入学式、始まる日
「それじゃ、またあとで!」
「いってらっしゃい!一名」
「しっかりやるんだぞ〜!」
靴を母に預け、新品の上履きに履き替えてから校舎に入り教室に向かう。教室は1階職員室横とだけわかっているがそれ以外は何にもわかっていない、合格者はこの前の説明会に来ていた子ども、制服を来ていた人数から推測はできるが確かではない、親のコスプレかもしれないし⋯⋯ないか?あるかも?⋯⋯そんなことはドロップキックしてその辺に置いておいて、今は駆け足で教室を探す。何せ母があまりにも花々に魅入られて動かなくなるところだったから時間があんまりない。
「職員室はどうせ右か左のどっちか!右になかったら、逆に突き進めばいいだけ!!」
逆だった⋯⋯ので逆走する、安全な速度で。
「ふぅ、あった、あった⋯⋯」
1ーA教室、1ー1と大体同じ意味でよく学校のクラス分けの際、教室の記号として使われるもの。
「それじゃあファーストステップが大事だ、慎重にそれでいて大胆に、やっぱり一旦静かに⋯⋯」
クラスで初めの印象というのはめっちゃ大事だ、第一印象がイケメンとダサいやつでは扱われ方が天と地ほどの差が出るのと同じ!漫画でしかその展開見たことないけど!!みんな大抵誰にでも優しくしてる⋯⋯え?友達の数ですか?フッ、0です、運が良かっただけですよ⋯⋯、いや自爆、でもある意味運良くない?
「失礼しま〜す」
扉の開く音と同等もしくはそれ以上に小さい第一声を出しながら扉を開ける。
ぼっち舐めんなよ!!教室なんて入る時にわざわざ挨拶しねぇわ!!無言で速攻席にINだよ!⋯⋯ ONか?それはどうでもいい、本当にどうでもいい。
どうでもいい話を振り払いながら、扉を自分が通れるぐらい開ける。扉を開けた先で見えた景色⋯⋯いや空間はとにかく暗かった。くっら!!と思わず声を出しそうになる程に、カーテンの閉められ、電気すらついていな空間、そこには推測通り19名の生徒、僕を入れて20名。
失敗したぁ〜、前からじゃなくて後ろから入れば良かった〜、電気つけないと不自然になるし、つけても不自然になる最悪のやつ、いやつけて不自然ってなんだよ⋯⋯。
仕方なく電気をつける。太古なら光を灯した英雄になれたかなぁ〜太古に電気はないけどね!!
電気をつける、そしてそそくさと唯一空いている席に座る、パータン化された行動手順なので最速でできたと思う、誇れねぇ最速だな〜。
はぁ〜疲れた、疲れてないけど疲れた⋯⋯、てかさっきから独り言しかしてないな⋯⋯頭の中で高速で浮かべてるだけだけど⋯⋯、くぅ僕が目指した学校生活はこんなのじゃなかったんだけどなぁ〜先生〜早く来てくれ〜!!先生が誰だか知らないけどぉ!!
それから約十分してから扉が開く、そして開いた扉から教師さながらのスーツ姿を身に纏い、凛とした美しさを持つ女性が教壇に立つ。そして極めて音のなかった空間に音を、彩を生み出す。
「皆さん、おはようございます、これから入学式が行われます、場所は体育館、現在の時刻が11時45分ですので5分後の50分に移動します、それまで各自身だしなみを整え準備していてください」
身だしなみチェックね!うん!車でもしたから多分大丈夫!⋯⋯自信はない!自信のなさを自信に満ち溢れ言うこれ、自信の源ね。とかやってる間にもう5分経とうとしてるよ、時の流れ、いとはやき。
「それでは、皆さん廊下に名簿順⋯⋯左側の席を前にして順々に並んでください」
うん、なんとなくわかるけど、まだちゃんと名簿言ってないもんね、ささ並ぼうか、え〜っと8番目かな?
迅速、瞬速?この言葉通り全員早すぎる移動と整列、わかる整列はパッパとやっちゃうよね。
妙な親近感のある空間に頷きながら、進み出す列について行く。何度目かもわからないけどレッツラ入学式!
