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夢にまで見た異世界でのんびり冒険者をやりたい人生だった  作者: りるお
第1章 - 初級冒険者編 -
8/142

第8話 - ウォーターボール -

8話です。

20時前後に更新すると言ったなアレは嘘ry

たまたま書けたので更新しました。

今日はもう1本アップできたらと思います。

そちらは夜にでも。ではご覧ください!



「すいませーん!森で晩飯代稼いでたら、やっぱりオークがでてきたんですけどー」


「なにっ!オークが浅い森の方に出たのか!!」




 エリースの入り口を守る衛兵は慌てた。

 東にあるアルスローの街に救援を送ってからまだ数日も経っていない。

 それなのに浅い森にレベルの高くなったオークが出たとなると、エリースの街に被害が出てしまうこと間違いない。



「4匹出ましたよ。狩りをしてたら急に襲ってきたんですけど、無事倒せましたよー!」


「4匹だと!!!こうしてはいられない!俺は領主様に報こ………おい、今、倒したと言ったか?」


「倒しましたよ!一人じゃここまで運べなかったんで、あの川にかかる橋まで1匹ずつ運んできたんですけど、もう疲れちゃって…運ぶの手伝ってもらえませんか?」



 にわかに信じられない。

 昨日この街に来た、街への入り方も身分証も持っていなかった田舎者が、この街の冒険者が苦戦しそうなオークの群れを…一人で倒しただと…?



「坊主、冗談でもそんな事言うなよ」


「冗談じゃないですよー!信じられないなら見に来てくださいよ!」




 確かにこの少年は嘘をつくような感じはしない。全く狡猾に見えない純粋無垢な子供に見えるのだ。




「そうだな、坊主が嘘をつくようには見えないし、一応見に行くか。おい、俺は今からこの坊主と一緒に少し出てくる。入り口を頼む!」


「了解しましたゾルデ隊長!」



 衛兵は部下っぽい人に告げた。この衛兵、隊長だったのか…隊長も見張りに着くのか。

 前世だと偉くなった人は現場に出ず、クーラーの効いた部屋で踏ん反り偉そうにデスクワークをしてるイメージだったが……



「ゾルデさんて言うんですね。行きましょうか!」








「おいおい…なんの冗談だよ!!エリースの冒険者が無傷で仕留めるのはできないと言われてた、育ったオークだぞ!!!!なんで本当に倒してるんだよ!」


「え、まずかったですか…?」


「……いや、まずくはない。すまん、ちょっと冷静さを失っていた」




 この少年の言う事は本当だった。通常のオークより大きい、恐らく噂のオークだろう。

 しかもまだ温かい。ほんの数分前に倒された証拠だ。…それにしてもこんがり焼かれて美味そうだ。うん。





「俺はこれからこのオークを運んでくれる人を連れて戻ってくる。その間お前はこのオークを見張っていてくれ。運ぶ人員が到着したら戦闘した場所へと連れて行ってくれ!」


「分かりました!」


 そう言ってゾルデは街へと走り戻っていった。



「ふう。上手く誤魔化せたな」




 収納で運んできたものの、この反応じゃあ、いきなりギルドで出したりしたら、かなりの大ごとになっていただろう。

 本を読んで思ったのだが、この世界の魔法は思っているよりレベルが高くなさそうだ。ましてや無詠唱なんて、この世界に3人しかいないというのに、"収納"なんて絶対大ごとになる。


