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第二十六話:渦巻く嫉妬と卑劣な罠

ロドルフの怪我が癒え、またクエストに明け暮れる日常が戻ってきた。路銀も半分ほどは貯まっただろうか。アルヴィンのおかげで、北の国への旅支度も着実に整い始めている。


しかし、一つだけ以前と違うことがあった。ロドルフが、アルヴィンが近くに来ると妙にソワソワし、目が合うと微妙に視線を逸らすようになったのだ。 (あの晩、二人で何を話したのかしら……アルヴィンのお説教が効いてる?) ルピーネは不審に思ったが、問いただす間もなく、『白銀の疾風』を取り巻く環境は日増しに厳しさを増していた。


Cランク最速昇級という名声と、順調に積み上がる依頼の山は、バレンティンやギルド職員たちを大いに喜ばせたが、同時に一部の冒険者からのねたそねみを呼び寄せていた。 その筆頭に、受付担当のザムエルがいた。彼はかつてCランク冒険者だったが、五年前のクエストで膝に大怪我を負い、引退を余儀なくされていた。活動拠点にしていた地方都市から流れ、最終的に帝都の冒険者ギルドに拾われたのだ。


「若造共が、運良く白竜なんて見つけやがって……。あれさえあれば、俺の人生も変わっていたはずだ」 僻み根性が頂点に達したザムエルは、とうとう行動に移した。彼が以前から裏で繋がっていた悪徳商会とならず者たちに、密かに『美味しい商品』の情報を流したのだ。ターゲットはルピーネでもロドルフでもない。彼らの「幸運」の象徴――白銀の子竜、ルークだった。


小さないざこざは軽くあしらっていた三人だが、ある日、ついに事件が起こった。 その日、ルピーネたちが依頼で外出している間、ルークはアルヴィンに付き添って工房にいた。子竜は工房で製作されている数々の光り物を眺めるのが気に入っているらしい。アルヴィンは裏庭に出て、何かの実験を行っていた。


ルークが一人で雑貨の木箱に潜り込んで遊んでいると、後ろから誰かの手が伸び、彼の尻尾を掴んだ。 不法侵入したならず者は、そのまま強引にルークを革袋に突っ込むと、足早に工房を去った。 「へへ、ただのトカゲだと思って舐めるなよ。こいつは宝の山だ」 ザムエルが手引きをした数人の悪漢が、ルークが一人になる機会を狙って尾行していたのだ。


「『幸運の竜』だぞ。傷つけちゃあいないだろうな」 一目散に下町のアジトまで戻ったならず者たちは、期待に満ちた目でルークを袋から出した。 「儲けは山分けだぜ」 彼らはルークに特殊な魔道具の刺股さすまたを向けながら、その首に鉄鎖を繋ごうとした。 だがその時、ルークの瞳が冷たく細められた。それは『幸運の竜』ではなく、頂点に立つ「捕食者」の目だった。次の瞬間、瞳が怒りで赤く光り、ルークは「キュイーー!」と鋭く鳴いた。

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