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第22話  味がわからなくなりそう………

 「えっと、リオさんって、もしかして、アニメとか、そういうの、好きですか?」

「大好きだよ!」

さっきまでの落ち着いた様子とは違い、興奮してほおを染め、目を見開いている。


「こらお兄様、お行儀が悪いですわ。」

とセシリアさんがなだめる。


エシリアさんは俺たちの方をチラッと見て、

「そんなものが好きだなんて、子供っぽい。」

と言った。


なんだとぉ!?

と声を荒げかけたが、それより先にリオさんが言った。


「そんなもの、というのはエシリアが見てきたものが子供用のアニメだからだろう。逆にそんなものしか見れないことの方が子供っぽいよ。」

「なっ。」

軽く兄弟喧嘩が始まりそうである。


リオさん、落ち着いたタイプの人かと思ったら、自分の趣味には忠実なのか。


 「こら、喧嘩は良くないよ。」

アダムさんがそう言う。


 あぁちなみに、イヴさんは遅れてきてアダムさんの隣に座ったのを、今しがた確認した。

お行儀よくキッシュを頬張っている。


 「すみません、どうもこういうことを言われてしまうと。」

とリオさんは微笑んで謝る。

態度がさっぱりしているだけに、多分喧嘩をしていたもう一方がムカつくと思う。


俺の予想通り、エシリアさんはムッとした顔で、さっきまで完璧だったテーブルマナーが少し乱れている。


「エシリア、こんなことで煽られるなんて〜。」

リアさんがニヤニヤしながらパンを口に運んでいる。


「ちょっとリア!」

エシリアさんがそう叫んで、テーブルに手をついて立ち上がった。


「お食事中ですよ。」

のイヴさんの一言で座り直したけれど。


 え、今の一連の流れ、もしかして俺のせい?

そう思ってパンの味がしなくなった俺だが、リオさんが小さな声で耳打ちしてくれた。


「大丈夫ですよ、ナオさんのせいではありません。まず今エシリアに言ったのは僕ですから、あまり気にしないでください。」


頷いたものの、戻ってきたパンの味は4割ほどである。


 次の皿が運ばれてくると、セシリアさんが言った。


「学園に入ったら、ナオさんはどのように生活されるのですか?」

「?」

「だって、勇者であることをおおっぴらにするわけにはいかないでしょう。そんなことをしたら魔王軍の刺客にバレてしまいますもの。」

「そうだね。だからナオくん、ちょっと後で私の部屋に来てくれるかい?渡したいものがあるんだ。使い方とかも説明したいし、食事の席で言うようなことではないのでね。」

「は、はい………。」

俺は戸惑いながら頷いて返事をした。


ちなみにこの間、エシリアさんはむくれたままである。


リアさんやリオさんは知らんぷりだけれど、セシリアさんはちょっと気にかけている。


 メインは美味しそうなローストビーフだ。

めっちゃオシャレな皿に、花のように並べられている。


ソースもほら、ただかけるんじゃなくて、ちょっと皿の周りに飛び散らせたりしている。


 高級レストランとかで見るやつぅ〜!

フォークで刺し、口に運ぶ。


ん〜っ!

柔らかい!

多分俺が食ったことのあるローストビーフの中で一番うまい。


 そんな俺の顔を見て、リオさんが、

「それはちょっと前に、ある子が教えてくれた作り方を参考にしてるんですよ。気に入ったならよかったです。」

へぇ。


()ってことは、子供か。


「すごく美味しいです!このソースとか、何か隠し味が入ってるんですか?」

「ふふ、よく気づきましたね、その通りです。」

「何が入ってるかまでは、俺の舌はそこまで良くないのでわかりませんけど。」

俺が苦笑いして言うと、


「ぼくもそういうのはわからないなぁ。料理長には悪いけど。」

とリアさんが言った。


へぇ。

リアさんとかは王族だから舌が肥えてて、味とかすごく分かるタイプだと勝手に思っていたけれど、そういうわけじゃないんだな。


「ふふ。」

イヴさんが優しく、慈愛に満ちた微笑みを見せながらローストビーフを優雅に口に運ぶ。


アダムさんもなんだか嬉しそうである。


俺もなんだか嬉しい。さっき会ったばかりのアダムさんではあるが、もはや家族のような心の距離の近さである。



 「え、えぇと、ナオさんはいつから学園にいらっしゃるの?」

会話が途切れると、セシリアさんは言った。


俺がいつ行けるかわからなくてアダムさんをみると、アダムさんはデザートを食べる手を止めて、


「明後日からだよ。」

と言った。


「それじゃあ、そうなったら、わたくしたちと一緒に学園へ行きますの?帰りも!」

少しテンションが上がったように口角をあげて言うセシリアさん。


アダムさんは優しく、こらこら、と言いながら、


「そうだね。ナオくんさえよければ、一緒に行くといいよ。」

「ね、ナオさん、一緒に行きませんこと?」

アダムさんの方を見ていたのに、ブンと俺の方を見た。


「え、えぇと………」

じっと見つめられて、俺は軽く目をそらす。


ど、どうしよう………。

絶対気まずくて心臓がぎゅっとなるんだが!?


え、でも………多分、皆さん悪い人じゃない、と思うし。

いやまあ、エシリアさんとかはちょっと怪しいけれども。


だから、えっと、えー?

慣れるために、一緒に行ったほうがいい、かも………。

リオさんとか、セシリアさんとかと、もっと、話したいし、なんて………。


「じゃ、じゃあ、一緒に行かせてもらえます、か………?」

俺は恐る恐るアダムさんの顔を見上げた。


「もちろんだよ。セシリアとリオと同じ車の方がいいかもね、校舎が近いから。」

「ほんとですの!?楽しみですわ!」

口元を押さえて笑うセシリアさん。

目が三日月型に細まっている。


「車。」

俺がそう言うと、リオさんが優しく笑って言ってくれた。


「ただの魔動車ですよ。でも乗り心地は最高です。」

へぇ。


この世界には自動車はないのか?


そう思うと、頭の中でパッととある知識が思い浮かんできた。


『この世界では、世界を汚す自動車は一時期しか使われておらず、今はもうどこの国でも存在しない。』

なんだその最高なシステム!?


地球温暖化の対策バッチリ………って、この世界は温暖化なんてないか。

 読んでくださってありがとうございます。

最近、「名探偵コナン」を見るのにはまっています。(名前だして大丈夫かな?)

めっちゃ面白いです。


それから、先日映画が公開された、某水泳アニメも大好きで、すでに二階行きました。

もし、夕方までに熱が下がっていたら、もう一回行ってきます。

推しが入場特典としてもらえるのが、今週だけなので。


それでは、また今度。

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