ウォーキング&キャットウォーク?
朝10時現在一名は、寮のエントランスにて、校外への外出の許可を貰うために1回目限定の許可手続きを行なっている。
「はい、これで許可手続きは終了です、以降はアプリよりメールにて外出手続きができるようになります」
「ありがとうございました!」
手続きを終わらせ、寮を出る。春にしては暑い日差しがさす中、学校に行くとは違う理由での外出。
そう!これは校外見学であり!社会科見学的なニュアンスも内包しているのだ!———あっ全部嘘だけどね。
「楽しみだな〜、この辺全然来たことないから知らないところばっかだしどこでも割と楽しめそう!」
未知へのワクワクを胸に抱きながら、スキップをするぐらいの気分で歩いていく。
「さて、ワクワクするのもいいけど、改めて今日の目的を思い出しとかないと⋯⋯」
今日はもちろん観光が目的でもあるのだが、それだけではなく、今後必要なものなどを買いに行く目的もある。
その1、校外学習の時の軽食&いつも食べるお菓子を少々。
その2、観光〜と周辺の地図、地形を頭に入れる。
その3、ご飯!以上この3つを本日の目標・目的とします!
「他にもなんかするかもだけど⋯⋯まぁ大体これだしオッケー、じゃあある意味1番楽しみなまであることを楽しまないとね〜!」
目の前に伸びる坂道、一番の地面すら見えない長い長い坂道「そーれーをー!駆け下りる!!」
スーパーダーッシュッ!!走り始めたら最後もはや歯止めの効かないことがわかっていても、目の前の楽しそうなことをしないわけにはいかない!———でももう遅いけど、一応!
「良い子は———!!マーネェ!しない〜〜でね〜〜!!」
これはまさしく、ジェットコースター(人力)確かにスリリングな体験はできるけど⋯⋯安全性が皆無!!安全バーもないし!ブレーキも完全人力!つまり自己責任ジェットコースターってこと!!———なにそれ怖い!
「あっ、これ、止まれ!?」
タ。なんとかギリギリ止まれた。
「でもこれは———」
この圧倒的スリリングな体験、そしてなんといってもタダ、それでも———。
「しばらくはいいや」
1度の体験だけで満足できたし、それに命が危ない。
「こう考えるとジェットコースターって本当に安全性があるんだなぁ〜感心、感心」
とまぁ、そんな感じで降りていったわけだが、まだここ全然序盤なのよね、ていうかまだ高校の敷地内から出てないけどね⋯⋯。
「よし!では、いざゆかん!未知の道&未知の街へ」
市の中、街だから市街か?——— 10分後⋯⋯ぐらい。
「到着、したのはいいけど、人いすぎじゃない?」
これはまるで———人がゴミのよ、違う違う、人の津な、でもない。これはなんだ乙訓風にいうなら、そこら中から筍が生えてるような、昔の長岡京がここにあるかのような———見たことも、詳しく勉強したこともないけど♪
「おわっ」
こうして棒立ちしてると、人にぶつかりそうになる⋯⋯よし、一旦歩いて中に入ろう、ここは危険が危ない(パート2?)鋼の意志と足を持って、この荒波の中に、入水(水はないよ)
いや〜普通に来たことないからあんま言えないけどさぁ〜ここってこんなに人くるぅ!!だって隣京都市だよ!最近いろいろ開発が進んだとはいえこんなに人来る?ふぅ〜人酔いしそう⋯⋯。
体感と実際は違うんだろうけど、ほんと日本の人口の3割くらいはいそう⋯⋯。と、とにかく今は一旦開けた場所に行きたい!そう思っていたら人がいなさそうな路地らしきものを発見。あそこに!人波を慎重にかき分けていきなんとか路地に辿り着く。
「はぁ〜、流石に舐めてた⋯⋯ここまで人が多いとは⋯⋯」
———ニャーん。
「にゃにゃ、ニャーニャ、ニャーん!!」
「ニャ、ニャーん?」
路地に入ってすぐ聞こえた、鳴き声?のような声が2つ———。
