第83話 - ティアの告白2 -
この物語の亜人の定義は、人間と他の種族(主に獣人)との間に生まれた子。としています。
人間と獣人は以前戦争をしていた過去がありますが、ある勇者によってその戦争は平定され、時が経ち人間も獣人も忌み嫌う事は少なくなりました。
ですが、人間と獣人に限らずハーフである亜人については、昔から今日まで、裏では半端者として蔑まれてきました。
それでは第83話です。
突如光に包まれたティア。
すぐに光が収まると、今までになかった猫耳が生えていた。
「私は人間と獣人とのハーフ。つまり亜人なの」
突然の告白。
2人はそれぞれ違う事を考えていた。
いきなりの事で驚いているのもあるが、上手く言葉が出てこない。
「騙しててごめんなさい。偽ってたけど、初めて私を私として受け入れて貰えた気になっていた。それももうおしまい。……今までありがとう、楽しかった。」
今までに見た事が無いくらい悲しそうな顔を一瞬だけ見せたティアは振り返り、有無を言わさず2人に背を向け海辺を歩き出そうとする。
「おい、ティア!」
「…………」
ティアは振り返らず、ゆっくりと歩き出す。
「…全く気がつかなかった。ねえ、どうするリエルさ………っ!?」
私は人間と獣人の子供。
ハーフであるが故に微量ながら魔力を持って産まれた半端者。
亜人は人間の国でも、獣人の国でも受け入れられる事は少ない。
両者の戦争も終わった今は、人間も獣人も嫌い合うことは少なくなった。
でも亜人だけは昔から半端者として差別が根強く残っている。
私の記憶の最古から遡っても、今まで誰かに受け入れられた事は無かった。
救いだったのが、微量ながらも魔力を持って産まれた事。
属性はなくても、魔力が少なくても、一部の生活魔法は使える。
私は少ない魔力で変身魔法を幼い頃に覚えることができたから、人間として、冒険者として生計を立てる事ができた。
亜人である事を隠し、偽りではあったが、こうして楽しかった冒険者生活は終わる。2人と居るのはとても楽しかった。他人の温かみを初めて実感する事ができた。その分、2人を騙してきた事に耐えれず、ついに打ち明けたのだ。
当然、もう2人には受け入れては貰えないだろう。
亜人と蔑まれるのにはもう慣れた。
だが、そうは思っても溢れ出る涙は止まらなかった。
なんとか1歩、また1歩と歩きだしたティアだったが、気配もなく腕を掴まれる。
「いやいやいやいや!待った待った!」
「……………」
「亜人だからパーティ去るとか意味分かんないから!」
「…………」
「正直びっくりしてるけど、それがパーティを去る理由なら、俺たちは許可しないよ。」
「……んで」
未だにベルゼに手を掴まれているティアは、振り返らず声を振り絞った。
「ん?」
「なんで!私は亜人なんだよ!人間の間でも獣人の間でも、その混血は蔑まれている!今までだってそうだった!どこに行ってもそうだった!散々虐げられてきた!ベルゼはこの世界の人間じゃないから分からないかもしれないけど!リエルは何も言わないじゃん!」
涙交じりの声。震えながらも当て付けのようにぶつける。
「確かに俺は、この世界の事を分かってない部分が多い。だからなんだ?亜人だろうが人間だろうが、獣人だろうが、お前がティアという存在に変わりはないだろう。ティアがどんな種族だろうと、ティアは俺たちのパーティメンバーだ。」
「っ………でもっ!!」
「まずさ、俺たちはそんなの気にするような人間に見えたか?」
「それは…知らなかったからで…」
「いや、知った今でも気にしてないし。」
「でもリエルはさっきから何も言わないじゃん!」
「あー。すまん、ちょっと語弊があった。リエルはめっちゃお前の事気にしてたわ…」
「リエルはもともとこの世界で生きてたから、亜人に対しては良く思ってないに決まってるじゃん!」
「まずさ涙拭いて。こっち、っていうかリエルに向いて話せ。話はそれからだ。」
ベルゼの今までに無い強い口調。ちょっと怖い。
…確かに今までたくさんお世話になったリエルだ。有無を言わさず去ろうとしたのもそうだが、ベルゼに掴まれた腕は振り解けなそう。このままいつまでも背を向けたままはよくない。
腕でごしごし涙を拭うと、視界がクリアになる。
ふぅ。と、一呼吸置いて、意を決しゆっくり振り向く。
強く掴まれたベルゼの手はもう離されていた。
「えぇ…………」
逆にひいた。めっちゃひいた。
不安と悔しさと心残りから泣いた。
ベルゼにも八つ当たってしまった。
リエルは終始無言だったから、やっぱり私の事を蔑んでると思ってた。
え、いつからその顔してたの。
目、めちゃくちゃキラキラしてるけど。予想外過ぎませんかお姉さん。。。
振り向いたティアの目に映ったのは目を輝かせてこちらを見るリエルの姿だった。
「ねこ…みみ…ねこ…みみ…」
「リエル……さん…?」
「…ねえティア?なんでもっと早く言ってくれなかったの?」
変なオーラを纏いリエルがゆっくりと歩き出す。
「……ご、ごめんなさい………」
リエルの雰囲気にたじろぐティア
「いいの、私は怒ってないから。でもさ、そんな耳見たら我慢できる訳ないからね?」
1歩、また1歩とゆっくり近づくリエル。
「こわい………!」
せっかく拭いた涙が、違う涙として滲み始める。
「怖くないよ?でも、少し我慢してね?」
いきなり俊敏にジャンプして、かばっとティアに覆いかぶさるリエル。
この後、滅茶苦茶にモフモフされたのは言うまでもない。
その様子をしばらく見ていたベルゼ。
ティアのいきなりの告白。
そして知らなかったのだが、亜人は、人間と獣人の両者からも差別をされていた。
今までこの世界で生活してきて、人間も獣人も仲良くやっているように見えてそんな事があるなんて知らなかった。
だが、ティアの告白に驚きはしたが、別に何かが変わる訳ではない。
人間に差別されていると言っても、アレを見るとリエルはむしろ好んでいるしなあ。まあ、その辺は落ち着いたら聞くか。
未だティアの耳をモフり続けるリエル。
しばらく黙って見ていたが、我慢が出来なくなって意を決して言葉を発する。
「なあティア。ちょっとだけ俺もモフモフしても良い……?」
「……えっち」
ええ……と内心で思いながらも、がっくり肩を落とすベルゼだった。
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