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僕の事件簿  作者: 三浦猫
入学式

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2/3

入学式:起 前編

入学式。

桜が舞い落ちる中、様々な思いが入り混じる日である。

期待、焦燥、安心、不安、そして僕の抱く憂鬱。


由緒正しいと、この片田舎で言われている、[峰山学園-みねやまがくえん]の校門で僕はため息をつく。

別に何か不満がこの学び舎にあるわけではない、ただ純粋に苦痛なのである。


重い足取りを人混みの少ない方へ向ける。

せっかくの入学式だ。

高校デビューとやらはしっかり決めたいもんだぜ!

と息巻いていた、寝起きの僕を絞め殺したい…。


入学式場の体育館に向かう中、せっかくなので自己紹介をここでしようと思う。

僕、灯条(とうじょう) (なぎ)という名前だ。

小柄な身長、枝のような細腕。

外出をしないせいで、吸血鬼のような美白を持っている。

とは言え、白を通り越していて青白いに近い。

そんな、不健康な体を持つごく普通の少年である。


特別取り上げることとしたら右目にある先天的な問題を抱えている。

重病や奇病ではなく、見えるのである。

人と人の相関図とも言える線が。


色は様々である。

例えば、青は信頼、黄色は懐疑、桃色は恋慕、といった具合である。

もちろんくっきりしたものもあれば、人間関係なので濁っているものが大半だ。

ただ、そういった物が渦巻く鮮やかな視界のせいで、僕はこの自慢の美白を手にしたといっても過言ではない。

引きこもりのコミュニケーション皆無な人生なのである。


そんな不健康な吸血鬼擬きが、爽やかな青春の1ページと言っても過言ではない華やかな入学式のような大人数のワクワクスペースに登場するとこうなってしまうのである。

例えるなら、まさに目に直接、美術の授業終わりにクラス全員分が使った筆洗いバケツを集めた鮮やかすぎる汚水をぶちまけられるようなものなのである。

現代アート顔負けである光景だ。


全く参ってしまう…。

そんな自己紹介をしていても、気分が悪いので空を仰ぎながらたどり着いた校舎裏のベンチに腰をかける。

ちなみに移動距離は校門に入ってすぐ角を曲がったところである。

チョロQくらいの移動距離である。


「あんな光景をキャンバスにぶちまけて表現できたら僕はピカソに匹敵できるかもな…。」

息を整えて自虐を空に吐き出してみる僕の視界に、同じく空に吐き出されたであろうタバコの煙が挨拶をしてきた。

「おっと悪いな新入生、受動喫煙だなんて騒ぐなよ?非行の煙を吸い込んでくれ。」

ベンチの後ろの校舎の窓から飛び出してきた突然の副流煙に僕は咳き込み、泣きながら窓の方を睨み返す。

「この令和の昨今に最低な挨拶だな、おっさん!」

「おっと、悪かったな。煙亭先生ってもんだ、よろしくな非行少年。」

「誰が非行少年だ!よろしくできるか!!」

「なんだ先生に向かってカリカリしやがって。

華やかな場所からフラフラと出てきたから心配して煙を分け与えてあげたんだが…。

あんまりな態度の15歳だな…。」

「青白い不健康な少年をヤニカス扱いするな!

15歳よろしく、15の朝で盗んだ自転車で飛び出していってやろうか!」

僕の怒号が響きわたった。

そして、ニヤニヤする不愉快を通り越している髭が似合う胡散臭い先生。

そんな僕の高校生デビューが炸裂したのであった。

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