キャットウォーク!
ここで、パーティーメンバーを紹介するぜ!!
1人目、桂一名、人間。2人目、中川氷柱、人間。最後!3人目?ユキ、猫。以上3人の奇妙なパーティーでした。ではこれからあの荒海人波の中に突撃して⋯⋯っていうのは流石に無謀なので一旦回り道をして別の路地から空いているところに行く感じで行くことになった。
「それでは、行きましょうかまずはここから右側に進んだところにある路地に」
「了解!それじゃあ猫は⋯⋯うん、中川さんにお願いするよ⋯⋯」
ユキの姿から、もうここから動かないニャ!ぐらいの固い意志を感じた。くっ、羨ましい僕もあのもふもふを触ってみたい!でも今は諦めるしかないか⋯⋯。
「ほら!早く行きますよ!桂くん!」
小走りで走り出す中川さんを追いかけて、道々を進む。やけに開けてたり、狭かったりと意外と緩急のすごい道に驚きつつも、なんとか走っていき、やっとの思いで人の少ない開けた場所に出る。
「おぉ〜、結構走ったけど、その分空いてるねぇ〜」
「ここは、娯楽と飲食系のゾーンから少し離れているので今の時間帯は人が少ないみたいですね、あっ!あそこに100円ショップとスーパーがありますよ!いきましょう!」
ほんとだ〜、ってあれ?猫って店内に入っていいんだっけ?飲食店⋯⋯は、猫カフェ以外ダメとして、食品系列のスーパーは⋯⋯ダメか?
不明だけど、多分だめ!
「中川さん!ストーップ!」
「はっ、はい!」
「猫、もといユキは置いてこ!一応食品扱うお店だし!」
「あっ!確かにそうですね!あまりにも馴染んでいたので忘れたました!」
まぁ確かにすっぽりはまってるけど⋯⋯。てか猫って結構重かった気が⋯⋯?———これ以上はやめておこう、人として何かを失う気がする。
「それじゃあ、桂くんから買い物済ませてきてください!私はこの辺りを見ておきますので!」
「わかった!なるべく早く済ませるね!」
一旦、パーティーから離脱し買い物へ。手早く必要なものをウィンドウ、じゃなかった棚から選び取りカゴに入れる、その間、10分弱。そこから会計に2分、袋に入れるのに3分、計15分最高記録(当社比)でたな。
「終わったよ〜中川さん!」
「あっ、早かったですね!桂くん」
「そりゃ〜最高速度で来たからね!———それでー、何してたの?」
不自然な場所に座っている中川さん、壁に近いところだからあんまり不自然とも言えないけど⋯⋯それにしたって妙な隙間、空間が空いているような?
「それは、ですね、ハハ⋯⋯」
乾いた笑いで少し誤魔化すかのようにしている⋯⋯気がする。そんなことをしていると答えは自ら出てきた。
———ニャー。
「これは⋯⋯!?」
そこには、少し様変わりした三毛猫、ユキの姿があった。それにしても———。
「ぐふっ⋯⋯ふふっ⋯⋯」
ニャ!ニャニャニャ!!
「ごめん、ごめん、ふふっ」
ちょんまげ、本当にちょん、っと毛が纏まって立っている。これほど面白おかしいことはない、さっきまで可愛さとその中にある少しの気品があったのに今は可愛さと面白さに変わっているのだから。
「ハァ〜、これは、本当に、ふふっ」
「そっ、そんなに笑ったらユキちゃんが可哀想ですよ!」
「いや、ほんと、ごめん、ふふっ、だってこれは、反則でしょ、ふふっ」
「もう、そんなに笑わないでください!じゃないと桂くんも同じにしますよ!」
「それは、勘弁!」
両手に持つ櫛と小さめのゴムを振りかざす中川さんを静止し、なんとか危機を脱する。
「さて、それじゃあ中川さん、いってらっしゃい!」
「はい!いってきます!」
手を振りながら、中川さんを見送る。
「さて、さてそれじゃあ!ユキ!おいで〜」
中川さんが買い物に行っている間はユキは僕が見る、なので割と早く触る機会がやってきた。それも個人で自由に。
「ユキー⋯⋯ってうわっと!」
危うく体制を崩しそうになる。
「これは、接触ではあるけど、触れてないんだよな〜、ほんと予想外⋯⋯」
ユキは僕の膝に乗るでもなく、手の上に来るでもなく、乗った、それも頭の上に⋯⋯なんでぇ?
