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第六話

本日2話目です。

 大変だ、このままだと両親が。


 お母様が。

 死んでしまう。


 「死」という響きが重々しい。それに、口に出すとそれが本当になってしまいそうで怖い。それに、もしも謝れないままお母様が……しまったら、私は一生それを後悔する。何より、今は前世が戻ったことでフェリシアとしての人格は薄れているけれど、両親はこんな私の事を5年間も愛してくれた。行動するんだったら、今なんじゃないか。


 その瞬間、私は動き出していた。


 ベッドから跳ね起きると、ミアに声を掛けられた。「お嬢様!何処に行かれるのですか!?」

 「お父様とお母様のところよ!今日の事を謝りに行かなきゃ!」

 「ですが……!」

 「このまま、後悔したくないのよ!」


 そう言うと、ミアは驚いたように目を見開き、頷いた。


 「ありがと、ミア!」




 ミアの話だと、まだ出発していないらしい。小さい体を懸命に動かして、階段を駆け降り、走って、走って、遂に玄関から外に出た。門番の人に、「お父様とお母様はどこ!?」と尋ねると、驚きながらも教えてくれた。二人はもうすぐ馬車に乗るというところだった。


 間に合え、間に合え……!


 走って、躓きそうになりながらも走って、もうすぐ追い付くというところで、私は走りながら大きく息を吸い、


 「お父様ーーー!お母様ーーー!」


 と叫んだ。


 すると私に気づいたようで、二人は心底びっくりしたというように目を開くと、御者の人に声を掛けた後、すぐさま私の方に来てくれた。


 「フェリシア……!大丈夫なのか!?」

 「フェリシアちゃん!どうしたの!?怪我はしなかった!?痛くない?」


 私を心配してくれる二人に、心が暖かくなる。私は本当に、良い家族を持ったんだなぁと思うと同時に、申し訳なくもなった。こんな良い家族に、私は今までなんてことをしてしまったんだろうと後悔に襲われた。だからこそだ。ずっと言いたかった台詞を伝えようと、口を開いた。


 「ごめんなさい!」


 そう言うと、一気に涙が堪えきれずに溢れてきた。


 「うっ、っ、プレゼント、せっかく、くれたのにっ……!うぅっ、買い直してとか、ふさわしくないとかっ、言ってっ、ごめんなさいぃっ、もう、あんなことしないっ……!ごめんなさい……!だから、行かないでぇっ……!」

 「フェリシアちゃん……、もう良いのよ、気にしないで。ねぇ貴方?」

 「あぁ、フェリシアが笑顔でいてくれることが、私達にとって最高の幸せなんだよ」


 両親はそう言って、私に笑い掛けてくれた。


 思わず、驚いてしまった。なんて、なんて私を思ってくれているんだろうか。


 嬉しかった。こうやって謝れて、許してもらえて、両親も生きてて。良かった。そう思うとまた、涙が止まらなくなった。


 涙腺が崩壊してしまった私を見て、お父様が、

「フェリシアもこう言っているし、なんと言っても今日はフェリシアの誕生日だからな。久しぶりに家族だけで過ごすか」と言った。


 お母様も嬉しそうに笑い、

「えぇ、それは良いわ!フェリシアちゃん、何がしたい?」と賛同する。


 私の後ろには、いつ来たのかしっかりミアがいて、

「良かったですねぇ、お嬢様」と涙ながらに声を掛けてくれた。



 本当にフェリシアは、私は、幸せなんだなぁと思った。






 今日感じたこの幸せがこれからも続きますように。

いつも読んでくださり、ありがとうございます!

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