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第五十四話:海辺の一日と夕日の真珠

読んでいただきありがとうございます。【1,000ユニークアクセス超え記念企画】全三話の三話目として書きました。『白銀の疾風』パーティだって、海で遊ぶ日があってもいいよね。

もし面白かったら評価・リアクションなどをいただけると嬉しいです!

翌日、依頼が思いのほかあっさりと片付き、迎えの馬車が来るまで時間に余裕ができたため、一行は砂浜で一日限りのバカンスを楽しむことにした。地元の商店でタオルやビーチウェアを買い込み、いざ浜辺ビーチへ。


だが、セパレート型の水着に着替えたルピーネが姿を現した途端、ロドルフは石のように固まった。 「……それ、布面積が少なすぎないか?」 店員に勧められた最新の水着は、彼女のしなやかな肢体を強調し、大分薄くなった腰の紋様をも露わにしていた。 (恥ずかしい……。『スタイルがいいからお似合いですよ』っていう店員さんの言葉を真に受けてしまったわ)  ルピーネは後悔に唇を噛むが、アルヴィンは「いいね、よく似合っているよ」とあっさり褒める。一方のルピーネも、陽光を浴びて輝くロドルフの逞しい胸板と腹筋を直視できず、もじもじと視線を彷徨わせていた。


――案外、いい感じじゃないか、この二人。

 楽しそうに二人を観察しているアルヴィンは、自分は日焼けしたくないからと、肌を一切出さない重装備だ。彼の肌は日焼けすると赤く熱を持ってしまい、後が大変らしい。



一行は小舟に乗って遊んだり、浅瀬で貝を集めたりした後、バーベキューで海の幸を堪能して、夏の海での一日を満喫した。ルークも自分で器用に魚を獲って腹を満たしたようで、「ルー、おなか、いっぱーい」と満足げに喉を鳴らしている。


夕日が水平線に溶け始める頃、そろそろ宿に戻ろうと片付けを始めた時だった。 暗くなり始めた海の中から、波打ち際ににゅっと大きな触腕が現れた。咄嗟に武器を構える三人だったが、それは昨日の母クラーケンだった。彼女はロドルフに向けてそっと、大きな二枚貝を差し出した。 受け取ったロドルフが「くれるのか? ありがとう」と声をかけると、母クラーケンはそっと潮の中に戻って行った。ロドルフが二枚貝の容れ物を開けると、その中には親指の爪ほどもある、見事な夕日色の真珠が収まっていた。


「これは……『炎の真珠』じゃないか」 アルヴィンが驚きに目を見開く。 「かつて王妃たちが奪い合い、国すら滅ぼしたという希少な真珠だ。皇帝に献上してもおかしくないレベルの宝石だよ」 「ええっ!? そんなもの、俺が持つわけには……」 狼狽えるロドルフに、アルヴィンは優しく微笑んだ。 「あの魔物クラーケンは、我が子を助けてくれた君に贈りたかったんだ。もらっておけばいい。陛下とギルド長には僕から上手く言っておくさ。ちょうど君の色の宝石いしだし、いつか花嫁を迎える時の婚礼道具にでもすればいい」 「そ、そんな……俺には勿体ないよ。お貴族様とは違うんだから」


困惑しながらも、アルヴィンの説得に押し切られる形で、ロドルフはその輝く真珠を引き取ることになった。 彼がいつか、妻を迎える日。その隣で微笑んでいるのは、自分ではない誰かなのだろうか。 沈みゆく夕日の赤に照らされながら、ルピーネの胸は少しだけ、切なく軋んだ。

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