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第19話  王子様、王女様が勢ぞろい………いや、全員じゃない?

 さすが、王立と言うべきか。

ついた学園は、それはそれは大きなものだった。


芝生が敷き詰められていて、おしゃれな鐘つきの塔があって、建物の高さ的には3階分くらいしかないが、横に大きな建物たち。


そして、清潔感のある白いブラウスに細いリボン・紺のチェックのスカート姿の女子、男子はネクタイにスラックスの制服。


ものすごく穏やかな雰囲気である。


「さて、行こうか。」

アダムさんはそう言って歩き出した。


「え、ちょ、ちょっと待って………」

俺はそう言いながら後を追う。


突然現れた俺や騎士団長さまや王様たちに戸惑う生徒たちの視線が痛い。

騎士団長さまや王様はみんなご存知だろうけれど、それと一緒にやってきた俺はどこの馬の骨だという話である。


俺は下を向きながら、早足で追いかけた。



 アダムさんが向かったのは学長室だった。

学長は突然現れた俺たちに目を白黒させる。


アダムさんが手短に、俺のことと、自分の子供たちに会いたいことを伝えた。


学長先生は驚いた顔のままだが、

「承知しました。」

と優しく微笑んだ。


きっと生徒からも人気なんだろうなぁ、このおじいちゃん学長。

待って、そういえば俺この人にお世話になるんじゃん。

おじいちゃんとか言ったらダメじゃん。


ちなみに今の事態、俺としては心臓バックバク案件だ。

心臓が飛び出る、というか、心臓がだんだん大きくなってるせいで、息がうまく吸えない、って感じ。


なんせ、自分と同い年か、もしくはそれより年が上、下の子たちと今から会わなければいけない。

言語の問題はないにしても、性格が合うかとか、というかまず相手は王族だ。

アダムさんが優しいし朗らかな方だったので麻痺していたけれど、そういえばこの人は王様なのである。


あって数時間くらいしか経っていないはずなのに、もうこの認識になってしまっている俺は、いつか不敬罪とかで捕まってもおかしくない。


やばい、やばい。

どうしよ、緊張する。

そんなに大勢いるわけではないと思う、けど、でも………



 俺が汗をかきまくっているのを見て、フェドさんは背中をさすってくれた。


 しばらくして、扉がノックされる。


「失礼します。」

という、男の子………というか青年の声。

甘くて優しくて、あぁ、絶対イケメンだと確信した。


 案の定、入ってきたのはイケメンだった。

しかも一人や二人ではない。

美男美女が、総勢4人。


俺はカチンと固まってしまった。


頼みの綱のフェドさんも、王族の前なので俺にばかり構っていられない。



 アダムさんが俺に、

「紹介しますね。」

と言うまで、俺はまともに顔を見ることすらできなかった。


「右から、長男のリオ、長女のセシリア、二女のエシリアと三男のリアです。」

………?


一斉に頭を下げてくるみなさんに会釈を返しながら、俺は疑問を持った。


次男は?


 でもなんか、さっきのアダムさんの曇り顔と関係がある気がして、聞けなかった。

それを見たアダムさんが、説明しずらそうな、申し訳なさげな顔をする。


そういうところもちゃんと見ていたフェドさんが、


「な、ナオくんも、自己紹介を。」

と言った。


「あ、はい。俺は畑下凪和はたしたなおです。ナオって呼んでください。今は15歳です。中等部の三年生に入ることになりました。よろしくお願いします。」

すると、アダムさんが少し笑って、


「ナオくん、一番大切なことが抜けているよ。」

アダムさんは苦笑しながら、俺の方を見て、それからお子さんたちの方を向いた。


「みんな、ナオくんは勇者なんだ。」

「ファ!?」

奇声を発した俺を怪訝そうに見る皆さん。


うっ………


「本当のことでしょ。」

と言うアダムさんに、


「そうですけど、でも………」

と反論できない。


勇者だってわかって余計に距離を置かれたら俺は泣くぞ!?


すると、右から二番目にいたセシリアちゃん(仮)が、


「勇者様なんてすごいですわ!」

と叫んで俺の手を握った。


目の前に可愛い顔がきて、硬直する俺。


「ナオさん、どうぞよろしくお願いいたしますわ!」

「あ、はい。よろしくお願い、します。」

俺は戸惑いながら答えた。


すると、一番右にいたリオさん(確実に俺より年上なのでさん付け)が、

「こら、セシリア。勇者様が困ってしまわれるでしょう。」

と笑ってたしなめた。


「あら!」

とセシリアちゃん(仮)は言って、


「では、改めてご挨拶をさせていただきますわ。」

と一歩後ろに下がった。


優雅に制服のスカートの裾をつまむと、一礼。


「わたくしはセシリア・ハント。ハント王国第一王女ですわ。セシリアと呼んで下さい。歳は14ですけれど、ナオさんと同じ学年ですわ。」

と自己紹介をしてくれた。


「よろしくお願いします、セシリアさん。」

そう言うと、セシリアさんは一瞬固まった表情を浮かべて、


「ま、いいですわ。最初は敬語でも。けれど、だんだん慣れて、わたくしたちと普通にお話ししていただけるようになると嬉しいですわ。」

と言った。


リオさんもそれに頷いて、それでリアさんとエシリアさんはふふ、といたずらっぽい笑みを浮かべた。


そしてリオさんが言った。


「僕はリオ・ハント。ハント王国第一王子です。誕生日は水の月みずのつき18日で、今は18歳。リオと呼んでくれると嬉しいです。できれば、呼び捨てで。」

最後にニヤリと笑ったリオさんだが、呼び捨てをする度胸が俺にあると思ったのなら大間違いである。


「よろしくお願いします。えっと、リオ、さん。」

「ふふ。よろしく。」

まぁいつか呼び捨てにしてくれるだろう、みたいな笑を見せてから、リオさんは握手の手を差し出した。


俺もそれに応じる。


すると、セシリアさんが、「あ!」と言って、

「わたくしのお誕生日は日の月ひのつき22日ですわ!」

と叫んだ。


つまり、十二月七日か。


リオさんは、えーっと、四月二日、かな。


 それから、エシリアさんがにっこり笑った。


「あたくしはエシリア・ハント。ハント王国第二王女ですわ。以後お見知り置きを。あたくしは今12歳ですわ。これからよろしくお願いいたします。」

いたって可愛らしい笑みではあったのだが、俺はなんだか怖い気がして一瞬固まったものの、「………よろしくお願いします。」と頭を下げた。


続けて、隣にいたリアさん。


「ぼくはリア・ハント。ぼくとエシリアは双子だよ。ハント王国第三王子。誕生日は木の月きのつき10日。得意科目は算数。これからよろしくね、ナオさん。」

こちらも可愛らしい笑い方ではあるものの、やっぱりなんだかこわい。


ちなみに、木の月きのつき10日は日本の5月26日である。



 一ミリも距離が縮まった気はしないが、アダムさんは、

「自己紹介も済んだことだし、私たちは帰りますね。帰ってきたらみんなで食事をとりましょう。」

と言った。


このメンバーで食事って………ダメだ、アダムさん以外と喋れる気がしないや。

 読んでくださってありがとうございます。

お久しぶりです。


最近昼夜逆転がひどくて、明日朝から用事があるから早く寝ないといけないんですけど、寝られてないです。

どうしよう………明日寝不足だったりしたら困るんだけどな………


 それでは、来週ぐらいにまたお会いしましょう!

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