第25話 魔法の杖っ!!!!!
次の日の朝。
ってか昼。
俺は疲れもあって、昼の12時くらいまでぐっすりだった。
十二時間以上睡眠をとっていたので、瞼も重けりゃ喉も渇いてるしなんか変な感じがする。
___そういえば俺、昼寝もしたんじゃなかったか?
ま、いいや。
ゆっくりと起き上がると、ベッドの脇のテーブルに豪華な金属のトレイと、トレイに乗った豪華な食事がおいてあった。
何か紙が置いてあるので、それを読んだ。
『起こしてしまうのもいけないと思ったので、お食事はここに置かせていただきます。起きたら食べてください。トレイは部屋の外に出して置いていただければよろしいので。』
ふっと自分の体を見ると、急にお腹がすいてきた感じがする。
食べよう。
ベッドから降りて、食事を持って、部屋の中央にあるテーブルに置き、ソファに座る。
一口食べようとしたところで、手が止まった。
机の上に、紙切れと、スマホらしきものが置いてあった。
『これはスマホと言って、私たちやリオたちと連絡が取れるようになっています。それ以外にも、漫画を読んだりアニメを見たりできますよ。アダムより』
アダムさんかららしい。
ちなみに、スマホぐらい知ってますよ、流石の俺でも。
俺が知らないことを想定してくれたのだろうけれど、スマホは日本にもあった上、神様に全部教えてもらったのだ。
とりあえず起動して見る。ホーム画面もロック画面も、初期設定のままだった。
とりあえず、これどうやってパスワードとかつけるんだろうと思っていると、持ち主が持つだけでロックが解除されるらしい。
すげぇな!!!
指紋認証とか骨格認証とか、そんなんよりもよっぽどスゲェな。
もっと機能を試そうかとも思ったが、それよりも食欲を優先したい。
トレイの上に乗っていたのは、フランスパンと、チーズが中に入ったオムレツと、カリカリに焼いたベーコンと、ココア。
あと、イチゴとかオレンジとかキウイとか、たくさんのフルーツ。
俺の大好物である!!
パクパクもぐもぐ食べる。
ココアがものすごくおいしい。
よく考えたら、ここ最近ココアなんて飲んでなかったし、フルーツも食べてなかった。
だって、自分で作ろうと思うようなことはないし、親がわざわざフルーツを買ってきたりはしない。
お母さんとかが買ってきてたのは、カップ麺とか、菓子パンとか、ただのパンとか、必要最低限な野菜とか、お肉とかぐらいだ。
フルーツがうまい。
甘くて、ジューシーで、うまい。
だめだ、いちごのパフェとか、食べたい。
ぶどううまい。
語彙力の喪失が鬼。
やばすぎ。
ってか皆さんお気づき?
俺メインとか全部食べ終えてもうデザート食ってんの。
んでそのデザートも食べ終わったの。
どんだけお腹空いてたの、俺。
毎日帰りや、もしくは行きに全力ダッシュしてたから、体力には自信あった(嘘です。なぜか全く体力が尽きませんでした)けど、でもやっぱ異国の地ではあるわけで、そういうところで疲れたんだろうなぁ。
食べ終わって、「ごちそうさまでした。」と手を合わせてから、大きく伸びをする。
寝すぎるとより寝たくなるよね。
わかってくれるよね。
そう思いながら自分の手首を見る。
そこに、ミーナスさんからもらったミサンガがついているのを見て、安心する。
安心できる温かみをそれから感じて、嬉しくなる。
首からかけたペンダントのトップを握って、嬉しくなる。
誰かが俺のためにくれたものは、温かくて、俺のことを思ってくれている人がいるのだ、という嬉しさがある。
………さて。
トレイを持って立ち上がる。
外へ出てトレイを置こうと思ったからだ。
扉をあけてトレイを置き、一つ息をついて部屋に戻ろうとすると、「あっ。」と言う声が聞こえた。
昨日から何度も聞いている、落ち着く声である。
「あぁ、ナオくん。ちょうどいいところに。」
アダムさんがそう言って、ゆっくりと俺の方に歩いてきた。
「ナオくん、今から杖を選びに行こう。」
「ツエ?」
「魔法の杖だよ。」
「ふーん、魔法の………」
待ってなにそれ!!
ちょーかっこいい!
テンション上がる!
杖を持ってるってだけで一気に魔法使いらしくなる!
俺があまりに嬉しそうだったのか、アダムさんは微笑んで、
「さぁ、行こうか。」
俺に向かって手を伸ばした。
その手を握りながら歩く。
うわー、人と手を繋ぐのって、幼稚園ぶりかな?
やば、はず。
………でも、嬉しい、かも。
「あぁちなみに今回はお忍びなので、歩いて行きますよ。街までですから、そう遠くありません。」
そう言うアダムさんはなんだかワクワクしてるみたいだ。
そうだよな、王様って、プライベートで街に行ったりできないもんね。
「他のお店も見ましょう。たくさんありますから。アクセサリーを見てもいいし、魔道具とか………」
魔道具というのは、どうやら魔法を使う時に手助けをしてくれるものらしい。
魔道具に使われている金属や魔法石の効果で、魔力を使う方向性が広がるんだとかなんとか。
「俺ら二人だけですか?フェドさんは?」
「フェドは今日は仕事です。騎士団長ですから。」
そうだよな。
アダムさんもフェドさんもフレンドリーすぎて半分忘れかけていたけれども、そう、この人たちはもんの凄く身分が高いのだ。
普通だったらこうやってしゃべることもできない。
………改めてすごい人たちと一緒なんだな、俺。
「あぁ、でも。」
とアダムさんが言う。
玄関にはもうついていて、重い扉が開けられるところだった。
扉の向こうには、昨日お会いして恐縮しまくった方が一人。
「リオも一緒だけれど。」
………そう言うのは早く言ってください。
心臓が持ちません。
「さぁ、行こう。」
とワクワクしたように言いながら自分の体の前で杖をふるアダムさん。
白い杖で、持ち手のところに凝った細工がされている。
アダムさんの着ているものが、一気に質素な、シンプルなものになった。
リオさんも同じことをする。
二人して顔がいい。
それは服を変えても同じことだ。
「ナオさんも、やって見てください。」
リオさんにそう言われて、俺は首をかしげる。
「難しく考えないでいいですよ。僕と同じ服を着る、とか、そんな風に考えたりしてみてください。」
えぇ………
できる気がしない、と思いながら、俺は自分の体の前で指を振って、念を込めた。
読んでくださってありがとうございます。
ストックがあって一番出しやすいはずなのに一ヶ月以上滞納していました、すみません。
実は今週末と来週のはじめの方、か・な・りやばいんですけど、現実逃避のために今やってます。
最近情緒が不安定なんですよね〜。
いや、良くない意味じゃなくって。
悪い意味で情緒がやばいんじゃなくて、普通に、こう、いい方向に情緒がやばいっていうか、とあるプラスなことに悩みすぎて情緒がやばいんですよね。
早く解決できるようにしたいけど………
みなさん、熱中症にはお気をつけて。何があったってくらい暑いですから。
それでは、次の話でお会いしましょう。
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