真友
現着。解散。というなんとも自由な感じだけども、実際ほんまに解散なんだ〜という驚愕が⋯⋯。まぁ、1人での自由行動には慣れてるし、ある種楽だったからいいけども⋯⋯自分で言ってて悲し、ハハハ。
「さてと、自虐はこの辺にして、職務を果たそうかな」
職務というより課題なんだけどね。あれを埋めるなら早期行動が求められる⋯⋯夏休みの宿題のように遅らせるのはダメだからね来週回収とは言えね。
「そういえば、あの時中川さんは、何を言おうとしたんだろうか?」
結局聞けなかったし、しかも気づいたら全員バラバラの方向に移動していったから、探そうにもわからない。仕方なし。
「一旦、伏見稲荷大社に行くとしますか」
この校外学習の主題でもあるしね。
そうとなれば、載っている地図を参考にしつつ、行かないとね!その後は、続々と増える人波に流されながら、徐々に目的地に近づいていく、そして———。
「———酔った⋯⋯」
酔ってしまった。
「うぅ、気持ち悪い、滅多に酔うことないと思ってたけど、流石に酔った」
人波で酔うとは不覚!!一応、酔い止め持ってきといてよかったー。そもそも平日になぜこんなに混む?金曜だよ!?別に働けゴラァー!ってわけじゃないんだけどさぁ、別に京都じゃなくてよくない?
これぞ、京都に住むからこそわからない、日常すぎて特別感が湧かない現象。京都よりも東京や沖縄、北海道などに憧れる理由よ。
「まあ、そこそこ待ったし、お昼も近いから人もはけてきたし」
先程までの過密空間から一転、そこには人のいない閑散とした景色が広がっていた。
「のどかー」
和を主体とした京都の景色は漠然と長閑さを感じさせる。山間部ほどではないが自然を感じられるこの場所は中々動く気にもなれない。
「でも動かないとなー」
苦渋の決断⋯⋯とまではいかないが、ストーリー上の重要な選択をするときぐらいの気持ちは込めた決断。これ、ただ動く動かないの選択なんだけどね。
「さてと、まずはお参りかな?それとも千本鳥居?流石に山登りしてる時間はないしなー」
ここで悩んでても仕方ないと言えばそうなんだけど、動くと決めたからとは言え、その後の行動は任意、人生は洗濯の連続とは言うけど、範囲が広すぎるんよぉ。
「よし、うだうだ言っても仕方なし、千本鳥居から行こう!気になるし」
そうと決まればいざ出発。ちなみに京都在住だが伏見稲荷大社に来るのは何気に初だったりする⋯⋯いや僕だけかも知んないけど京都人は中々神社とか寺を巡ったりしないから!もはや日常だから!!僕だけか⋯⋯?
千本鳥居への道中は人こそ見れど大人数なことはなかった。そして———。
「到着!解散!」
———しないよ?誰も聞いてないけど。
「さて、テレビで一度は見たことある観光スポット兼大社⋯⋯神社?こと伏見稲荷大社の千本鳥居!いや〜テレビで見た時は美しさが目立ってたイメージだったけど、いざ目の前にすると圧巻だね〜」
朱色の鳥居が無限とも思えるほど先まで続くこの景色は誰がなんと言おうと圧巻である。それに地平ではないけど、目に見えないほど先にあるという点に関していえば、他に類を見ないだろう、多分。
「さて、紅葉のイメージが強い個人的イメージは置いといて、歩きますか」
歩きながら、資料を片手持つ。歩き何ちゃらっていうのやめてね!曰く、創建から1300〜1400年が経つ大先輩の神社でぇ⋯⋯でぇ⋯⋯でぇ、うん、以下略。 数分後。
「ここが奥社奉拝所、読み方むずいな⋯⋯おくしゃホウハイジョ?別名「奥の院」こっちはなんか聞いたことあるかも」
いや〜奥の院!漠然とカッコいい!漫画とかでラスボスがいそう。とても神社の一部に対する評価じゃないのは置いといて、事前調べしない主義⋯⋯わからん、ノープランナー(適当)
「閑散としてるなー」
神社も1000年あって毎年人が訪れる時点ですごいんだけどね?まぁもう正月とか受験前とか、入学前とかにたいていのことみんな済ませてるよねー、お参りとか、てか金曜だし。
「では、一旦休憩、整備されているとはいえ、絶妙に坂道だからキチィ」
絶妙は本当に絶妙なんだけどね、わしゃも歳かのぉー。はい?15歳ですが何か?
