も、嫌だ」
このおばちゃんは何を言っているのか、ちゃんとわかってんのか?
自分の言った言葉の意味を。その内容を。可能性を。残酷さを。
「えっ・・・でも・・・・・・」
しつけーババアだな、うっとうしい・・・・・・ちょいと突いてやるか。
「まあ、月並みなセリフだが・・・何かをして欲しいと言うなら、まずは自分を犠牲にしろよ、そんなの一般常識以前の問題だろ。自分はなにも支払わず傍観してたいってんなら、ゴチャゴチャ口挟んでんなよ、おばちゃん」
ああ・・・うぜぇ。
「と、まあそういうわけだ。もうお帰りになったらどうだ、おば「そこのキミっ、助けてよッ!」
ふと見ると女の子がいつの間にか、どうにかこうにかこっちに近づいていたようだ。会話ができるくらいまでの距離しか開いてない。つまり・・・・男共も近づいてきていた。
「なんだお前、邪魔すんの?あぁ」
「お前びびってんのか、ならうせろよ邪魔だ」
「そんなイジめてやるなよ。かわいそうだろ~(笑)」
「ほら、どっかいけよ」
「お願いっ、助けて」
なんだこいつら
「助けてって言われてんぞ~助けてやんねーのか」
「おらこいよ、どうしたかかってこいよ」
「んだコラ!やんのかオラ!」
「完全に止まってんですけどコレ」
「ねえっ!ちょっと!」
さっきからなにをゴチャゴチャと。
女の前だからってカッコつけてんなよ。
うるせえぞ、てめえら
「うるせえぞ、てめえら」
心の声と体の声が重なった。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「なんだおまえら、さっきからうるせーんだよッ!!」
俺の怒鳴り声でこの場の時が止まった。
「好き勝手ほざきやがって、何なんだお前らはッ!!」
「特にお前ッ!」
俺が指を差したのは・・・・・・・
女の子だった
「お前の言うことが一番気に入らねえ」
「助けて?お願い?おいおい、なに言ってんだよ、わかってんのかその意味を」
「こいつらは6人だ。俺はどうだ?5人に見えるか?6人か?それとも15人にでも見えてんのか。・・・・俺は1人だ」
「たった1人で6人の同い年の男に勝つ?できるわけねーだろ。夢見てんなよ」
「もし仮に、助けに動いて、返り討ちにあって、怪我したら、骨折られたら、後遺症残ったら―――――死んだら・・・どうすんだよお前」
「・・・・」
「答えろよッ!!!!」
「そこまで・・・酷いことには・・なら「ならないとは限らねえよなぁ」
「だってそうだろ。そいつらはお前の知り合いか?友達か?セフレか?」
「違うだろう。なのになんでそんな事いえんだよ。わかんねえだろそんなもん」
「すげえ嗜虐性強え奴らの集まりかもしれないぜ、骨くらいなら平気で折ってくるかもな」
「そうすると次は後遺症の心配がでてくるよな、骨だって必ずくっつくとは限らないんだぜ」
「もしかしたらナイフを持ってるかもしれねえ。刃物だぞ、指なんて簡単に切り飛ばせそうじゃねえか」
「例え故意でなくとも骨は折れるぜ。はしゃぎ過ぎて背骨なんか折ったりしてな、もしくは倒れた拍子に後頭部強打で昏睡状態とか?笑えねぇ!」
「最悪、ナイフの一突きで帰らぬ人に・・・・なんてこともあるだろうよ」
「それらをちゃんとわかってんのかって。俺は思うんだが―――――実際のところどうなんだよ」
完全に時間が止まっている。男達もいきなり文句を言い始めた俺に戸惑い、完全にストップしている。
「そこまでは考えてなかったけど・・・・」
「おいおいヒデーな」
「けど・・・けど・・・・・・・」
「なんだよ」
「しょうが・・・ないじゃない・・・しょうがない、しょうがないじゃないッッッ!!!」
「怖かったんだもん、逃げ出したかったんだもん、どうにかして欲しかったんだもんッ!」
「だから助けて欲しいって・・・・思ったんだもん―――――――ッ!!!!」
「もんもんもんもん言ってんなよ、子供かよ。そんな言葉遣いが許されるのは小学生までだろ」
「ッ!」
「涙目で睨むなよ。まるで俺が悪い奴みたいじゃねえか。お前、自分を守るのは自分だけって言葉を知らねーのか」
「お前綺麗なんだから、人の目を引くんだから、自分で自覚もあんだろう、今までチヤホヤされてきたんだろう」
「じゃあ本来利点のはずのその容姿が、場合によってはトラブルを引き起こすこともあるってわかってたろう」
「いつもどうしてるのかは知らねーが、友達数人と一緒にいたり、彼氏と一緒にいればこんな面倒なことにはなってなかったろうさ」
「なにが言いたいのかっつーと、今回トラブルを引き起こしたの理由は自分の注意・管理不足なんじゃねえのか」
「つまり――――自業自得と思うんだが」
「そんなの・・・私は知らない、私の責任じゃない」
