第81話 - シーサーペント2 -
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シーサーペントのような大型の魔物を釣るのは現実的ではない。そもそも道具など無い。もちろん網なども同じだ。
…というわけで魔法だ。
せっかく夢の魔法の世界にいるのだからな。
探知魔法でシーサーペントの位置も分かってるし。
「できるかどうか分からないけど一度やってみたかったんだよね。」
「どうするの…?」
「ん、お楽しみにっ。…この方角だな。」
そう言うとベルゼは海辺へと歩きだす。
波打ち際まで来ると、腰に携えた黒刀・楳朱の刀柄を握りながら、混織霊気を発動、魔力を高めつつ魔法をイメージする。
使う属性とイメージは固まった。だがもうちょい…。イメージより更に魔力を練る。
「いつもより魔力が高まってる?」
「すごい魔力」
「よしっ!!」
黒刀・楳朱を勢いよく鞘から抜くと同時に斬撃が飛ぶ。それはまさに居合の形だった。
ベルゼから放たれた斬撃は海へと一直線に飛ぶ。
そして海を斬りながらも斬撃は止まらない。
「うそ」
「海が割れてる!」
おおよそ50m先まで海が真っ二つになる。
漫画で海を分断するのを見た時はちょっと憧れたものだなぁ。
使った属性は風と氷。
風の斬撃で海面を割り、斬った海水を凍らせる程の魔力を込めた。
ベルゼは刀に関して斬撃を飛ばすほど鍛錬していない。攻撃は魔法に頼れば事足りる。
ベルゼの場合は斬撃で海を分断したというより、魔法で分断したのだった。
『ギャアアアアウ!!!』
「あら、やるつもりだったんだけどなあ。」
海面が割れ、地表が露わになった先には、いきなり受けた攻撃に驚き、斬られて怒るシーサーペントの姿が見えた。
見た目はとても大きな蛇。
牙を剥き出しにして、見るからに怒ってるよね。
めっちゃ怒りながらこっちに向かって来てるよね。
ていうか水中じゃなくても活動できるのね。
「あの斬撃でこの程度の傷」
「シーサーペントは魔法耐性が高いって聞いたことあるよ!」
「え!そうなの!?」
ガックリと肩を落としたベルゼ。
魔法耐性が高い魔物とかいるんだ…
今まで物理耐性が高い魔物には遭遇したけど魔法耐性は初めてだな。
「次、行きたい。やってみたい事がある」
ビシッと挙手するティア。
「いいよ!頑張ってね!」
リエルの返事を聞いたティアは頷き、割れた海面に向かう。
「一応聞くけど1人で大丈夫か?」
シーサーペントは割れた海を這いずりながら既にかなり近くまで来ている。
「もし危なくなるようなら、わたしも加勢するね!」
「まあ大丈夫だとは思うけど…」
「そうだね!やってみたい事ってなんだろうね?」
たしかに気になるな。
ティアがそう言う事を言うのは珍しいからな。
破源の瞳を開きティアを注視する。
向かってくるシーサーペントを迎え撃つために波打ち際まで前に出ていたティア。
普段、剣を構える時とは違い、今は納剣しまま柄を握った状態で構えている。これがやってみたい事…?
「ねえ…ベルゼ?」
「ああ…」
それは、つい先ほど俺が放った技の構えと全く同じだった。まるで居合。ただ、ティアの場合は刀ではなく剣だけど。
集中するように目を閉じるティア。
魔力こそ感じないが、破源の瞳によってティアの身体を駆け巡る何かが見て取れる。
「なんだ…?」
空気がひりつくのを感じる。
圧のような何かだ。ただ嫌な感じではない。
身体を駆け巡る"何か"の高まりが最高潮に達した時、ティアはゆっくりと目を開く。
その瞬間ティアの身体がブレ、次の瞬間には剣を振り抜きそして納剣。わずか一瞬の出来事。
その一瞬の出来事は、この眼でなければ間違いなく見えなかっただろう。
「ティア!シーサーペント来てる!!」
リエルの焦る声が響く。
シーサーペントは、無防備なティアにその大きな牙を向けて襲い掛かる。
「ホーリーシールド!」
ティアの眼前30cmまで迫っていた牙はリエルのシールドによって防がれた。
「斬撃が早過ぎるのも問題だな。」
「何呑気な事言ってるの!って…あれ?」
例え魔物でも普通シールドで防がれたら、次の攻撃を繰り出す。だが、シーサーペントはシールドにもたれかかったまま微動だにしない。
「リエル、ありがとう」
大きな口を開き、今にも自分を飲み込もうとしていたシーサーペント。眼前のシールドにもたれ、微動だにしないのを確認したティアは、リエルに礼を言いながらこちらへと歩き出す。
「え?どうなってるの?」
「ティアが討ち取ったんだよ。」
その瞬間、微動だにしなかつたシーサーペントの体がズルりと半分に切れ、地面へと転がる。
「え!?」
「私が斬った」
「嘘でしょ!?全く見えなかった!!!え、ベルゼは見えてたの!?」
「………」
あの構え、動作。
魔力こそ伴ってないから、純粋な斬撃で俺と同じ事をした。しかもかなり完璧に。まるでコピーだな。
それと、魔力の流れと同じ"何か"。
そしてそれが身体を巡るあの感じ。
だが、確実に魔力ではない。ティアの保有魔力以上のものだったからな。一体あれは何なんだ…?
いつもの澄ました顔で2人がいる所まで戻ってきたティアを凝視しながら考えるベルゼだった。
次回、ティアの秘密について触れます…!
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