第42話 ギルドとか憧れてたんだよな
その日も。
次の日も。
ずっと、変わらない日々が続いた。
クラスでは相変わらずオーリャさんとしか喋れなくて。
エシリアさんやリアさんには些細ないたずらをされて。
あまりに平和すぎたから、ここに、この世界に来た意味がわからなくなって来てしまいそうだった。
そんな平和な日々がしばらく続いて。
そして、学校は休みになった。
特に何かあったわけじゃない。
ただ単に、休みの日だったってだけ。
だから昼過ぎても寝てた。
ずっと寝てた。
で起きて、けどなんか体が熱くておきにくくて、一瞬風邪引いたかと思った。
テーブルの上に美味しそうなサンドイッチがいくつか並んでいて、ブドウジュースが隣においてあった。
から、一瞬で食べつくしてしまった。
昔、親が時々………ほんっっっっっとに時々、親が昼家にいるとき、作ってくれたサンドイッチはパンの耳までついてたけど、これは耳がついてない、ふわふわのサンドイッチパンである。
ハムとかツナとかが入ってる。
レタスもキュウリもシャキシャキだ。
美味しかった。
ブドウジュースも、濃厚で、ほんと、”ジュース”って呼んでいいやつだ。
それから、何を思ったか部屋を出た。
暇だったんだよな。
勝手に街へ行くのもダメだなと思ったし、部屋の中でできることだって限られてるから、なんか歩きたくなったんだよな。
前忠告された通り、リオさんの部屋の近くを通るときは気をつけて。
そしたら、アダムさんが目の前の通路から歩いてくるのが見えた。
俺を見たら歩く速度を速くして、一緒にいた人に何か言って追い払っていた。(この言い方は良くないな)
そして俺の目の前に来て、軽く息を切らしながら言った。
「ナオくん、ギルドに行こう!」
「えっ、ギルド!?」
この時の俺の反応にはものすごい喜びが含まれていたと思う。
えだって。
ギルドだよ?
異世界転生・転移モノの鉄板。
二度目の人生の元最強勇者の少年がギルドでむずい依頼受けて解決したことから王様に認められるようになった、とか。
パーティーを追放されたチート勇者がギルドでSランクの依頼とか受けまくって昔の仲間を見返す話とか。
そういうギルド!!!
小説で嫌という程見た文字列だ!
多分、それが顔に出ていたんだと思う。
アダムさんは一瞬驚いた顔をしてから微笑んだ。
「嬉しそうだね。………あぁそうか、ナオくんは全部知っているから、ギルドがどんなところかもわかるのか。」
「はい。」
まぁなんだ。
簡単に言うと、冒険者やパーティーに仕事を紹介したりするところ。
ちなみにこの世界のギルドも、冒険者のランク分けがされているらしく、ランクが高ければ高いほど報酬が高くなる。
仕事の難易度も、高いほど報酬は高くなる。
ランクが低いやつはランクが高いやつにいじめられる、っていうのも、魔王が出現してから起こってるらしい。
どこも生活が一変してしまったらしく、昔みたいに、ランクが低いやつをランクが高いやつが助けて、成長できるようにする、というのは無くなってしまったようだ。まぁ、完全にではないだろうけど。
まぁ、仕事の取り合いみたいなもんなんだろうなぁ。
自分のレベルより高い仕事を受けてしまって亡くなった方もいるんだとか………
「勇者だということを明かす訳にはいかないから、私はいけないのだけれどね。フェドがついて行ってくれる。と言っても、入り口までだけれどね。そこからはギルドの職員の指示に従って登録してくれ。」
フェドさんが途中まで一緒………ちょっと安心かも。
「門のところまでは送るよ。そこにフェドがいる。」
ニッコリと笑って俺の腰を抱くようにしながらエスコートしてくれる。
ほぇ〜、大人って感じ。
門まで歩く途中で、
「そうだ。スキル表示は色々細工したから本来のスキルより少し下がったようになってしまうけれど、ナオくんのスキル自体が下がった訳じゃないからね。」
「はい、ありがとうございます。」
でも、レベルが低くて見下されるのもやだなぁ………
って、フラグ立てたらダメダメ!
フェドさんと合流し、アダムさんに見送られて街へ向かう。
(あの人国王だよな、こんなことしてていいのか………?と定期的に思う。)
「ナオくん、気をつけてくださいね。ギルドには荒っぽい連中だっているんですから。ナオくんがやられることはあり得ないと思いますが、絡まれた時は戦う戦わないを考えず、ご自分の身を守ることに専念してくださいね………って、こんなこと言わなくても大丈夫ですよね。失礼しました。」
「あ、いいえ。大丈夫です。」
つまり、容赦なくやっていいってことかな?
これは曲解すぎるか。曲げすぎた。
道中ずっと心配そうだったフェドさんは、ギルドに着くともっと心配そうになった。
この人、本当に騎士団長なんだよな?
「何かあったら呼んでください。どんな方法で呼ばれようと駆けつけますから。」
「本当に大丈夫でしょうか………最近のギルドは荒れてますから………」
さっきまで少し緊張していた俺が一気に冷静になるくらいの慌てっぷりだ。
「大丈夫ですよ。アダムさんが行っていいって判断したんですし。行ってきます。」
「お、お気をつけて………」
背を向けたものの、眉をくにっと曲げて心配そうにしている様子が目に浮かぶようである。
大丈夫ですってば。
そして入って二秒。
中にいた人の目が一気にこっちに集まった。
あいにく、華奢な魔法師なんておらず、ガタイのいい大剣を持った野郎しかいない。
そして最初の一言。
「あぁん?なんだぁ?」
ガラわっっっっっっっっる!!!!




