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ぼっちの学校〜ここから変わる日常の日々〜  作者: 水銀
「第一学章・入学編」
5/9

桜の花びら

入学式終了後の現在、教室で待機中。吾輩は暇である、いや〜多分親とかの誘導してるんだろうけど⋯⋯それにしたって暇だ。スマホとかは使っていいかわからんし⋯⋯。とか考えていると、前の扉が開いた。やっと来た!てえぇぇ!?何あのデケェダンボール、何が入ったらそんなことなんの?書類とか??その答えは意外とすぐわかった。


「⋯⋯はい⋯⋯お待たせしました⋯⋯」


明らかに疲れている教員達3人。


「それでは、これから説明していきます、まず一つ目は学生IDです、これはこの学校の生徒と証明するものになります、これが寮に入るためキーとなりますので必ず持っておくようにしてください、他にも食堂などで使うので大切に保管・保持してください」


ほへ〜、そんな大事なものなのかぁ〜大事に持っとかないとな〜。だめだ脳が溶けてやがる!!流石に疲れるよ、だって結構朝から起きてるし⋯⋯、眠くわない、ただ情報量にの多さに疲れてるだけなんだよ?よし続きを聞こう。


「次に教科書類についてです、ここにあるものの大半は教科書です、袋に入っていますので今から配布します」


配布は迅速に行われた。ドスンッッ———、という音と共に机の上に置かれた3袋に分けられた教科書の入った袋。うわぁ、わぁ、わぁ、何これ〜。もはや言葉の湧かない、目の前に急に一つの壁が現れたらみんなはどう思うだろうか?僕の場合は唖然とするでした。


「それが教科書となります、各自で持ち帰るようにしてください、期日はありませんが、あるべく早くでお願いします」


ふむふむ、寮において欲しかったという気持ちはおいておこう。今は他のものの確認をしようかな?特に学生IDなんかは重要だしね!

学生IDには、顔写真もちろん自分の、後は名前と誕生日とかの基本情報とIDの番号?みたいなの、番号は0008。それとバーコードもあった、多分これが靴とかのところでスキャンするやつなのかな?


「では、配布物は以上です、続いて明日からのことですが木曜日は学校見学⋯⋯学校を見て回ってもらいます、その時は各自自由行動で教室に集まったりわしません、あっそれともうし遅れました担任の竹内(たけうち)(つき)と言います」


担任かぁ〜さらっというなぁ。驚きはなくもない、でもやっぱだめだこいつ脳が溶けてるよ、綿菓子みたくジュワッと溶けるてるよ。


「では続きまして———」


その後はなんだ、諸々の説明をしてた以上。この後はこの大荷物を持って寮に行くだけ、でもやばいはこれ脳が溶けすぎてて、さっきまでなかった眠気が———。

そこで僕の意識は飛んだ、それはもう一瞬で。幸い説明は終わってた。








「———くん——」


声が聞こえる、夢なのか現実なのか———。


「——らくん!」


次第に戻ってくる意識、それに伴って聞こえてくる声も大きく。あれ?夢じゃない——?


(かつら)くん!!」


そこで僕は完全に目覚めた。気づけば日は朱色に染まり、教室を朱く染めていた、その教室の中で僕を呼ぶ声の主を探す。誰だ?聞いたことある声だった気がするんだけど⋯⋯確か左から———!?左を見たらそこに誰かが立っていた、その驚きのあまり椅子から転げ落ちる。


「だっ大丈夫ですか!?」


なんだか既視感のある展開。そして既視感がある展開では同じ人がいるのが定番、今回も例外なく当てはまった。声の主は———。


中川(なかがわ)さん?どうしてここに?」


痛みよりも先に疑問が浮かぶ、説明が終わってからもうすでに4時間近くは経っているのになぜ教室にいるのか?それに気づけば壁が、あっ教科書のね!無くなっているのも不思議だ。いろいろ重なって疑問は難問に変わる。ミステリー小説書けそうだな〜題名は「朱色に染まる教室の僕とあなた」かな?そんなことは今はどうでもいいけど⋯⋯。寝ていたおかげか、寝ていたせいか、溶けていた脳が若干再生している。


