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第十一話:エルフの至宝と白銀の隠れ蓑

通常は数日かかる道のりだったが、一行は三日足らずで帝都に到着した。戦力が増強され、野営の手順も手慣れてきたことで、残りの道程をそれほどの苦労もなく終えたのだ。道中、小型の魔獣に遭遇したものの、すっかり打ち解けたアルヴィンとルークのコンビが前衛であっさりと撃退した。


帝都・中央正門の前には、入国を待つ荷馬車や旅人で長蛇の列ができていた。重装備の兵士たちが目を光らせ、特に武器を携えた者や素性の知れぬ者には厳しい検問を行っている。


「……ねえ、アルヴィン。やっぱりルークは目立ちすぎるかな。さっきから視線が痛い感じで」 ルピーネが不安げに呟くと、アルヴィンは「おっと、忘れるところだった」と軽やかに指を鳴らした。


「そのためにエルフのマントがあるじゃないか。ルーク、ちょっとママの背中に隠れてごらん」 ルークがマントのフードに潜り込み、ルピーネの首元から鼻先だけを出す。すると不思議なことに、ルークの存在感が霧に包まれたように希薄になり、周囲の好奇の視線がスッと逸れていった。


「これ、ただのマントじゃないのね……?」 「エルフの里でも長老クラスしか持てない『隠蔽と加護の外套』だよ。認識阻害のほかに物理防御も一級品。まあ、帝都ならこれ一着で貴族の屋敷が三軒は買えるかな」 「三軒!? そんなもの、私に貸さないでよ!」 「貸したんじゃない、あげたんだよ。友情の印さ」 顔を真っ青にして震えるルピーネを余所に、アルヴィンは列を割り込み、堂々と門番の前へ進み出た。


「おい、並べ!」と怒鳴りかけた門番だったが、アルヴィンが懐から取り出した、サファイアを埋め込んだ銀の紋章を見た瞬間、表情を硬直させた。 「これは……領邦国家『エルフェンライヒ』の最高位身分証!? 失礼いたしました、閣下!」


「あはは、閣下はやめてよ。この二人は僕の大切な友人兼、護衛なんだ。通してもらえるかな?」 「もちろんです! 道を開けろ!」 兵士たちの敬礼に送られ、一行は拍子抜けするほどあっさりと帝都へ足を踏み入れた。


「……あんた、そんなに偉い奴だったのか」 「さあね? ずっと家にいるのが退屈だったから、これを持って逃げてきたんだ」 飄々と笑うアルヴィンの背中を、ロドルフは「食えない奴だ」と言いたげな視線で見つめていた。

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