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第27話  杖決定。さらに散策。

 箱を開けながら、マナさんはつらつらと説明を始めた。


「これは神様の加護を受けた金なんです。ヴァーヒヴンから我が国に輸入されたものを、熟練の杖師が加工し、トップのエメラルドグリーンの魔法石は昔天属性だった錬金術師が錬金術で生み出したもので………」

長い杖のトップにエメラルドグリーンの魔法石。

魔法石の周りに金の装飾が檻みたいになっている。


そして、シャラン、と音を立てる鎖と、その先についた羽。

マナさんの説明曰く、その羽はさっきのと同じフェニックスのものらしい。


「さぁ、持ってみてください。」

自信の有り気なマナさん。

メガネの奥の瞳が期待に輝いている。


俺は恐る恐る、その重そうな杖を手に取った。


「軽っ!」

想像の5倍は軽くてびっくりした。


「ふふ。」

と得意げな顔のマナさん。


手に持った途端、背筋がゾクッとした。


悪い感じのゾク、じゃない。

興奮して気分が高まった時の万能感のある、ゾク、だ。


足の先からそれがきて、もうこの杖を手放したくないとさえ思った。


心なしか、ミサンガも光っているように見える。

あと、トップの魔法石も………


ん?


「本当に光ってるぅううう!?」

と、知らない人の前で大声で取り乱すほどにはびっくりした。


水色の光が店内を包むと、マナさんが手を握り合わせながら、


「あぁ、良かったです。リオ様、アドバイス、ありがとうございました。」

「いえ。思い立ったことを言ったまでですから。」

リオさんはにっこりした笑顔で謙遜する。


「それじゃあ、この杖にしよう。すみません、支払いを。」

アダムさんはそう言ってマナさんとカウンターの方へ行く。


払ってもらうのは申し訳ないけれども、俺はいまこの世界のお金を持ってないんだった。


 大きな杖は箱に入れられ、紙に包まれて、宮殿に送られた。


 店を出ると、リオさんが言った。

「どうしますか?このまま帰りますか?それとも、少し見てから帰りますか?」

リオさんの顔を見、アダムさんの顔を見て、


「少し見ていきたいです。」

と言った。


というのも、二人ともすごくワクワクした顔をしていたから。


このまま帰ったら、なんか、かわいそう、っていうか。

せっかく街に来られたんだし、護衛もなしで。

だから、のんびり遊んでもいいんじゃないかな。って。


「それじゃあ、魔道具でも見ていきますか?あとはスイーツとか。最近はすごいボリュームのクレープが流行っているようですよ。」

俺は頷いた。


「じゃあまずは魔道具店からいこうか。」

語尾に音符がつきそうな感じで、アダムさんもリオさんも話す。


ちょっといいことした気分。


 魔道具店は、煉瓦造りの可愛い建物だった。

煙突があって、ステンドグラスもあって。


リオさんがさっきと同じように扉をあけてくれて、アダムさんが先に入り、その後俺が続く。


中には、いろんなアクセサリーや、ペンやメガネやランプや剣や………


「これが魔道具です。ナオさんには必要ないかもしれませんが、そうですね………ここら辺が使いやすいかもしれません。」

リオさんがそう言いながら、連れて言ってくれた。


イヤーカフとかピアスとか、そういう装飾品が並んでる。


ピアス………

あけたいんだよなぁ。

でも学校あったし。


あ、今は関係ねーよな!!


「ナオくん、ピアスに興味あるのかい?」

「え、あぁ、まぁ………かっこいいので。」

「でも、穴は開けていないように見えますが………」

リオさんが少し戸惑ったように俺の耳を眺めた。


ふと、彼の指が耳に触れてビクッとする。

「ひうあっ!?」

「あっ、すみません………つい。」

リオさんは一ミリの悪気もなかったようである。


「実は、俺の元いた世界では、俺ぐらいの歳のやつは学校の都合でピアスを開けてはいけないんです。」

「へぇ。そういう規則なのですか?」

「はい。」

「それは不思議だね。我が国では、生まれたばかりの子供にピアスの形の魔道具をプレゼントすることもあるというのに。」

「そうなんですか。」

「えぇ。ある地方では一つの慣習と化しています。」

「へぇ。」

確かに、そんなような内容のことが脳内のデータベースに存在している。


「開けてみたいかい?」

「えぇ、まぁ………けど、ちょっと怖い、かもしれないです。」

「そんなに痛くありませんよ。」

リオさんがそう言いながら、耳の横の髪をかきあげた。


瞳と同じ色、つまり若草色の石のピアスをしている。

多分、魔法石だろう。


「リオのピアスもここで買ったんだよ。」

「そうなんですか。」

「良ければ、僕に選ぶのを手伝わせていただけませんか?」

リオさんにそう言われて、断れずに頷く。


断れない、断れるはずがない。


「それじゃあ、どれがいいでしょうか………」

そう言いながら、一つ一つ手にとって眺め始めるリオさん。


「あぁ、これはどうでしょう。」

すぐに見つけて、俺に見せてくれる。


「ナオさんの瞳のように、濃い青色ですよ。群青色、藍色とでもいうのでしょうか。」

「これも魔法石ですか?」

「えぇ、魔道具ですし。多分、これは水魔法の魔道具ですね。」

なるほど。


「じゃあ、これにしようかな………」

と言いかけて、そういえば俺が買うんじゃなかったじゃん、と思い出した。


やべっ!図々しい!!


「す、すみません、俺のお金でもないのに、あれこれ言ってしまって………。」

できることならそのまま回れ右をして消えようかと思った。


けど流石にダメだ。

逃げたら逃げたところで、宮殿でまたお会いするんだし。

多分夕食も一緒だし。

無理だな。


「ふふ、遠慮しないでください。僕が出します。」

選んでくれたピアスを持って、リオさんがレジの方へ行ってしまった。


やめておくれ………。

なんか、俺が、なんか、えっと………

催促っていうか、なんていうかを、したみたいな感じがして、嫌だな。


でも、誰かが俺のために選んでくれたものをその人に買ってもらうのは、嬉しいな。


俺の瞳の色とかまで見て選んでくれたことが、嬉しいな。


 会計が終わって俺のところへ歩いてきたリオさんが渡してくれた紙袋を両手で握って、

「ありがとうございます。」

と心からお礼を言った。

 読んでくださってありがとうございます〜。

本当なら明日か明後日に映画を見に行きたかったというのに、まさかの骨折?みたいなことになってしまいました。

なんか骨が数ミリ浮いているそうです。


とっとと治して映画を何周もしたいんですが………


でも今ちゃんと歩くのも無理なレベルなので、我慢します。


 というかもう夜遅いとかいう時間レベルじゃありませんね。

申し訳ありません。

みなさま、おやすみなさい。


それでは、次の話でお会いしましょう。

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