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第十五話:冒険者ギルドと元A級

翌朝、ロドルフの完璧な先導により、一行は迷うことなく冒険者ギルド帝都本部の巨大な石造りの建物の前に立っていた。 「……ここが、ギルド」 ルピーネが圧倒されていると、アルヴィンが「さあ、行こうか」と軽やかに扉を押した。


室内に入った途端、人の熱気と汗の匂い、そして鋼のぶつかり合う音が一行を包む。だが、三人が足を踏み入れた途端、広間の視線が一斉にこちらに集まった。 都会では珍しい狼獣人の、それもダークシルバーの髪を持つ美しい少女。隣には雷光を帯びたハルバードを背負う勇ましい赤毛の狼獣人の戦士、そして超絶美形のエルフ。目立たないはずがなかった。


「……おい、いいタマが入ってきたな」 酒場にいた二人組の冒険者が、ニヤつきながら近づいてくる。 「よお、お嬢ちゃん。その尻尾、本物か? ちょっと触らせて――」 男の手がルピーネの尻尾に伸びようとした、その瞬間。


バキィッ! という硬質な音と共に、男の手首をロドルフが掴み上げた。 「……俺の連れに触るな」 低く、地を這うような声。ロドルフの背後で、ハルバードの刃がパチリと銀の火花を散らす。 「ひっ……! 悪かった、冗談だ!」 男たちはロドルフの放つ殺気に青ざめ、一目散に逃げ去った。


「ありがとう、ロドルフ」 「……気にするな。当然だ」 不機嫌そうに鼻を鳴らすロドルフ。ルピーネがホッと胸を撫で下ろしながら受付に向かうと、そこには別の「脅威」が待っていた。


「きゃあああああああ! 狼獣人の女の子! 本物!? 本物なのね!?」 カウンターの中にいた人族らしい眼鏡のお姉さんが、身を乗り出して叫んだ。 「え、あ、はい……ルピーネと言います。登録をお願いしたくて……」 「登録ね! もちろんよ! ああ、そのお耳、なんて愛らしいの……! モフモフ、モフモフしてもいい!? ねぇ、一回だけでいいから!!」 「ひゃっ!?」 身悶えする受付嬢に、ルピーネがたじろぐ。狼獣人はそもそも絶対数が少なく、都会に出てきて冒険者になる者はあまりいない。彼女にとってルピーネは、歩く至宝に見えるらしい。


「ミリー嬢、公私混同が過ぎるよ」 苦笑しながらアルヴィンが割って入った。すると、ミリーと呼ばれた受付嬢が彼を見てさらに目を見開いた。 「あ、アルヴィン様!? 8年ぶりくらいじゃないですか! ずっと行方不明だって噂でしたよ!」


「ちょっと散歩に出てただけさ。……ところで、僕の資格、まだ生きてるかな?」 アルヴィンが差し出したギルド証を見たミリーが、歓声に近い声を上げた。 「Aランクの『疾風のアルヴィン』……! 冒険者資格は失効してますが、再登録すればすぐに復帰できます! ギルド長が泣いて喜びますよ、Aランク保持者が増えればウチの本部の格も上がりますから!」


「……え、Aランク?」 ルピーネとロドルフが同時にアルヴィンを凝視した。 「……あんた、そんなに凄腕だったのか」 「あはは、昔の話だよ。でも、僕とパーティーを組めば、二人の依頼クエストを受けるのもスムーズかな?」


ミリーは「もちろんです!」と鼻息荒く二人を冒険者登録し、パーティーメンバーとして受理する。 「ギルド証は明日までに出来ますが、もうクエストを受けていただいて大丈夫ですよ。パーティーとしてはDランクのものまで受けられます」


そのかたわらで、一人冷めた視線を送る男がいた。 「……けっ。エルフの道楽に、田舎の犬っころか。反吐が出る」 ダークブロンドで割と整った顔立ちをしているが、澱んだ肌に、卑屈で意地悪そうな目をした、くたびれた印象の男。怪我が原因で冒険者を引退し、受付をしているザムエルが、忌々しそうに書類を睨んでいた。


「ミリー、そいつらにはこの依頼を回しておけ。新入りには丁度いい『やられ仕事』だ」 ザムエルが投げ出した依頼書は、Fランクには不相応な、帝都近郊の廃村での「影狼シャドウウルフ」の討伐だった。


「ちょっと、ザムエルさん! これはいくらなんでも……!」 抗議するミリーを片手で制し、アルヴィンが不敵に微笑んだ。 「いいよ、受けよう。……ね、二人とも?」 ルピーネはロドルフと顔を見合わせ、力強く頷いた。


こうして、三人と一匹(ルークはマントの中で熟睡中)の、波乱に満ちた冒険者生活は幕を開けた。

この世界は、種族としては、人族、獣人族、ドワーフ、魔物は数が多く、竜、竜人族、エルフは希少。

獣人族は犬、猫、ウサギ、羊、熊などの獣人が多く、その他は比較的少ない。

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