「それは、桂くんが寝ているのを見て、それで気になって来たと言いますか⋯⋯」


「あぁ、なるほど⋯⋯それはなんというかご迷惑をおかけしました?」


「次から気を付けてください?」


疑問形と疑問形の交差、まだ知り合い以上クラスメイト未満なのでどう受け答えしていいかがわからない。でもその不思議な空間はとても、とても———。


「くふっ」


「ふふっ」


『ふははっははは———!!』


面白おかしい、その空気感にその”変”に耐えきれず笑ってしまう、それも互いに、盛大に。


「ふぅ〜」


若干笑い疲れるぐらいには笑った、笑いすぎてお腹が痛いぐらいに。こんなに笑ったのは初めてじゃないかな?それも家族以外と。


「それでなんだっけ?」


「寝ていたのが心配だったって話です、大丈夫だとわかっていても心配になるんですから!まだ全然知らない人でも、あと朝のことはすみませんでした、私もしっかり周りを見れていなくて」


優しいなぁ、でもまぁ。


「それは僕もだし、お互い様ってことにしない?」


「そうですか?⋯⋯そうですね、はい!」


互いに納得⋯⋯したかな?


「あっ!桂くん、入学式の時も気になってたんですけど⋯⋯少し失礼しますね」


中川さんの手が僕の方に伸びる。えっちょ何!?伸びてきた手に対し反射的に顔を伏せる。視覚的な情報はなくなり触覚のみの情報だけが伝わる。そして触られた感覚は頭の髪に触れる、手の感触が微かに伝わる、そして何かを取る⋯⋯掴んだ手がゆっくり離れていく、そして確かに離れたのがわかると僕もゆっくり顔を上げる。


「一体なんだったの?」


「これです!」


彼女の手の上には一枚の花びら、桜の花びら。


「もしかしてずっとついてた?」


「はい、教室に入ってきた時には既に」


おぉ〜まじかぁ〜、まじかぁ⋯⋯、なんとも言えねぇ恥ずかしいさが、いや本当に再三チェックしたんだけどなぁ〜、はっず⋯⋯。


「その、あの、それはもらっていただいても、いいですよぅ」


「いいんですか?落ちてない桜の花びらは特別なものと言いますが?」


「ええ、まぁ落ちない桜が特別なら、落ちた桜は特別じゃないのかって話だし、それにその桜は僕が取ったものじゃ無い、中川さんが取った桜だから、なら特別があるとすればそれは中川さんの特別だと思うんだよ」


「なるほど⋯⋯それならもらっておきますね!」


「うんうん!!」


キンコーンカーンコーン———。そこでチャイムが鳴った。


「あれ?今何時⋯⋯やばっ!中川さん!寮の登録って何時までとか言ってた!?」


「確か5時までと」


現在時刻16時30分。


「やっばい!?ごめん中川さん!また明日ぁぁ!」


そう言って諸々の荷物を持って、ダッシュで教室を出る。やばい!やばい!このままじゃ野宿になる!!ってこの下駄箱?どうやって使うのぉぉ!!





一方、全力疾走していった一名を見ていた氷柱はというと。


「桂くん、あんなに焦っていったら転けるんじゃ?それに靴の入れ方とかも⋯⋯」


心配していた。今日という日に一番多かった感情が心配と言うのもおかしな話ではあるが、それはさておき、先程まで2人の会話が響いていた空間は一気に静寂に戻り、氷柱は1人で窓際に立つ。


「また明日⋯⋯ですか」


また明日、明日も会おうという宣言であり、約束である。


「初めてです、また明日⋯⋯なんて言われたのは、それに桂くんといるときは自然と話せた気がします」


いつもであれば彼女は———。


「それに、この花びらも」


とても小さな桜の花びら、でもそれは彼女にとってまさに特別なものとなった、家族以外からもらった、初めての贈り物。

氷柱は花びらを優しく握りしめる、そこにある確かな()()()を胸に。

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