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第38話  濃すぎる一日目がやっと終わった………

 「それじゃおしまーいー挨拶どーぞー。」

キース先生のその言葉で、女の子が号令をかけた。

俺が教科書を片付けていると、キース先生はてこてこと言う効果音がつきそうな感じでやってきて、


「緊張せずぅ、いつでもきていいからねぇ。わからないことがなくてもぉ、喋りにくるだけでいいんだよぉ〜。」

そう言われて、にっこりと頷いた。


作った笑顔ではないけれど、心からの笑顔でもない。

自然と溢れた笑顔だな、って客観的に思った。



 その後のさまざまな授業は、アーリャ先生と、ルーカス先生と、キース先生が交代みたいに教えてくれたので、段々と先生たちの授業の空気が掴めてきた。


アーリャ先生は厳しいけど優しい。

お母さんみたい、とまでは行かずとも、お姉さんみたい、って感じ。

そういえばオーリャさんのお姉さんだもんね。


ルーカス先生は、おおらかで優しく、見守ってくれる感じ。でも怒るところはちゃんと怒る。

お兄ちゃんみたいな感じだ。


キース先生は、ふわふわで、穏やかで、優しくて、あんまり怒らない感じ。

弟、って感じがした。(本人には意地でも聞かれたくない)


まぁ、家族みたいな感じで授業が受けられるんだ。

どの先生も優しいし。


基本的に俺が授業を受けたりしてかかわるのはこの三人の先生方だけだが、たまに、校長先生や、ギルドなどからやってくる講師の方と関わることもあるそうだ。(オーリャさんに聞いた)


 俺が日本で会ったことのある先生方は、小学校の頃の先生はうざいと思う人もいたし、うるさい奴らを全く叱らない先生もいたし、すごく厳しくて必要以上に怒る時に大声を出す先生もいたり。中学なんかは、そっけなくて愛想なくてニコリともしなかったり、急にものすごいトーンで怒り出したり、一部の生徒を贔屓したり。


面白い先生もいい先生もいなかったわけではないが、───けど、やっぱり………


だから、家族みたいな空気感で授業を受けられるのは理想すぎるんだ。


 それに俺は上にも下にも兄弟がいないから、アーリャ先生やルーカス先生のような姉・兄、キース先生のような弟のような人たちが身近にいるのは初めての感覚で安心する。


頼れる大人が周りにいてくれるってのもありがたいし………。



 だから、学校は絶対楽しくなる予感がしたし、というか既に最高に楽しい。

(クラスメイトとの関係についてはオーリャさん以外結構不安はあるけど………)


 そんな感じで帰る時間になると、セシリアさんとリオさんが正門で待ってくれていた。


「お帰りなさい、ですわ、ナオさん。」

「お帰りなさい、ナオさん。初日はいかがでしたか?Sクラスは大変でしょう。基礎力の測定テストはとてもいい結果だったようですね。僕らのところにまで噂が入ってきましたよ。まぁ、僕も見に行ったのですが、全てとても綺麗でした。水も火も氷も植物も………さすがですね。」

リオさんはそう言いながら俺の頭を撫でた。


俺は顔が熱く、赤くなったのを感じる。

背の高いリオさんを見上げながら口元を押さえ、


「す、みません、あの、えっと、なんで………」

かろうじてそれを口に出すと、リオさんはパッと手を肩のあたりまで上げた。


「弟妹たちによくやっていたもので。クセで、つい………すみません。」

「い。いえ。嫌ではないんですけど、でも、慣れてなくて………上にも下にも兄弟がいなかったものですし、親にもそんなことされたことがなかったので………」

そう、親にも、撫でてもらったりなんてこと、なかった、っけなぁ………


そう言った途端、リオさんは上げていた手をまた俺の頭に置いて、わしゃわしゃし始めた。


「え、ちょっと、リオさん!?」

「失礼だとはわかっているのですが、その話を聞くといてもたってもいられなくて、胸が痛くなってしまって………庇護欲というやつでしょうか。」

その間もわしゃわしゃをやめない。


「お兄様、ストップですわ。」

セシリアさんはそう言って、俺らを車の方に促した。


しかし歩きながらもリオさんは撫でることをやめなかったので、俺も諦めることにした。



 魔動車に乗り込むと、いくら貴族の学園と言えど、椅子がソファというわけでもないので、やはり魔動車のクッションの方が何倍もふかふかだ。


沈み込んで飲み込まれてしまいそうで、そんでもって眠くさせるほどのふかふか具合。


「寝ててもいいですよ。」

リオさんに、見抜かれてしまったが、いいえ、大丈夫です。と首を振った。


今寝たら夜寝れなくなり、夜寝れなくなると朝がきつい。


負の連鎖を起こさないためになんとかしなければ。


「我慢しなくてもいいんですのよ。現にわたくしは今から寝ます。」

セシリアさんはそう宣言すると、車の壁に頭をもたせかけるようにして目を瞑り、それから一切喋らなくなった。


寝顔がこんなに整っているとか、さすがプリンセス、アダムさんとイヴさんの家系である。



 「ほら、ナオさんもお休みになっては?僕らと一緒に昼寝でもしましょう。」

一緒に、ってことは、リオさんも寝るつもりらしい。


寝てる二人と一緒に、音を立てないように気を張り続けるのもめんどくさい、とおもってしまったので、


「それじゃあ、寝ます。」

と言った。


そのまま、後ろにあるふかふかクッションに頭を持たせるようにして目を閉じる。


余程疲れていたのだろう。気づいた時には夢の中だった。



 ………ちなみに。

「おや?おやおやおや………。」

リオさんがふっと微笑む。


「ナオさんはどれだけ疲れてたんでしょう。すぐに寝てしまわれました。………ふう。僕も寝ましょうかね。ナオさんに肩を貸したまま。」


俺が眠りながらリオさんの(王子様の!!!!)肩に頭を置いてしまったことは、一生の不覚であり、起きた時、どれだけ恥ずかしい思いをしたかは、言わなくてもわかるだろう。

読んでくださってありがとうございます!

まさかの前回投稿から2ヶ月。

何やってるんだわたし。

いまだに読んでくださっている方がいるというのが非常ーーーーーーーーに嬉しいです、本当に!!


最近寒くなってきましたね………

わたしはここ数日非常に頭がいたくて友達に相談したんですけど、偏頭痛だって言われました。

偏頭痛ってこんな感じなんだ………?

皆さんも風邪とかお気をつけてくださいませ。


それでは次の小説でお会いしましょう。

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