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第十九話:新しい防具と両手剣

翌朝、足取りも軽く職人街を訪れた三人は、まずドワーフの工房長に前回の「ツケ」を満額支払った。


「おう、本当にこんな短期間で稼いでくるとはな! 坊ちゃんの見立て通り、いい腕をしてるようだ」 工房長はルピーネのスリングを確認し、手際よくメンテナンスを施してくれた。


「ところでアルヴィン。どうして方向音痴を解決する魔道具を作らないの?」 ルピーネの素朴な疑問に、アルヴィンは「それはいいアイデア!と言いたいところだけど……」と苦笑した。 「実は何回挑戦してもうまくいかないんだよね。魔力を通した瞬間に、なぜか針が狂うか、地図自体が書き換わっちゃうんだ」 (やはり道具は創り主に似るのか……) 呆れ顔のロドルフとルピーネをよそに、アルヴィンは隣接する武器屋へと向かう。


この店は、冒険者なら誰もが一度は憧れる「一級品」も扱っている。 「いらっしゃい。……ほう、そっちの兄さんはいいハルバードを持っているな。だが、生き残りたいなら嬢ちゃんの剣は替えたほうがいい。限界に見えるぞ」 店主の鍛冶屋は、一目でルピーネの安物の剣の問題を見抜いた。


「ええ。だから、今日は剣を探しに来たんです」 ルピーネは、キラキラとした目で店内に並ぶ武器類を見渡した。その時、店の一番奥、棚の隅でひっそりと、しかし確かな存在感を放つ一本の剣に目が止まった。 それは、美しい銀色の輝きを放つ「両手剣ロングソード」だった。


「目が高いな。そいつはミスリル製だ。軽くて丈夫だし、高度な魔術式を入れるのにもいいが……あいにく、少しばかり刀身が短くてね。大男が振るうには軽すぎるし、小柄な者には少し長い。いわば『規格外』の売れ残りさ」 ルピーネはその剣を手に取って一振りした。驚くほどしっくりと手に馴染む。 「……これだわ」 吸い付くような感覚。今の筋力と、今後の成長余地を考えれば、この「規格外」こそが彼女にとっての正解に思えた。


「おじさん、これはいくら?」 「本来なら金貨五十枚はもらう代物だが……まあ、サイズが特殊でずっと棚で埃をかぶっていたからな。嬢ちゃんが大切に使ってくれるなら、金貨三十五枚に負けてやるよ」


「三十五枚……!」 ルピーネはロドルフと顔を見合わせた。決して安くはないが、今の自分たちなら払える。 「……買います。お願いします!」


ルピーネは軽くて丈夫な革鎧レザーアーマーも買い、ロドルフも、ハルバードに合わせた軽量かつ高強度のヘルメットと胸当てを新調して、装備を一新した。


新しい「白銀」を大切に胸に抱えて店を出たルピーネは、ふと思い出したように口を開いた。 「アルヴィン、エルフのマントの代金も払いたいんだけど……ちょっと手持ちが」 「いや、それはあげたものだから」 アルヴィンが遮るが、ルピーネは首を振る。「でも、こんな高級品、もらえないわ。せめて貸してくれていることにしない?」 「……まあ、ルピーネが死ぬまで貸すってことなら、いいよ」 死ぬ、という直接的な表現にルピーネはドキリとした。 (でも、そうか。寿命が四倍なら……私たちは、先に逝くんだよね……)人からすれば永遠に近い時間を生きるエルフの隣で、自分たちの命はいかに短く、儚いものか。


「おめでとう、ルピーネ、ロドルフ。これで『白銀の疾風』の冒険者らしくなったね」 アルヴィンの柔らかな微笑みに、ルピーネは気を取り直して応えた。 「ええ。この剣に見合うように、もっと頑張らなきゃ。……ね、ルーク」 「きゅいきゅい!」 マントの中でルークが嬉しそうに鳴いた。


新装備を揃えた二人は、さらなる高みを目指して「ランキング試験」への挑戦を決意するのだった。

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