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第33話  初魔法薬作り

 正直、どうしたら材料が集められるかまではわからないけど、とりあえず、魔力を込めて念じればいいと思う。

プロセスが大事だと言われても良くわかんないし………


ただ、教科書に載ってる材料をここに集めて欲しいだけで………


そう思いながら杖を軽く振ると、ちょっとずつ材料が出現し始めた。


最後の一つが来てから、ずっと黙っていたオーリャさんに、


「始めませんか?材料は揃えたので、s」

「ちょ、ちょっと!」

早速始めましょう、と言おうとすると、遮られて肩を掴まれてしまった。


ちょっと爪がたてられて痛い。

ボソッと、


「痛い………」

と言うと、


「あ、ごめんなさい。でもそれどころじゃないわよ!どうやって集めたのよ!」

オーリャさんは一つ一つ確認しながら言った。


「全部ちゃんとあるわ。一ミリの狂いもなく、植物園からとってこないといけないものもちゃんと根っこからとか花だけとか部分的に持ってこられてる………」

そしてもう一度言う。


「どうやって集めたのよ!こんな細かい作業、いくらの手順を踏んだらできるの!術式は!?」

「せ、説明はできない、かも。こうできたらいいな、って感じでやっただけだから、細かい一つ一つの手順はわからない、っていうか………。」

オーリャさんはため息をついて、


「はぁ………教えてもらえればアタシにもできるかと思ったけれど、そんなぼんやりとした感じでやってたなんて、呆れたわ。」

と肩を落として机に手をつくと、


「もういいわ、」

と調合の準備を始めた。


そして、


「………者なのよ………」

「え?」

俺が聞き返すと、オーリャさんはびっくりしたように口元を押さえて、


「な、なんでもないわ!」

と声を張り上げた。


頭の中だけで言ってるつもりで口に出ていた、ということなのだろう。


「じゃあまず、これをすりつぶして。私はこれを刻んで炒めておくから。」

薬草とすり鉢を突き出され、素直に受け取る。


ズリズリズリズリ____ゴリゴリゴリゴリ____


「うわっ。」

クッサ。


すごいあの、苦くて、やな感じの匂いがする。

あとあの、刺すみたいな感じの。


鼻で嗅いでいるはずなんだけど、目に匂いが刺さったみたいな。


アンモニア嗅いだことある人はわかると思う。

それかエタノール。原液を少しだけ薄めたやつ。


あれやばいでしょ。

あんな感じ。


「ちょっとあんた、何でメガネかけてないの、メガネかけないと失明するわよ!」

オーリャさんはそう叫んで彼女の杖を振り、俺に眼鏡をかけさせてくれた。


「リトニアくん、あのさ、薬品調合の時はメガネをかけないとダメよ、薬品が目に入ると失明したりするんだから。わかった?」

「うん、ありがとう。」

俺は眼鏡を押さえてから、すりつぶしを再開した。


オーリャさんは、慣れているのかぱっぱと木の根っこみたいな薬草を刻み炒め薬品の分量を図りながら鍋に投入している。

いくつかの薬品を組み合わせながら鍋の中の薬品の量が増えて行く。


禍々しい色と臭い匂いが漂ってくるので、あとでこれを飲まないといけないかと思うと嫌になりそうだ。


「すりつぶし終わったよ。」

と言うと、オーリャさんはこっちにちらっと視線をやって、


「ちょうだい。」

鉢を差し出すとオーリャさんは手際よく鍋の中に幼稚園児がそこらへんの雑草を石ですりつぶしたみたいな見た目のそれを入れた。


しばらくそれを木のスプーンでかき混ぜていたかと思うと、こっちを向いて、


「………最後の呪文、お願いしてもいいかしら。」

と、目をそらしながら言った。


「………難しいのよ。い、いい経験になるし。やってみたら、どうかしら。」

「あぁ、うん。」

俺は教科書を見ながら手順を確認した。


最後の仕上げには魔力を満遍なく薬の中に行き渡らせて、カプセル状にする以外の意味はないらしい。


なるほどぉ。


「よし、じゃ、やろう。」

俺はそう言って長い杖を一振りし、床をついた。


ついた床から金色の波紋が生まれ、その波紋が浮いて鍋を取り囲むようになり、しばらくして消えた。


鍋の中の液体が二つの固体になる。

くるくると絡み合うように回りながら、俺たち二人の手元に一つずつ落ちてきた。


「うん、成功みたいだ。早速飲もう。」

そう俺が言うと、オーリャさんはじっと俺を見つめて、見つめて見つめて、それから、


「………そうね。」

と、たっぷり間を取ってから頷いた。


「これって、水と一緒に飲んだりするの?」

「いいえ。そのまんま飲むの。そういうもんでしょ?」

さも、当たり前!みたいな顔をするけど、御免なさい、脳内データベースが教えてくれるまでさっぱりでした。


「じゃあ、同時に飲もうか。」

「………失敗してたらどうするの、片方が飲んで、それから大丈夫だってわかったらもう片方が飲んだ方が良くない?」

「死なば諸共、って言うだろ?」

「なにそれ。」

オーリャさんはクスッと笑った。


「………いいわ、のりましょう。___せーのっ。」

俺たちは同時に、禍々しい色の薬を飲み込んだ。


___ごくん。


「うええ………」

俺とオーリャさんは揃って口を抑えた。


マッズ。

この世の不味さ、臭さを圧力鍋で煮詰めたみたいな味と香りだ。


「原因は、きっと、この根っこと薬草のせいだわ。合わさるとひどい匂いと味になるの。」

忌々しい顔で鍋を見つめるオーリャさん。


俺はオーリャさんに、


「きっと俺らが一番速いんだ。さっさと片付けてしまおう。」

と声をかけて、杖を振った。

 読んでくださってありがとうございます。

いやぁ。

皆さんお元気ですか?

私は昨日高熱を出して寝込んでおりました。

コロナワクチンの副反応のせいですね。

早朝眠れずにずっとうなされてたんでノンスタさんの漫才爆音で流して気を紛らわすことによって眠りにつくことができました。


腕の痛みはまだ残っていますが、昨日ほどじゃないので今日1日は割と元気にしてました。


最近こっちに出す小説じゃなくて手癖とか好みしか入ってない小説ばっか書いてたのでこっちの小説全然進んでないです、すみません。


それではまた次のお話でお会いしましょう。

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