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第26話  杖探しは難航する。(ミサンガが熱くなりさえしなければもっとスムーズなのに………)

 「さすがですね!」

リオさんにそう褒められ、嬉しくなる。


結局着替える魔法は成功し、いまは街を歩いている。


この二人は有名だし顔もいいから、街の人たちにバレずに入られているのが不思議だ。


 しばらく歩くと、すごく古風な建物を見つけた。

昔の西洋の建物、って感じで、俺はすごく好き。


リオさんがその扉をあけて待っててくれる。

アダムさんが先に入りながら、説明してくれた。


「ここでは杖を売っているんです。自分の身にあったものを選んでくださいね。」

そう言われて頷く。


とはいっても、自分の身にあった、って、どうやったらわかるんだろう?


 リオさんが一番最後に入ってきて、店の奥に向かって声を発した。

「すみません、杖を選びたいのですが。」

その途端、ドタン、ゴガっ、ズシン、みたいな音がして、人が出てきた。


「あ、あれ………?アダム様に、リ、リオ様!?え、え?」

困ったような顔をして前髪を抑える女の人。


長い髪を三つ編みにして、飾り気のないワンピースを着ている。

丸い眼鏡の奥の目がすごく戸惑っているのがわかる。


___うん、俺も同じ立場だったらそうなる。そんで、超有名人と一緒にきているこの知らない男は誰だ、ってなる。


「実は、この子の杖を選びたいんです。」

アダムさんにそう言われ、女の人は固まる。


___見たこともない少年が、国王と第一王子と一緒に杖を選びにくるとか、どういう状況だよ。


女の人は何度も前髪を触ってから、


「え、えっと………」

と俺の顔を見て、


「わ、私がここの店主のマナです。エェッと、お客様の属性を、教えていただいても………?」

「属性?」

そう首をかしげると、リオさんが言った。


「天属性です。」

それで、マナさんは納得したように頷いて、


「あぁ、それで、アダム様とリオ様が一緒にいらっしゃったんですね。初めまして、勇者様。」

先程までのおどおどした態度とは違い、雰囲気が変わり、なんだか落ち着いているように感じる。


「天属性となると………そうだな、Bの8列目ならちょうどいいかも………すみません、ちょっととってきますね。」

マナさんは小走りで店の奥へ行った。


「言ってしまってよかったんですか?」

俺がリオさんにそう聞くと、ニコニコした笑顔で頷かれた。


「大丈夫です。彼女は口が固いですし。それに、知っておいてもらったほうが、これからがスムーズになります。」

そっか、リオさんもここで杖を買ったりしてたから、マナさんのことそんな風に思えているんだな。


 マナさんは三つの細長い箱を抱えて戻ってきた。

「まずは、これから試しましょう!」

なんだかちょっとワクワクしたような様子である。


「天属性のお客様なんていらっしゃったことがないから、この杖も出したことがなくて………」

なるほど、どうりて。


ホコリをナプキンで叩いてから、中身を取り出す。


出てきたのは、飾り気のないめっちゃシンプルな杖。

でも、持ってみるとすごく重い。


「持ち手の方にはめ込まれている魔法石は、天属性と非常に相性のいい”フィオリ”という石です。」

「どう、ナオくん。ぴったりくるかい?」

「………あんまり、よくわからないんです、けど。でもなんか、これだ!って感じはしない、ですかね。」

「なるほどね………次をお願いしてもいいですか?」

「はい、もちろんです!お客様にぴったりな杖を見つけるのが私たちの仕事ですから。」


 そうして取り出された2本目は、真っ白で、アダムさんが持っていたものに似てる。

ただ、杖の先の方に金属で作られた羽がついてる。


「この羽はフェニックスのもので、それを金でコーティングしました。不死鳥フェニックスは神聖な鳥ですから、天属性の方と相性がいいんです。」

しかし。


「なんていうか、杖に、拒否されてる感じがする………」

例えるなら、磁石のN極とN極をひきあわせようとした時みたいな………


 「じゃ、じゃあ、こちらはいかがでしょう?」

3本目に行くとは思わなかったのか、マナさんが少し慌てている。


すみません。


今度のは、杖っていうか………豪華な装飾品みたいな感じだ。


全部金色で、日とか月とかの模様がかいてある。

神様モチーフなのかな。


「七柱の神様の石が入っています。天属性とは一番相性がいいはずです。」

しかし。


持った途端、ミサンガが急に熱くなったので、身の危険を感じて辞めることになった。


 「どうしましょう………」

マナさんも途方に暮れている。


「とりあえず、天属性と相性のいい杖を全て持ってきてはいただけませんか?そうしたら何かあうのがあるかもしれませんし。」

というリオさんの提案で、+5箱ほどを抱えてマナさんは戻ってきた、のだが。


 それを持つたびに、なんか違うなぁ、とか、身の危険を感じたりとか、ミサンガが怒るように熱くなったりとか、拒まれている感じがしたとかで、全然見つからなかった。


「………」

最初ははしゃいでいたマナさんだったが、こうも見つからないとなると気が重いんだろう。


「すみません、全然、ダメで………」

俺が謝ると、マナさんは血相を変えて、


「何を言っていらっしゃるんですか!勇者様は何も悪くありません!ぴったりの杖を見つけ出せない私が悪いのです。それに、何かしら妥協して見つけた杖とはいつか喧嘩してしまいますから、勇者様にぴったりの杖を見つけるまで、諦めちゃダメです。諦めませんからね。」

「は、はい………」

気迫に押されて固まった。


「さて、どうしましょう………。」

言ったはいいものの、何か具体的な案があるわけではないマナさん。


すると、リオさんが言った。


「長い杖はどうでしょう。」

「え?」

「試していませんよね?」

「え、えぇ………あっ!そういえばっ!」

マナさんはそう叫んで、奥へ引っ込んだ。


何か思い当たるものがあるらしい。


リオさんがにっこり笑って、

「よかった。ありそうですよ、ナオさん。」

と俺に話しかけた。


「そ、そうです、ね。でも、長い杖って、どれくらいの長さですか?」

「これくらいです。」

リオさんが、その長い長い足の付け根より上、つまりくびれのあるあたりに手を当てた。


「結構長いですね。」

「そうですか?」

考えてみてよ。


身長の高いリオさんの腰と、俺とじゃ全然違う。

でも、長い杖ってかっこいいな!!


俺が色んなデザインを想像してニヤケていると、アダムさんやリオさんも嬉しそうな顔をしている。


 しばらくして、マナさんが咳をしながら戻ってきた。

彼女の肩のあたりまである長い箱を抱えて、ヨタヨタと。

あと、髪にいくらかホコリがついている。


「こ、こちらはどうでしょう!」


自信ありげな顔で、黒い瞳を輝かせて言う。


俺はなんだか、その杖に惹かれていた。

 読んでくださってありがとうございます。

実は最近モヤモヤすることが多いんです。


でもそれはもう決定してしまっている事柄のせいでモヤモヤしてるんです。

だから、その状況をなんとかできないかって頑張ってるんです。

解決できなさそうだから、こんなに重くて苦しくてもうやだってなってるんでしょうけど。


でも友達に相談することもできないし。

かといってネット上に発信するほど馬鹿じゃないし。

どうしたらいいんでしょう、本当。


………すみません、楽しい話のあとがきでこんな愚痴を言ってしまって。

とりあえず明日を待ちます。

明日がいい日になるように、あしたの自分が頑張れるように、いまは自分をなだめます。


 それでは、次の話でお会いしましょう。

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