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夢にまで見た異世界でのんびり冒険者をやりたい人生だった  作者: りるお
第2章 - 中級冒険者編 -
95/142

第95話 - 単独行動3日目 -

投稿が遅くなってすいません。

100話までで第二章を終える予定でしたが、少し伸びそうです。





この広い王都、日中ともなれば人の数も他の都市と比べ、やはり桁違いに多い。

リエルは通行人や店の1軒1軒、路地裏も1つ1つきちんと見て回った結果、ミハエル捜しは深夜まで続いた…が。


「はぁ…やっぱりダメだったなぁ。結局1日探して見つからなかったや。せっかく王都まで来たのに無駄足になっちゃったなぁ。。」



虱潰しに捜したが結局ミハエルは見つけられないまま深夜になってしまった為、リエルは宿へと帰ってきていた。


この広い王都で1人の人間を捜すのは無理があるのだ。詰所にも何度か出向いたが、やはり帰ってきていないと言われるだけだった。



「でも、もう二度と会えない訳じゃないし、王都にだってまた来る機会があると思うから、その時に会えるチャンスはあるよね。。」



今回は出来る限りの事はした。それで無理ならば仕方ない。そう思ったリエルは、1日走り回っていたせいか気がつかぬうちに微睡の中へと落ちていった。








「ったくよ、お前も本っ当陰気な野郎だよな。危うく"ミハエルはお前の隣にいるじゃねーか"って言うところだったぞ」


「姿を消してる俺が見えるのはお前くらい(・・・・・)だよ、ウォーデン。」


「まあそうだろうがよ。コソコソ隠れて見守ってるんじゃなくて堂々と会えねぇのかよ?」


「まあ…本当はそうしたいんだけどね。俺にもそうできない理由があるからね。」


「はあ…お前って本当周りくどいよな。少しぐれえ会ってやれよ。せっかくお前に会いにきたみてーだしよ」


「そう言ってくれるなよ。ま、会うか会わないかは考えておくよ。それと…これからも何かあったら頼むよ師匠さん」


「わーってるよ。」



ある酒場での、ある男達の会話。

そんな男達の会話も、深夜になっても賑やかな王都の喧騒に掻き消されてしまうのだった。






♢翌早朝


よし。結局この3日間ではお兄ちゃんには会えなかったけど、また王都に来て次会えた時にちゃんと話そう。

そう自分に言い聞かせて、気持ちを切り替えたリエルは今日、早朝にルートニオンを出てセレスタンに戻る予定だ。



『リエルちゃーん!おまたっせ!』


「カノミンおはよ!」


『ごめんね!無理言ってお出かけさせて貰っちゃって!』


「うんん!大丈夫だよ!帰りもよろしくね!」



早朝に宿を出たので、昨日あれほど賑わっていたメインストリートは今や誰もいない。

1人歩いていたリエルだったが、雲の切れ間から差す光芒から突如現れたのは、カノミンこと天狐だ。リエルが王都に滞在している間、所用でリエルの側から離れていた。



『うん!あれ…?ねえ、この先の道の真ん中に立ってる人間はリエルちゃんの知り合い?待ってるような感じだけど?』


「え?道の真ん中に人…?」


『あ、多分リエルちゃんには見えないかも?姿を消してるっぽいし。魔力も上手く隠してるね。』


「!!!。もしかして…!カノミン、ちょっと隠れてて!」


『分かったよ!その人間はこの先の門の所で待ってるよん!』


カノミンが光へと消えて行くのを見届けると

リエルは一目散に門へと走った。



ルートニオンには東西南北に各一つずつ、出入りする為の門がある。リエルが通ろうとしていたのは南門だが、ぱっと見、人はいない。

道の真ん中に人。と言われたら門を守る衛兵の可能性も高いが、今のリエルに見えないレベルで、姿を消しているとなると…




魔力も感知できない…。本当にいるのかな。でも、カノミンが居るって言ってたし…。



わざわざ姿を隠しているのだから、こちらから声を掛けず、向こうの出方を待つ事にした。もし外に出ても何もなかったら、こちらからアクションを起こそう。そう思いながら門の下に設置された衛兵の詰所を通過しようとした瞬間