「ニャ、ニャっ、なっ、ニャんでもないですぅ———」
そこには見覚えのある、特に近日、それはそれは近日から見覚えのある、姿があった。
淡い青と銀色を混ぜたような髪。彼女の名前は中川氷柱、同級生であり、最近は何かの縁か、偶然かよく出会う、そしてそれは本日も例外ではなかったようで———。
「ニャはようございます?」
なんとなく、猫っぽく挨拶をする。
「はっ、はぁい」
赤面、わかりやすく赤くなる顔と耳。なんかごめん⋯⋯。声に出すともっとよくない気がして、心の中で唱える。
「そっそれで中川さんはどうしてここに?」
「わっ私は⋯⋯ぷふぅ」
空気が抜けた?ような感じの音の後に続けて中川さんは話す。
「私は来週の校外学習の準備のために諸々を買いに来たんですけど⋯⋯時間をかけてるうちにどんどん人が来て、避難のために路地に入ったところ、猫がいたので⋯⋯今の状況に⋯⋯」
「なるほど⋯⋯」
「それで⋯⋯桂くんはなぜここに?」
「ん?あぁ中川さんと大体同じ理由かなぁ〜、いたのは猫だけじゃなかったけどね」
「掘り返さないでください!」
プンス、っと怒る中川さん。それと———ニャーん、っと鳴く猫。
「で、この猫は?首輪ついてるし、野良には見えないけど⋯⋯」
この猫、柄的には三毛猫の個人的好きな猫ランキング堂々1位の三毛猫、首輪が付いているので野良ではないのは確か、だが他には情報がない。
「それが、私もわかってなくて⋯⋯この辺りの子なら帰れそうな気もするんですが⋯⋯30分ほどここから動かないんですよね⋯⋯」
おっとぉ〜、しれっと驚愕の事実を言ったなぁ〜。30分はここにいたってことでしょ?まぁ猫は可愛いのはわかる。
「それじゃあ、他に情報は⋯⋯って、ん?」
猫の首輪の後ろに、ひらひらと何かが⋯⋯?
「これは?」
そのひらひら動く何かを掴もうとした、らよ。猫がものすごい勢いで避けるわ、もはや超人⋯⋯超猫的な動きだよ⋯⋯いや、そんな嫌?
シュシュシュシュっと避け続ける猫、手を動かし続ける僕、それを見る中川さん。この三角関係ならぬ三ニャん関係に終止符を打つには———。
「中川さん、お願いしていい?」
「ふふっ、はい!わかりました!」
僕が避けられまくってる隙に中川さんが猫の頭をキャッチする。
———ニャー。
「ふふっ、手間ぁかけさせおって⋯⋯」
先ほどまでの動きは嘘かのように止まっている猫、なんならゴロゴロ言ってるし⋯⋯。
ちょっと傷つく⋯⋯。それはまぁいいわ、切り替えていこう。
首輪に付いている、タグをつかんで確認すると、そこにはユキという名前と迷子防止用タグつき、と書かれたものと、QRコード。
「大丈夫っぽい?この子」
「そうなんですか?」
「うん、迷子防止用タグ?っていうやつらしいから」
「あぁ、あのタグですか、それなら大丈夫そうですね」
2人とも猫から手を離す。ブルブルっと体を振るユキ。可愛い。
「ふぅ〜!それじゃあどうしようか?」
「そうですね⋯⋯そろそろお昼になりますし、買い物だけ済ませて一旦寮にでも行こうかと」
「なら僕もお供させてもらおうかな〜!」
「それじゃあ、遠回りしていきましょうか!」
激込みのままの通りから出るのではなく、回り道から出るルートへ向かう。
———ニャー?ニャーん、ニャーにゃ。
後ろから聞こえるユキの声。
「ぐぬぬぬ」
「うぬぬぬ」
同時、全く同時に振り返り、ユキの元へ駆ける。
「置いてけねぇーー!」
「置いて行けないです〜!!」
2人で抱きしめ———はしないよ、やめといたよ!
「こうなったら!」
QRコードを読み込む。そして映し出されたのは———。
「あれ?これ、藍沢先生?」
「みたいですね?」
「それなら、まぁ、ね」
「ですね」
中川さんがユキを抱える。グデーンっと伸びるユキを持って、いざ行かん!寮までの道!(寄り道多数)




