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第36話  属性魔法の出力テスト

 「まず、それぞれの属性の出力テストをします。」

アーリャ先生がそう言って、魔法で砂の上に大きな円を書いた。


「この中に、できるだけ大きくそれぞれの属性の魔法を出現させてね。ルールはそれだけ。それじゃ、まずは風から。」

詳しい説明何もなしに、砂に書かれた円の前に立たされた。


えー………。


「大丈夫よ、頑張って。」

小声でそう言われ、頷きはするものの………。


まぁいいや、やろう。

まずは風属性から、だったよね。


今回は、ただ、「風よ!」って叫ぶだけじゃダメそうだな。

呪文が必要な気がする。


まぁ、俺にはミーナスさんたちがくれたデータがあるので!


風を起こそうと杖を構えると、勝手に口が動き出す。


「ヴェント」

すると、円の中いっぱいに、轟々とうなる風が出現した。


砂がたくさん飛んで、目に入りそうだ。

これじゃ、見物に来たみんなが大変だよ。


そう思って、杖をちょっと動かした。

イメージ的には、優しいけど大きな風。


俺が杖を軽く傾けると、風は円と全く同じ大きさの丸い輪っかに収束した。


風はその場でくるくると回り、そよいでいる。


あー、こういうの好き。

落ち着く〜。


 するとアーリャ先生が厳しい顔をして何かをバインダーに書き始めた。

ん?


 「つ、次は火属性よ。ルールはさっきと同じ。」

俺は頷いて、杖を構える。


さっきみたいに、また勝手に口が動く。

まるで、何年も何年も使ってきたみたいに。


「フラム」

またもやキャンプファイヤーみたいに円の中が燃え出す。


(こうやって秩序なく燃えてるのを見るのも嫌いじゃないけど、さっきの輪っか状の風を見た後だと、やっぱり………)


そう思いながら杖を傾ける。

炎は徐々に輪っかの形になり、ヒュンヒュン回りながら燃え始めた。


そうそう、この形が綺麗だ。

なんなら、次の属性からみんな、最初からこの形で出現させたら綺麗じゃん。


 しかし、徐々にアーリャ先生の顔は曇って行く。


「次は氷属性よ。」

何か考え込むような顔つきで、上の空のまま俺に指示した。


俺は不思議に思いながらも頷き、そして呪文を唱える。

杖をかっこよく体の前に構えて。


「ラ・グラス」

空中に、輪っかの形になった氷が出現した。


うーん………せっかく氷の形なんだから、もっと綺麗な………球体とかいいかも。


そう思った瞬間、氷はすぐに球になった。

本当に、本当に綺麗な球体で、曲線で、なんて綺麗なんだろうってきっとみんな思ってくれるだろーなぁ。


しかし。


アーリャ先生はとうとう頭を抱えてしまった。

え、ダメなの!?ダメだった!?


「アーリャ先生、あの、えっと、どうされました?」

「い、いいえ………なんでもないわ。」

そう言いながら頭をかかえるのをやめるアーリャ先生。


「なんでこんなに出力が高いの?あり得ない!」

と言ったのは俺には聞こえていない。


「次は雷属性ですよね。」

「え、えぇ………」

俺は杖をちゃんと握り直して、一言。


「エイリットリチータ」

パチパチと言いながら、黄色の雷が出現。


「君の形を変えるのはやめておくね。だってなんだか危ない気がする。」

そんな風に話しかけて、アーリャ先生に、


「もう消してしまっていいですか?」

と聞いた。


「え、えぇ………いいわよ!」

いいわよ!のところで、何かを決意したみたいな顔をしていた。


俺はノールックで、つまりアーリャ先生の方を見たまま軽く杖をふり、雷を消した。


この行為でアーリャ先生の心労が増えていることを俺は知らない。


 「他にテストはありますか?」

と聞くと、


「いいえ、これだけよ。お疲れ様、リトニアくん。」

と言われた。よかった、これで終わりか。


「それじゃあ、教室に戻ります。あー、体操着、砂で汚れちゃった………」

綺麗になあれ、なんて軽くふざけながら杖をふり、汚れをとる。


 そのまま教室に向かっていると、俺に向かって話しかける人が現れた。


「ちょっと、アンタ!」

声だけでわかる、オーリャさんだ。


「どうしたの?」

「どうしたもこうしたもないわよっ!」

オーリャさんはキレているのだろうか。


「だって、あなた、アレ!」

「アレって?」

「なんで、5属性の形を簡単に変えられるの!!」

その途端、俺のデータベースが火を吹いた。


『五属性とは、水、風、火、雷、氷の五つの属性のことである。植物などについてはこれに含まれていない。ちなみに、五属性の魔法をすぐに変えるのは難しく、まして円形などは経験を積んだ賢者でも難しい。』


それを早く言ってもらえませんかねぇええええ!!??


やば、どうしよう………

賢者でもできないことを、ひょいとやってのけた転校生。


そりゃあアーリャ先生も頭抱えるわ。


どうしよう。

勇者だってバレないように魔力を半分抑えてくれていたはずでは?アダムさん。


………いや、アダムさんは責められないけど。

何も知らずに綺麗だからって理由でバンバン形変えた俺が悪い。


「さあ、答えなさい。アナタ、どうやってアレをやったの!」

「どうやってって、ただ、綺麗な形がいいな、って思って………」

「はぁ!?ふざけてるの!?」

「ふざけてません!」

本当、本当にそれだけなんです。


ただただ、綺麗な形がいいと思ってやってたら、ものすごく難しいことで、そんでもって、その難しいことを叶えられてしまう魔力と技量を俺が持ってしまっていただけなんです!!


俺もアダムさんも一切悪くない!後、俺の脳内データベースも!!


「アナタ、本当………」

言いかけてから、オーリャさんは深い深いため息をついて、


「まあ、うん。どの魔法もすごく綺麗だったわ。特に氷魔法の球体。北の方から来たことに関係があるのかしらね。」

と、諦めたように褒めてくれた。


北の方からなんて全く来てないんだけどな、と思いながら、「ありがとう。」と返した。

 読んでくださってありがとうございます。

お久しぶりです。

テスト期間と大会とがあって全然こっちに顔出せませんでした………すみません。

実はそろそろ少年陰陽師投稿しないとやばいなと思っています。

書かなきゃですね。

今いろいろあって病んでるので書いて気分転換しようかな。


それではまた近いうちにお会いしましょう。

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