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閑話(ルピーネ):追いかける背中

早くに亡くなった祖父母の後を継いで、若くして族長になった父の一人娘として、ルピーネは大切に育てられた。活発な彼女は、父からは剣を、母からはスリングショットを学び、村の子供たちから一目置かれ、同時に少しだけ遠巻きにされていた。


艶やかなシルバーグレイの髪と祖母譲りの緑がかったヘーゼルの瞳を持つルピーネは、その特別な美しさと、族長の後継者という立場ゆえに、少なからず孤高の存在になっていた。


そんな彼女の孤独を、無造作に踏み荒らして連れ出してくれたのが、二歳年上のロドルフだった。 「ルピーネ、遅いぞ! 置いていくからな!」


そう言いながらも、彼は決して彼女を置いていくことはなかった。 ルピーネは、村の娘たちの間で一番の人気を誇るロドルフが、なぜ自分とだけは本気で遊び、喧嘩し、対等に扱ってくれるのか不思議に思うこともあった。だが、彼と一緒にいる時だけは「族長の娘」ではなく、ただのルピーネでいられた。


彼への想いが、村の娘たちが抱くような恋慕なのか、それとも兄への敬愛なのか、ルピーネにはよくわからない。そもそも、村の人気者で前途有望な戦士である彼と、自分が釣り合うなどと思ったこともなかったのだ。


獣人の村では、男は18歳、女は16歳で成人である。本来であればルピーネも、2ヶ月後の誕生日を迎えた後、両親と村人たちと共に成人の儀を祝うはずだった。


村を出てから、両親への申し訳なさと失った故郷への未練に押し潰されそうになった彼女を救ったのは、ルークの温もりと、そして黙って隣に立ってくれたロドルフの存在だった。


(ルークとロドルフが傍にいてくれる。だから、私は大丈夫)


村を追われた今、ロドルフがなぜ自分についてきてくれるのか。 「お前を一人にできない」 その言葉の真意を、ルピーネはまだ測りかねている。でも、昔と変わらず数歩先を行く、ロドルフの頼もしい背中を見ながら、胸の奥を温かな何かがかすめていくのを感じていた。

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