「そうかよ、じゃあ俺も知らねえよ。本人が知らねえんだ俺が知ってるはずもねえ」
「つまり俺には何の責任も義務もないわけだ。つまり、助ける必要も―――――ない」
「それはッ・・・でも・・・・」
「でも助けてって?阿呆が誰がやるんだよそんなもん。まあそんな物好きもいないわけじゃあないんだろうが・・・・」
「それとも後でお礼に、股でも開いてくれるのか」
「ッッ!!!」
「開く気もなし・・・と」
「・・・・は悪くない」
「ん?」
「私は悪くないッ!私に寄ってくる人のことなんて私知らないッ!」
「自分の容姿をひけらかしたりなんてしてないッ!」
「助けを求める事はそんなに悪いこと?誰だって助けてって言ってる、たとえそれが自業自得でもッ」
「なのに・・・ふざけないでッ!!もういい、あなたなんかにもう助けを求めたりなんかしない」
「今がこの容姿のせいだっていうんなら、私はこの容姿を使って助けてくれる人を求めますッ!」
「・・・・クククク、ハハハハハハハハハハハハ」
「おいおい。こいつ・・・ククク、今自分でひけらかしたことなんてないって言っておきながら・・・・ハハハハハハ」
「矛盾してることに気づいてんのか?馬鹿だ、馬鹿がいる、今世紀最大の馬鹿がいる・・・・ハハハッハハハハハ」
「・・・・・」
「お前のことだよ、大馬鹿野郎」
俺はもう氷も溶けきってしまったM印のジュースを女の子目掛けてぶっかけた。
「ちょっ」
「うわっ!」
「おぉぉ!」
大振りしたため、女の子の周りにいた男達もジュースが掛かりそうになり飛びのいた。
その隙に俺はせっかく買った枕を捨てて、女の子の腹目掛けて肩口からタックルした。そして
そのまま担いで逃げた。
なんかタックルしたとき「うぼぇ」と、年頃の女の子の口から絶対聞いてはいけない声が聞こえたが、まあここはスルーしておこう。
俺は女の子を肩に荷物担ぎでかかえ全力で逃走を開始した。
いきなりの俺の行動に呆然としていた男達も動きだしたが、時はすでに遅し。そのまま裏道へ逃げ、男達を完全に撒いていまう。
荷物を担いじゃいるものの短距離ならば問題ない。
「ハァハァ、こういう場合によくある「もう大丈夫か・・・」なんて死亡フラグ感満載セリフも、ハァハァ、もう聞き飽きた感があるな」
一息つきながら荷物を降ろす。
「ゲホッゴホ、逃げれ・・・たの?」
「ハァハァ、多分な」
「助けてくれたの?――――ありが・・とう?」
「ハァハァ、なんだお前、自分にワケわかんない理由で言いがかりみたいなケンカ売ってきたやつに、ハァハァ、感謝してんのか」
「フゥ―――――変態だなあんた」
「ッッッッッ!あなたねぇ!!」
「ククク、冗談だよ冗談。まあ嘘は言ってないけど」
「ハァ・・・もういい、凄い疲れたわ」
「だろうな」
「あなたのせいよッ」
「俺だけでもないだろう」
「まあ・・・ね」
二人とも沈黙した。
「悪かったな」
「え?」
「いきなり絡んでってことだよ」
「ああ・・そのこと」
「どうも勘違いした奴を見ると、ついつい吼えたくなる。あんな風に演じて、煽って。俺の悪癖なんだよ」
「だからあれは切れてるというより、酔ってるって言った方がピッタシくるな。自分の価値観をベラベラ喋る自分に酔ってる」
「で、たまたま一番腹立つこと言ってたのが―――――あんただったって話だ」
「・・・・・」
「まあ色々好き勝手吼えたが気にするな」
「なによそれ」
「あれは俺の価値観で俺の考えだ。俺にしかわからない俺の思いだ。あんたが幾ら考えても理解できるわけがない」
「考えるだけ時間の無駄だ」
「そんなもの?」
「そんなもんだろ」
「でもそれも、あなたの価値観よね」
「まあ・・・な」
「なら私は考えてみる。たとえ理解できなくても、決して無駄にはならないと思うから」
「そうか、好きにしろよ大馬鹿野郎。それじゃさよなら」
俺は帰るため駅へ歩を進める。
「ちょっと待ってよ」
「んー?なんだよ」
「あなた霧ヶ丘高校の生徒よね。2年生の」
「あんたもな」
うちの高校は学年でネクタイの色が違うためすぐ分かる。女子は首のリボンの色が違う。
「名前を教えてもらっていいですか?」
「人に名前を尋「私は外園 唯香です」・・・言わせろよ」
「私は言いました。あなたは?」
「人に名前を尋ねるときは、自分から名乗るのが礼儀だろう。などという言葉があるが―――自分は言ったからお前も言えというのは、大分傲慢だとは思わないか」
「・・・それで」
「またいつか教える機会が会ったら教えよう」
「理由を聞いても?」
「俺は極力初対面の人間に名前を言わないようにしているんだ―――たった今から」
「そう・・・」
「そうなんだ」
「じゃあ、その機会があれば教えてね」
主人公の名前いまだ出ず。