「では、来た道を戻っ⋯⋯ん?何か音が」
その音は物が擦れるような、摩擦音?らしき音。えっと確かここには、社殿とおもかる石だったかな?があると載っていたような。とにかくこっそり近づいてみよう、鳥居付近から忍び足で近づいて行くと、何やら声も聞こえてきた。
「ふ、⋯⋯ふ⋯⋯」
ふ?
「ふふ⋯⋯ふふ」
ふふ?あれ?これなんかデジャブを仄かに感じるような⋯⋯。
「ふふ、想定している重さより軽ければ願いが叶うということなら、想定で相応の重さを想定して、その上で数度持ち上げるっていうことができれば⋯⋯ふふふ」
「あの〜中川さん?」
「ひゃい!?」
やっぱり、違うけど似た展開だな〜。
「桂くん!?どうしてここに!!?」
「いやー課題を素早く終わらせようかな〜っと」
「あぁ、あの調査課題ですね」
「そうそう」
あの厄介な課題は素早く終わらせてしまわないといけないわけですよ。
「それはそうと、中川さんは何をしていたの?」
「私はこの⋯⋯おもかる石を持ち上げようと」
「確か資料にも載ってやつだったよね?想定より軽ければ願いが叶うっていうやつだよね?」
「はい、それで事前にシュミレーションを、と」
「シュミレーション?」
「はい!これは想定によってどんな結果にもなり得る、つまりこちらのやり方次第ということになります、だからシュミレーションしてより確実なものにしようかと⋯⋯どうしたんですか?」
「いや、そこまで叶えたい願いってなんだろうなーって思ってね」
「それは⋯⋯秘密ですよ」
「やっぱり?」
「やっぱり、です!」
セオリー的に願いごとは秘密なことが多い。自由だけどね、そっちの方がなんかいろいろいいよね。
「それじゃあ、僕もその確実に少し助力しようかな?いい?」
「是非!それで具体的には何を?」
「一緒に持ち上げるんだよ、それなら2人分の力になるでしょ?」
「それは、いいんでしょうか?」
「いいでしょ、多分きっとおそらく、それに仮に神様的な何かが「見ている」と仮定したとしても、このくらいのことで怒らないよ」
多分きっとおそらく、ね。
「それなら、一緒にお願いしていいですか?」
「うん!じゃあいくよ!」
『せーの!』
2人で同時に1つのものを持ち上げる、想定通り、というか思った以上に軽いその石を持ち上げながら「願い」を思い浮かべる。
「友達が欲しい」というかねてからの願いを。
「それじゃあ、下ろすよ」
「はい!!」
ゆっくり石を下げて、レクリエーション?作業?とにかく石を下ろし終了する。
「願いごと、叶うかなー」
「きっと、叶いますよ!」
「そうだといいんだけどねー」
「それじゃあ桂くん、私から1つお願いをしていいですか?」
「何?」
そんなに改まってどうしたのか?
千本鳥居を背にしこちらを見る中川さん。
「私と、友達になってくれませんか?」
至ってシンプル、ただその言葉は僕にとっては他の人の何倍もの価値を持つ。
「ほんとに?」
「はい、これが私の願いです、私は桂くんと⋯⋯友達になりたいです!」
人生で一度言えるか、言われるか、だからこそこの言葉は心の底から嬉しい言葉。
「今更嘘とかダメだからね?」
「はい、私の願いを態々撤回なんてしません」
「なら僕も⋯⋯中川さん、僕と友達になってくれませんか?」
「はい!」
「やったあ!はは」
「ふふ」
2人で笑う、嬉しさと面白さと、何よりも喜びが。人生の中での大きな願いが叶う、一名と氷柱が今日初めて、友達に、いや真友になった。
「それじゃあ、桂くん、友達になれたということですが、度々なのですが1つお願いを」
「ん?何?」
「一名くん、と呼んでもいいですか?」
「いいよ!⋯⋯それなら僕は氷柱さん、かな?」
「はい!」
ぼっちだった僕にとっての初めての友達。
これは、ここから始まる僕たちの日常の物語。
いろいろ調べが薄いところがありますが歴史の流れで現代とは変わった、ということにしておいてください(小説を書いている上でそれはいいのか?)