 一番自然そうにオークを倒したアピールをするにはどうすれば…そう考えてこの作戦を思いついたのだ。

 一応頑張ってはっ倒して運んできましたー風を装う事を。







 しばらくしてゾルデは冒険者風の数人を連れて戻ってきた。



「本当にオークが倒されてる…」

「絶対嘘だと思ってた」

「かわいい」

「この子が倒したっていうの…?」

「美味しそう」

「偽物かと思ったけど、死体はまだ温かいし倒してから時間は経ってないな…」



と、口々に感想を述べている。



「お前ら、俄かに信じがたいと思うがそれは俺も一緒だ。この子はベルゼと言って昨日街に来て冒険者登録をしたんだからな」



『!!!!??』


「今から俺はベルゼと一緒に戦闘現場を見に行ってくる。このオークはとりあえずギルドに運んで預けておいてくれ。ギルドから領主様にオークの危機は去ったと伝えてくれ!」



『分かりました!』



 未だに、信じられない…と言った顔をしてあふ冒険者達にお辞儀をしてからゾルデと一緒にオークと戦った場所へと向かう。










「ここが戦闘した現場か…お前どんな魔法使えるんだよ!」


 オークを倒した雷の魔法の余波で焦げてしまった木々や抉れた地面を見て驚嘆するゾルデ。





「ゾルデさん、魔法って使えますか?」


「なんだいきなり?水と火を少し使えるぞ」


「申し訳ないんですけど簡単なのを使ってもらえますか…?」


「まあいいが…。ここで火を使ったら火事になりかねないから水を使うぞ」


「はい、お願いします」



「大地に集う命の雫、我が命令に従い、汝の姿を顕著せよ!ウォーターボール!」







うっっっっわ!!!!!!!!

本気で鳥肌立った!

やばい!マジでゾクゾクする!!

絵に描いたような厨ニ感!!!

なにこれ!!!!






ゾルデの手のひらから放出された、直径50cmくらいの水の球は向けられた木に着弾すると、太い木の幹を抉ると飛散して無くなった。





「はあ…はあ…久しぶりに魔法を使ったから張り切っちまったぜ…魔力半分使っちまった。おい坊主、これで……おいどうした?」


「いえ、ちょっと寒気がしてただけです。…ありがとうございます」


「それで魔法を使ったんだが、それがなんだってんだ」


「んーーーーとですね、今からする事を絶対他言しないと約束してもらえるならお教えします。ただ、うっかりにでも他言してしまう可能性があるならオークを倒した方法はお教えできません」


「なんだよもったいつけて。これでもエリースを守る衛兵の隊長だぞ。信頼第一の仕事だからな、約束は守るつもりだぞ。」


「…分かりました。さすがにオークを倒しただけの魔力を使うのはアレなんで、ほんの少しだけ魔力を使って魔法を使いますね」




そう言って左手に魔力を込める。

イメージするのはオークを倒した雷魔法の1/100の雷。

雷が具現化し左手の上で踊る。


「これがオークを倒した魔法です。魔力量は1/100くらいですけどね」


















「………………………」



 ゾルデは目が飛び出るくらいかっ開き、口は顎が外れそうなくらい開けて俺の左手を見つめていた。

 右手で眼前で手を振っても反応がない。屍か?



 仕方がないので左手の雷を魔力に戻すと、ゾルデはようやく我に返った。



「お前!!無詠唱で!おい!魔法!今!無詠唱で!お前!」


「落ち着いてください」


「流石に落ち着いてられるか!!!無詠唱魔法使いはこの世界で3人しかいねえんだぞ!!」


「知ってますけど…」







 ゾルデが平静を取り戻すまで暫く時間がかかった。

 ゾルデが世間一般でどの程度の力量なのか分からないが、隊長というくらいだからそれなりなのだろう。この世界の魔法基準には多少は参考になったな。



「というわけでこの事は内緒にしといてくださいね。僕は冒険者としてのんびり暮らしたいので。もし万が一にも他言するようなら、エリースの衛兵は約束をすぐ破って人の秘密を簡単に他言する信用ならない奴らだ。と触れ回りますからね」


「悪魔かお前。しかし冒険者でのんびりやりたいって変わってるな。普通に王国宮廷魔道士として仕えられるのに」


「そういうのが嫌なんですよー それはもうこの上なく嫌なんですよー」


「お前本当に変わってるな。ちなみにさっきの雷は威力抑えたって言ってたが、魔力量はどのくらいあるんだ?」


「んー…量がどの位かって聞かれても答えにくいんですけど…」


「そうだな…じゃあ全魔力の半分くらいを使ってウォーターボールを撃ってくれ」



 ウォーターボールってさっきゾルデが使ってたやつだよな。

 魔力全体の半分…はこのくらいか?

 木々に向けた左手に魔力を込める。そして水球をイメージして放出!!





























ズバァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!!!!!!!!!!!!!













 その日、エリースの街に衝撃が走った。


 この街で倒すには何十人もの冒険者を集めてもギリギリ倒せるか分からないオークが討伐された事よりも、その住処と言われていた西の森が約90%消失したのだ。



 一人の少年の手によって。

 しかも消失させた魔法は初級水魔法"ウォーターボール"でだ。




ご覧頂きありがとうございました!

次話もよろしくお願いします!


ブクマ等して頂けると筆者もやる気に満ち溢れます。それはもうモリモリと。合わせてよろしくお願いします。


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