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ヒズミ

作者: 杉将

 登り慣れた石段を上がると、そこは公園に繋がっている。噛んでいたガムを思わず吐き出したくなるのは、そこがあまりにも自由な場所だと感じるから。解放されている、と思う。

 わたしはここで一度、犬の死骸を見たことがある。見た目から、殺されたのだとわかる死に方だった。わたしは、これじゃ、ここで遊べない、と思った。帰り道、泣きながら家に帰った。何か大切なものを壊された気分だった。

 夜、わたしは眠れずにいた。犬の死骸がどうなったのか、気になって仕方がなかった。わたしは両親にバレないように家を抜け出した。外に出ると、たまらなく不安になった。こんなに静かで暗い夜を、わたしは今まで知らなかった。拳を強く握って、走った。石段の下に着いた時、わたしはたくさん汗を掻いていた。家にいれば良かった、と思った。それでもわたしは、石段を踏むたびに感じる嫌な汗の感覚を引きずるようにして、上に登った。

 公園が視界に広がる。暗い中にも、犬の死骸があることはわかった。何も変わっていなかった。わたしは公園に入り、ブランコに座った。わたしの正面の、少し離れた場所に犬の死骸はあった。わたしは、ムチャクチャにブランコを漕いだ。心臓がドクドクと鳴っていた。助けて、と声が漏れた。

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