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虹の星の彼方に、春はきっと

作者: 逢乃 雫

空を染める夕陽が


オレンジから薄紫へ


色を変えゆくとき



ほのかな空の彼方では


月がまんまるく


微笑みを浮かべて



やわらかな光の中


春を前に咲く冬スミレは


アメシストのように



初花月(はつはなづき)の夕闇に


気高く風をなびかせて




春はきっと、


この花のように



寒い冬の中でも


ずっと大切に


あたためてきた


希望の蕾



吹きゆく風は


なお冷たく頬をかすめ



樹々の枝はまだ


雨宿りの葉を


持ち合わせていなくても



風の(さや)けさが


樹々の内なる息吹きが


そこにあるから



見つめる地平線の先に


ぎょしゃ座のカペラは


虹色に瞬いて

 



春はきっと、


この胸の中に



想いを膨らませ


心をあたため


夢が放つ光を浴びて


未来に咲く姿を



思い悩んだあの夜を


人知れず流した涙を


胸に忘れずに



春を待つだけでなく


咲くことで春を


呼び寄せる花のように


日々を過ごせたら




時に立ち止まることも


きっとある


その時は空を見上げて



春へと続く空は


太陽が眠る間も



星のダイヤモンドが


照らしてくれる


カペラに導かれて



空を駆けていく星たちが


やがて明日と新しい太陽を


連れて来てくれるから




心の土に


芽吹いた希望は


枯れることなく



想いも夢も


そして


春もここで今かと



花開く瞬間(とき)


待っているから




心の地平線から


輝き出す虹の星が



やがて空を駆け上がり


春のあたたかな色で 


天頂から照らす


その時を信じて




春はきっと、


この胸の中に



虹色の星とともに






  







2月は初花月とも呼ばれ、誕生石はアメシスト(紫水晶)です。春のスミレが寒い中で春に先駆けて咲くことを「冬スミレ(冬菫)」といわれ、そのスミレの花言葉は「小さな幸せ」「誠実」です。


また、ぎょしゃ座のカペラは「冬のダイヤモンド」の一等星の一つで、他の星に先駆けて現れ、天高く上るクリーム色の星です。地平線近くでは大気の影響で七色に見え、「虹星」とも呼ばれます。


暦は立春を過ぎましたが、まだ寒い中、春への想いや希望を、花と星をモチーフに描かせていただきました。お読みいただき、ありがとうございます。


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― 新着の感想 ―
[良い点]  冬スミレは咲く時期での名称なのですね。  気高くとのお言葉が、寒風の中でも凛と咲く姿を表すようです。  地の中に、そして胸の中にある春。  見る景色に、留まることのない星々に、ゆっくり…
[良い点] 散りばめられた色が本当にキレイで 澄んだ空気の空を見上げている気持ちに 虹星ってステキな言葉ですね! 詩の美しさはもちろん、いつも「あとがき」もとても勉強になります!! 読ませていただき…
[良い点]  読みました。詩情豊かで魅力的な詩だと思います。虹色の満点の星空を背にして、冷たい夜風に吹かれて靡く紫色のスミレを想起しました。いつまでもこのような景色をみていたいような気がして、その間に…
2023/02/17 14:25 退会済み
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