インザ会場⋯⋯体育館ひれ〜、いやほんと全長何メートルなんだ?入り口から見ただけでこれだもんなぁ、おっと始まるね。
「それでは新入生の入場です、皆様拍手で迎えてください」
定番の流れで始まる始業式の生徒入場。うん人数すくねぇから一瞬だな、その割に拍手の音は大きいけど⋯⋯そういえば拍手って個の力では確実に小さいのに(大きい例外は置いといてね⋯⋯)こう集団では大きく聞こえるんだろう?音が音同士でぶつかって小さな音の爆発を作ってるのか?あ〜、う〜んあとで論文漁ってみようかな〜、おっとぼっちの悪いところ出てるよ〜(個人論)今は式に集中しなきゃね!
切り替えて席に座る。20人だからってのもあるけど最前列の方だな〜、初めてってわけではないけど⋯⋯。
「開式の辞、これより私立史然高校、第一期入学式を始めます。まず初めに校長式辞です、一同起立」
校長式辞、長いで定番のやつ。あとこのいちいち立つの苦手なんだよね〜、でも大事なことではあるからなかなか難しいもんだよな〜。
「気をつけ礼———着席」
「校長式辞、桜が舞い、春うららな季節となりました、この日この場所で入学式を行なえること、誠に嬉しく思います。では堅っ苦しい話方はこれで終わります」
!?、!?⋯⋯??
「校長の史然尊義です。まずは、20人の新入生の皆さん入学おめでとう、そしてこの高校を選んでくれてありがとう、我々教職員一同皆さんがより良い高校生活を送れるよう全力を尽くしていきます、他にも話したいことはありますが長々話すのも退屈ですので、あとでどこかに掲示しておきます、以上校長式辞」
前代未聞。短い上に式辞とは思えん口調、でもまぁ堅っ苦しい挨拶よりもこっちの方が親しみやすいよね。
「ええ、ゴホンッ、それでは続いて入学許可宣言です、名前を呼ばれたらその場で返事をしてください」
げっ、そんなのもあるのか⋯⋯、やるしかないからやるけど⋯⋯はぁ頑張るかぁ。
「それでは始めるね、1組一番、井上愛記」
「はい」小さいながらも、はっきりと聞こえる声で。
「2番、上杉戦止」
「⋯⋯はい」少し気だるげな声で。
「3番、大城空」
「はいさ⋯⋯」元気な声で。それにしても何か言いかけた?
「4番、青山ユリ」
「ハイ」発音が少し苦手なのかな?と思わせる声で。
「5番、風前宝」
「はい!」優しさを感じられる声で。
「6番、方八向日葵」
「はい!!」明る〜い声で。なんか左側が声だけで眩しいんだけど⋯⋯なにこれ?
「7番、桂化菜」
「はい」中性的な声で。同じ苗字だから間違えて返事するとこだった⋯⋯。
「8番、桂一名」
「はい!」僕の声、普通!はい次!!
「9番、北園明」
「はい⋯⋯」明るいような、暗いような声で。
「10番、古天飛鳥」
「はい!」漠然と賢さを感じさせる声で。
「11番、佐藤労樹」
「ふぁい」疲れてそうな声で。てか寝てた?あくびにしか聞こえない?
「12番、清水心」
「はっ、はいぃ」緊張レベルMaxな声で。
「13番、史然幸多」
「は〜い」のび〜とした声で。てか校長と苗字一緒だな?
「14番、高橋絆」
「はいっ!」なんだかツンとした声で。
「15番、高山直信」
「はい!!」重量感のある声で。漫画で効果音つけたらゴゴゴォォォ、ってなってそう。
「16番、田中晶」
「ハい」いい意味で中途半端な声で。
「17番、中川氷柱」
「はい」なんというか、いろんな感情が内包された声で。
「18番、能山光」
「はい!」多分一番大きく尚且つ聞き取りやすい声で。
「19番、畑沢光輝」
「はい!」形容し難い輝きを持った声で。また光ってない?
「20番、山鳥愛華」
「はい」透き通った声で。
「以上20名の入学を許可します、そしてようこし史然高校へ」
これで、正式に入学が確定した、入学許可宣言の後は国歌斉唱だったりのいつもの式典が続いた。祝電だけバチくそ多かったけど⋯⋯。
てな感じで入学式の全行程は終了した。
「それでは、これにて入学式を終わります、生徒は教員についていき教室に戻ってください」
なんだかんだで1時間かかったけど退屈はしなかったなぁ、それじゃあ後はなんか聞いて寮に行くだけ!!




