第18話 スキル発覚!!だけど………
入った部屋は、いたって普通だった。
もちろん、神殿だから、高くて太くて白い柱がそびえ立ってるし、豪華じゃないシャンデリアだって上にある。
あと、神様達の絵が描いてあるんだけど、こんな荘厳な服着てなかった。
戸惑う俺に、後から入ってきた神殿長さんが言った。
「真ん中にある水晶玉に、包むようにして触れてください。5秒ほどその状態でいていただければ、スキルが表示されます。」
そう言われ、俺は向きを変えて、部屋の真ん中に向かった。
三段ほど高くなったところに、白い土台があって、その上に木の支えみたいなものがあって、紫色の布が敷かれて、さらにその上に水晶玉が乗っていた。
これにさわればいいのか?
ちらっと神殿長様を見ると、頷いている。
うぅ………
電流とか走ったりしないよな?
そう思いながら、恐る恐る手を伸ばした。
水晶玉を手で包む。
なぜかわからないけれど、目をつむった。
すると、目の前が真っ白になった。
これは例えではない。
実際に真っ白になったのだ。
多分、水晶玉が光を発したせいだと思う。
ほのかに温かい気もする。
目をつむってもまだ眩しくて、必死に顔を背ける。
神殿長様が
「もう離してよろしいですよ。」
と言うまで、あの眩しい中耐え続けた俺は偉い。
水晶玉から手を離して、ぶらぶらさせる。
水晶玉は不思議と揺れているように見えた。
「さて、見てみましょう。」
神殿長様はそう言って、一度ドアの外に出て、アダムさん達を呼んだ。
二人が「どうだったかな??」という顔をして入ってくる。
俺もまだ見てません。
神殿長様が、スキルの表示の仕方を教えてくれる。
とは言っても、「スキル表示」って言えばいいだけなんだけれども。
すっと息を吸って、
「スキル表示。」
とかっこよく言った。
すると、目の前に大きな光の板みたいなものが出現し、そこに文字が書かれた。
当然日本語ではないが、俺は神様達のおかげでなんでもわかるようになったので、へっちゃらである。
書かれていたのは、
魔力:∞ 属性:天属性・白 Level:∞
固有スキル:先見の明
偉神の守護
天寿の瞳
従属スキル:∞ 錬金術:∞ 知力:∞
精霊・天使・偉神の召喚:∞
生活スキル:0 隠密スキル:1 剣術:1 体術:0 体力:0
序盤は全く問題がない。
いやまあ、無限大の記号ばかり並んでいて気持ち悪くはなったけれども、俺は元来チートスキルは全く嫌いじゃない。
むしろ嬉しい。ありがたい。
しかーし!
男子として、体力とか体術とかが0なのはちょっとっつーかかなり解せない!
「勇者様は魔法に全振りしていらっしゃるのですね。」
フォッフォッフォ、と神殿長様が笑う。
ムゥ、という顔をすると、フェドさんが慰めてくれる。
「大丈夫ですよ!体力や体術、剣術なんかは、訓練さえすればできるようになりますから!」
「そうだよ。魔力なんかを増幅させることはできないし、魔法のレベルをあげるのも至難の技だけれど、フィジカル的なことは鍛えるのは簡単だからね。」
アダムさんもそう言って励ましてくれる。
「はい………」
勇者的には魔力があることはいいけれど、でも剣をかっこよく振り回したりしたい!
「剣術なんかは、私がお教えしますから!ね。」
だから機嫌なおしてください、とでも言うようにフェドさんが腰をかがめてくれる。
「あぁ、うん………お願いします。」
フェドさんは騎士団長様だから、剣術はもちろん国のトップなんだろうけど、でも、俺の覚えが悪かったらいくらフェドさんができても関係ない。
「さて、それでは帰って、これからのことを考えましょう。学園の手続きはきっとあしたには終わりますから、明後日からいけます。」
フェドさんが手を打った。
「あ、そんな早くから。」
「ええ。ナオくんなら大丈夫だろう。」
「そうだと、嬉しいです。」
俺は下唇を噛んだ。
「そうだ、今から少し見に行くかい?そうしたら、私の子供たちを紹介できる。」
アダムさんは、我ながら名案!と言うような顔をした。
「そこって、たくさん人がいますよね?」
「あぁ、いるよ。でも、これから君はその人たちと一緒に授業を受けるんだ。あ!そういえば、年齢は?」
「俺は今15歳です。」
「ってことは中等部の三年生だね。セシリアと同い年かな。」
「セシリア。」
「セシリアは長女だよ。今14歳。」
「あ、一つ下ですか?」
いや、でも同学年って言ってるしな。
「いいや、学年的には同じだよ。でも誕生日が冬なものでね。」
「なるほど。」
じゃあ一番会う機会が多そうだな。
「大丈夫、みんないい子だから。………」
笑って安心させてくれた後、今度はものすごく不安になるような顔をされた。
なんていうか、口角が上がったまま目が下を向いて悲しそうな笑い方になる、と申しますか。
なんかあるんだな、と思わされた。
それをちらっと見たフェドさんがあっ、という顔をして、俺に、
「じゃあ、出ましょうか。あ、これからは、スキル表示はさっき教えた方法で簡単にできますから。」
と言った。
そして、促すように先に立って歩き出し、俺の方をちらっと見る。
俺もアダムさんの方を少し気にしてから歩き出した。
アダムさんは俺たちを見て、優しい笑顔を作ってついてきた。
歩きながら、沈黙が痛すぎたので、俺は誰にともなく聞いた。
「固有スキル、ってなんですか?」
「固有スキルは、その人だけが使える魔法のことです。本当は一人一つなのですが、ナオ君は三つもありましたね。」
「あれってどういうスキルなんですか?」
「わかりません。」
「え?」
「固有スキルは、どういうスキルかは、最初はわかりません。やって行くうちにわかるんです。」
いくら俺が全知全能になったと言っても、俺がわかるのは、『この世界の情報』と、『みんなが使える魔法の全てや錬金術などのやり方』とかが限界である。
「ナオくんも、しばらくしたらわかるよ。やっぱり、わかるようになるには、たくさん魔法を使ったり戦ったりすることが大事なんだ。」
アダムさんはさっきまでのようにそう言ってくれた。
でも、なんだかさっきまでとは違い、何かを心配しているような、案じているような雰囲気が少し隠れていた。
俺とフェドさんはその雰囲気を察して、顔を見合わせ、そしてもう一度沈黙が訪れた。
読んでくださってありがとうございます。
実はいいことがあるんです!
明日新しくスマホを買うんです!楽しみです!
あと、明日の夜、ずっと楽しみにしていたドラマの続編があるんです。
見るのが楽しみです。
スマホを買うために明日早起きしないといけないので、もう寝ようかと思います。
それでは、次の話でお会いしましょう!!