「俺に何か用だったのか?」


背後から聞こえた声に勢いよく振り返る。魔力と共に姿を現したのは、前世で見慣れた顔。



「(本当にカノミンとベルゼの言う通り姿を消せるんだ…!)」


「どうした?驚かせたか?」


「…ううん。ずっと捜してた。」


「すまなかったな。昨日は出かけていたんだ。」


「いきなり来て会わせてくれ。って言う方が悪いもん。でもこうして会ってくれた!」


「詰所の衛兵から言付けを聞いてな。それで俺に何の用だ?」


「…この前初めて会った時、妹はいないって言ってたけど、どうしても私はミハエルさんが前世のお兄ちゃんにしか思えなくて。」


「またそれか。すまないが俺に前世とやらの記憶は…」


「前世のお兄ちゃんの名前もミハエルだったんです。顔も似てるとかそんなレベルじゃないんです。…もし、ミハエルさんに前世の記憶が無かったとしてもそれで良いんです。私が妹じゃなくても勝手にお兄ちゃんだと思ってます!」


「………」


「今回王都に来たのは、モヤモヤした気持ちがずっと続いてて、本当にお兄ちゃんじゃなかったとしても少しでもお話がしたい。どんな人なのか知りたい!と思って来ました。もちろん本当はお兄ちゃんだったら良かったんですけどねっ!わざわざ来て頂いたのに迷惑な話ですいません!」


「………いや…」


「本当はもっとゆっくりお話したかったんですけど、これ以上私のわがままにお付き合いしてもらう訳にはいきません。それに私も人を待たせてるので……これで。厚かましいお願いですが、もし良かったら王都に来た時にまた会ってください。」


「…リエ」





「おい!大変だ!!!連絡の取れなかった"サーベスト"が壊滅状態との知らせが来たぞ!」



ミハエルが何か言い掛けた時、門の上から衛兵の慌ただしい声が響いた。門の下に設置された詰所からはその声を聞いた衛兵達が出てくる。



「なんだと!!?すぐ城へ報告しなくては!!!…お前、行って来てくれるか!?」


「はい!ええと、連絡用に来たのはテイムされた鳥ですよね?それなら持ってきた書状を借りますね!」


「ああ!絶対無くすなよ!」


「はい!では行ってきま……あれ、もしかして…ミハエル様ではないですか…?」


「うわ、本当だ!こんな近くで魔法使い長様を見るのは初めてだぞ!」


「なんでこのような時間にこんな所に…?」



やれやれと言った顔で一つため息を吐くと、スッと真面目な顔に戻るミハエル。



「ああ、驚かせてすまない。所用で高ランク冒険者と会っていたんだ。それで…サーベストの件は本当なのか!?」


「そのようですね…数ヶ月前から連絡が全く取れなかったサーベストへと調査に行った冒険者達からの手紙が今し方届きまして。手紙はテイムされた鳥に括り付けられていました!どうぞ。」


「ありがとう。…この件は俺が預かる。その方が良いだろう。皆は警戒に戻ってくれ。」


「「「はっ!」」」




差し出された手紙を読む。

そこにはサーベストの人間は全員死亡、酷い殺され方をしている者も多数。家々も何かによって破壊された跡や火事の跡が多く見られ、地面も所々にクレーターやひび割れていて街全体が廃虚と化していると記されていた。



「くそ…。この報告から見ると、やはりアイツらなのか…?」


「お兄ちゃん、アイツらって?」


「最近、魔族の活動が活発化していると情報があって、上級魔族も動いているとあったんだ。街の状況から、そいつらだと判断して間違い無さそうだ。」


「上級…魔族…」


「ああ。そいつらの名前は"暴虐のフォルカス"と"殺戮のリノラス"と呼ばれている。」


「フォルカスとリノラス…」


「奴らは好戦的だ。万が一相対する事があれば気をつけた方がいい。…しかしアイツらが動いているとなると、本格的に魔族の侵攻が始まるのか…?」


「それは一大事だね…」


「ああ。迎え撃たなければいけなくなるな。」


「ねえ…サーベストって西部辺境の街だったよね?もし侵攻が始まるとしたら、次に狙われるのは…」


「西部の大都市からだな。エリースもしくはアルスローと考えて良いだろう。」


「!!…アルスロー…」


「アルスローがどうした?」


「前にね、アルノルト様から士官のお話があって、一応形だけだけど、わたし達は仕えてる事になってるの…」


「そうか。それは立派な事だな。…俺はこの件を報告に戻る。」


「うん。わたしもセレスタンに戻る。…今日の事はありがとうございました!またお会いしてくださいね!」


突如知らされた西部辺境の壊滅。

そして次に狙われるかもしれないのが、形だけではあるけど、わたし達の主人が治める街。一刻も早くベルゼ伝えなきゃ…!



兄疑惑のミハエルと会う事ができ、短い時間ではあったが、話す事ができた。

ここ最近モヤモヤしていた気持ちも、話すことで多少なり解消されたリエルは、ある確信を抱きつつも手を挙げて応えたミハエルの背が見えなくなるまで見送り、自分もセレスタンで待つ仲間の元へと急ぐのだった。


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