第五話
今日は2話投稿します!
ガチャッと音がして扉が開いたと思った途端、私は誰かに抱き締められていた。
「お嬢様ぁ~!無事で良かったですぅ!!」
泣きながら私にそう言った彼女は、メイドの格好をしている。
「うわぁ痛い痛い痛い!!」
この人、怪力だ!締め付けが強くて腕が折れるくらい力が強い。てか、めっちゃ顔可愛い!
可愛いメイドに興奮してしまった私だが、案の定このメイドの名前が思い出せない。ゲームでは、フェリシアのメイドは顔とか出てこなくて台詞だけだったから、全然意識していなかったのだ。
「あ、えっと、心配してくれてありがと。貴方の名前は何て言うの?」
と言うと、何故か泣き出しそうになって、
「私はフェリシア·バートランドお嬢様の専属侍女、ミアにございますぅ」
と自己紹介してくれた。
あまりにもうるうるしているので、どうしたんだろうと思い尋ねてみる。
「どうしたの?私何かしちゃったかな!?」
「お嬢様が私に名前をお尋ねになるなんて……!どうしたんですか?」
なんと!フェリシア、自分の専属侍女の名前すら覚えてない、むしろ知らないマ!?良くないわ、マジで良くない!
「あっ……、それは本当にごめんなさい!私、これからはそんなことしないわ。今までずっと、貴方や他の人への接し方が酷かったから……本当にごめんなさい!」
「お嬢様が謝ったわ!」
「何だって!?」
「いえいえ、何でもありませんよ~。ですが、お嬢様がそうやって自分を省みてくださったこと、ありがとうございます。実を言いますと、私がお嬢様の侍女になったのは、公爵様なりのお嬢様への気遣いなんですよ。いつも寂しそうだったので、話し相手をと」
「そうだったんだ……。尚更ごめんなさい……!うーん、こんなことを言うのもアレだけれど、私の専属侍女、これからも続けてくれる?」
「勿論です!私、お嬢様の事好きですもん」
私は、フェリシアの思わぬ子供時代を聞いてびっくりしてしまった。いつも寂しかったから、虚勢を張ってたのかな?こんなに良いメイドがいるのに……。
「あっ!そういえば、お父様とお母様は!?」
そうなのだ、さっきからずっと気になっていた。ゲームでは、フェリシアの母親の名前が一切出てこなかった。出てきたのはお父様と、これから出てくる義弟のオスカーだけ。でも、今日の誕生日にはプレゼントをくれた。ゲーム内で、フェリシアの自室には、わざと目立つように飾られた2ショットと今日貰った人形が置いてあった気がする。
嫌な予感がする。
「公爵様と公爵夫人様は、買い物に出掛けられるところです、まだ出発してはおられませんが、もうすぐだと思いますよ」
もしかして。
私へのプレゼントを買い直すために買い物に出掛けて死んでしまった……ってこと……??
私はハッとした。ゲームで、お父様は片腕がなかった。
じゃあ、お母様は……??
今日、死んでしまう……?
いつも読んでくださり、ありがとうございます!