「いや、まぁユキがいいならいいけどさ、もっと手心とか⋯⋯はい、ないですよね」
きっと、ドヤァとか、ふふん!満足だニャン!みたいな顔してるんだろうな〜。解せぬ。頭に乗られたことよりも、触れなかったことが解せぬ⋯⋯。
「はぁ〜、めちゃくちゃ軽い、頭の上に乗られて首痛くなるかなぁ〜っと思ったけど全然軽い、これは持ち抱えられるわ」
過去の失礼になりかけた僕、猫は案外軽かったぞ!まぁユキしか持った(乗った)ことがないからわかんないけど⋯⋯。
「ユキはユキでよくそこで飽きないなぁ〜正直そこに10分はいられない⋯⋯」
頭の上ってそんなに居心地いいか?猫になったことある人急募!人の頭の上の居心地はどんな感じですか!?———って、言っても誰も出てこないわなぁ〜てか言ってないし。
———パシャ。1人脳内ディベート?をしていたところ、至近距離からシャッター音が⋯⋯何やつ!!音のする先に目を向けると、スマホを持った中川さんがいた。
「中川さん?何故写真を?」
「いえ、ふふっ、人に乗る猫は風情があるな〜っと、ふふっ」
「中川さん⋯⋯適当言ってるでしょ」
「バレましたか、ふふっ」
「写真は消してよ?」
「なっ!!」
いや、そんなこの世の終わりみたいな顔しなくても⋯⋯。
「それじゃあ、帰りましょうか!桂くん!!」
「ちょ!その前に写真を!」
速い!もう本当に速い。脱兎の如くとはこういうことを言うんかね〜。
「って、こんなことやってる場合じゃない!速く行かないと!」
荷物持ってぇ、忘れ物ないか確認してぇ〜、ってユキ動かないんだけど!降りてよーー!
しかも人が流れてきた!仕方ない!このままダーッシュ!
8分後。
「ゼェ、ハァ、ゼェ、ハァー」
スーパーダッシュ(強制)で行きしよりも速く移動できたと思う。体力の損耗率がエグいけど⋯⋯。
「大丈夫ですか?桂くん」
「だっ大丈夫、久々にこんなに走ったから疲れてるだけで⋯⋯そこまでしんどいとかじゃ⋯⋯ないから⋯⋯」
「で、でもこれからこの坂道を登るんですよ?」
「あっ⋯⋯」
心で何かが崩れる音がした⋯⋯気がする。
「わっ、忘れてた⋯⋯」
見たくもないけど、見ざるを得ない目の前の絶望の坂道。
「ぜ〜つぼ〜の音〜」
「桂くん!?」
もはや逆に楽しくなってきたなぁ〜。今からダッシュしようかなぁ〜。とか考えていると左手、第一校門のところから車のタイヤの音がする。
「あれ?誰の車だろう?」
わかるはずもない問いではあるけれど、一応ね。てか停まってない?あっ停まった。
その車は僕たちの目の前で完全停止。そして———。
「おぉ〜桂くんと氷柱ちゃんだぁ〜!」
窓が開いく、そしてそこから一昨日知り合ったばかりの先生が顔を見せる。
「あっ、藍沢先生?」
「おっと!私もいるぞ!」
「あっ、野田先生」
「藍沢先生、それに野田先生は何を?」
「私たちは、ちょっとそこまでね〜、それで2人は、ってユキちゃんじゃん!2人ともどうしてユキと?」
「あぁそれならそこの商店街にいたんで、タグを見て藍沢先生が飼ってる猫だって知って一応連れてきた方がいいかな〜っと」
「そう言うことね〜、2人ともありがと〜、お礼に車で一緒に乗せてってあげよう!」
『ありがとうございます!』
その後、先生の車で寮まで連れてってもらい、その日は解散となった。
「あっ、ユキ触れてない」




