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第四十五話:英雄の凱旋と新月の館

北の山岳を吹き抜ける風は依然として冷たかったが、その色はもはや薄黒い死の色を帯びてはいなかった。


一行は再び雪の大森林へと足を踏み入れたが、山を下る帰り道は驚くほど平穏だった。守護者であった古竜の一族を失い、『虚無』の脅威からも解放された森の魔物たちは、本来の慎重さを取り戻して、それぞれ大人しく冬の樹海に身を潜めていた。その結果、一行は一月ひとつきを待たずして、懐かしい帝都の城門をくぐることができた。


皇帝への依頼達成報告を終えて、三人には巨額の成功報酬が支払われた。時をおかず、帝国皇帝ラインハルトから帝国民へ向けて、今回の件に関する公式な発表がなされた。 悪魔クロケルの詳細は伏せられたものの、冒険者の活躍によって北の山岳の奥地に潜んでいた「いにしえの悪きもの」が討たれ、大森林の魔力枯渇の危機が去ったことが伝えられると、最近の魔石の枯渇に不安を抱いていた帝国民は驚きと喜びに包まれた。世界の危機を救った冒険者パーティー、『白銀シルバー疾風ゲイル』の名は、一夜にして伝説となったのである。


「……困ったね、これでは市中の宿屋にはとても泊まれないよ」 アルヴィンが苦笑する。どこへ行っても野次馬の握手とサイン攻めに遭うのは目に見えていた。 豪華すぎる宮殿内での生活も気詰まりだという一行の希望を汲み、皇帝は皇居の外れに建つ「新月ノイモンド宮」を『白銀の疾風』の新たな拠点として使う許可を出した。貴賓客用のこじんまりとした、しかし堅牢かつ優美な館。


「すごいー! アルー、ルピィ!」 新居を気に入った様子で、嬉しそうに飛び回るルーク。ここが、新たな英雄たちの本拠地となった。

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