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第五十五話:エルフの国と美の洪水

子クラーケンの救出と束の間の休暇の後、ギルド長バレンティンと約束していたS級の護衛依頼が始まった。依頼主はなんと、前皇帝とアルヴィンの父にあたる、エルヴィン大公。領邦国家「エルフェンライヒ」への訪問に同行し、大公閣下の護衛に当たるという任務だった。大公のたっての希望により、今回はルークも同行することになった。


「くれぐれも、その辺のエルフにすぐ惚れちゃったりしないでよ、二人とも」 道中、アルヴィンが二人に釘を刺す。祖母と母の国際結婚の経緯もあり、人族がエルフの国を訪問する危うさを案じているためか、彼はどこか落ち着かない様子だ。 「俺たちをなんだと思ってるんだ。大体、美形ならお前で見慣れてる」 ロドルフは反論するものの、アルヴィン級の美貌を持つエルフたちに囲まれる光景を想像し、思わず身震いした。


エルフの谷の入り口は、霧深い峡谷の奥に隠されていた。かつて二ヶ月も彷徨さまよった挙句、入り口を見つけられなかったという大公の告白に、アルヴィンが深く頷く。 「エルフの国は、わざと分かりにくくしてあるんですよ。僕もよく迷うくらいですから」 (確かに分かりやすくはないけれど、この親子の方向感覚って……) ルピーネは心の中で呆れる。だが、霧が晴れた先に広がる光景を見た途端、言葉を失った。オークの巨木に守られ、深い緑と色とりどりの花々が輝くその土地は、この世のものとは思えないほどの幻想的な美しさに満ちていた。


王宮で一行を迎えたのは、アルヴィンの祖母エルナ、母セシリア、そして従兄弟のアルフレート。それぞれが美貌の侍従を従え、絵画のような光景を作り出している。 「義父ちち上、母上、ご無沙汰しております。……セシリア、君は相変わらず綺麗だね」 エルヴィン大公は、久しぶりに再会した最愛の妻に、早くも目が釘付けだ。


アルヴィンに負けず劣らずの美貌を持つ次期領邦君主アルフレートがエメラルドのような瞳を煌めかせ、獣人の二人に微笑みかける。 「ようこそ、エルフェンライヒへ。外の話を聞かせてくれると嬉しいな」 (こ、これは……美の洪水すぎて眩しい! 目が潰れそう……!) ルピーネたちが圧倒されている横で、ルークは自由奔放に庭園を飛び回っていた。 「聖竜の仔だわ!」「なんて愛らしいの」「『幸運の竜』よ!」 早くも王宮内のエルフたちの心を掴んだルークは、得意げに喉を鳴らして「ルー、人気者!」と言わんばかりに胸を張っていた。

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