第79話 - 知らぬところで -
8万PVありがとうございます!!!
更新が遅くなってしまって申し訳ありません。
本業の方がえらいことになってまして…
年内いっぱいで仕事の方が落ち着くので投稿頻度も通常営業に戻れるかと思います…
皆さんも事故や怪我の無いよう、年内を乗り越えましょう…!
79話はミオドアルでのスタンピードの少し後の出来事から始まります。
人間の住む大陸、ガヤート王国。
その首都である"ルートニオン"はガヤート王国の中心に位置する。
その昔、魔族や獣人の国と隣り合わせ、異なる種族間で戦争を繰り返していた先人達は、防衛のため首都を大陸の中心に設置した。
一から地面を耕し、簡素な家を建て、農耕や畜産で自給自足する生活から始まり、魔法の発達と共に現在の賑やかな姿へと進化していった。
そんなガヤート王国の南西。
この地は未だに未開の部分が多く、手付かずの原生林や、豊かな自然に囲まれている。それ故に人々はこの地を辺境と呼ぶ。その為、人口も少なくおおよそ50人程度であるため建物も比例して少ない。言わば田舎である。
そんな辺境の地 "サーベスト"
ベルゼがミオドアルでスタンピードを殲滅した少し後の新月に近いある日の夜中のこと。
その家の住人は物凄い爆音で叩き起こされた。
寝ぼけ眼を擦りながら周囲を見渡すと、家の中に居たはずなのに、光り輝く星々が頭上に見える。
そして何かが焼ける臭いが辺りから立ち込める。
一瞬で目が覚めたその住人は、異変に驚きながらも何が起こっているのか確認しようと外へと出る。
地面は所々にクレーターができ、家々は燃え、肉が焦げたような臭いもする。まるで地獄かと錯覚する光景が永遠と続いている。
村中心に設置された噴水広場に差し掛かった時、叫びごえが聞こえ、覚束ない足取りながらも懸命に走る。
「やめて!!!!!!助けて!!!!!!」
「弱い!人間はどうしてこうも弱いのであるか!我輩は少しも力を入れていないというのにっ!!」
そう怒鳴る男は片手で握っていた悲鳴の主の首をへし折る。
「うそ…だろ……」
その光景を目の当たりにした住人は後退りながらも恐怖で動かない足を懸命に動かそうとする。
「あらぁ?フォルカス!まだ人間がいたよ!」
「なぬ!我輩とした事が人間を見逃していたとは!」
2人の魔族はニタニタと笑いながら近づいていく。
「だずげで…」
サーベストの住人はある日唐突に、魔族の手によって全滅したのだった。文字通り、1人残らず。
辺境ゆえ、他の街や人間に知られる事なく、任された任務の初段階を遂行し得たのだ。
この事が発覚したのはおおよそ3ヶ月も後のこと。
辺境の村サーベストに一番近いアルスローから行商へと向かった商人がいくら経っても帰って来ないと、ギルドに捜索依頼が入り、冒険者によって凄惨な光景が伝えられる事となったのだ。
当然、村一つが壊滅したことは瞬く間に広まり、高ランク冒険者や有識者による調査が行われた。
近隣の町や村の戦闘が出来ない住人達は何者の手によって虐殺が行われたのか…次はこの街が…次は自分が…と、見えない恐怖に怯えるのだった。
♢
「おばちゃん!おかわり!」
「はいはい、いやぁそれにしても貴方小さいのに本当よく食べるわね〜!」
「育ち盛り」
「ティアちゃんも負けずにちゃんと食べるのよ!」
「うっ…」
ベルゼはすでに4回目のおかわりに突入していた。
相変わらずこの世界の食べ物は美味い。ご多忙に漏れず、この宿のご飯も美味い。美味すぎてウマになりそう。
そして名物女将とまでは言わないが、愛想の良いおばちゃんである。
ベルゼたち冥府の使者パーティは、Sランク冒険者サラに付き纏われる可能性が極めて低くなったため、冒険者ランク上げをする事にしたのだ。
サラは現在王都ルートニオンの北にある島に居るとの情報なので、ベルゼ達はルートニオンから南に向かった。
というのも、ベルゼにとって南は未開の地であり行ってみたかったのと、サラから少しでも遠ざかるために南を提案したところ、無事了承を得ることができ、最近になって魔物が頻繁に出没すると噂があった"セレスタン"に向かった。
セレスタンでは噂通り、多くの魔物が出没していて、3人は順調に魔物を狩り、すっかりセレスタンに入り浸っていた。
このセレスタンは、王都ルートニオンにはもちろん及ばないが、かなり大きい街で活気がある。
王都から南に向かう者は、必ずと言って良いくらい立ち寄る街だ。
近隣の南の街や村で採れた魚介類を使った料理が多く、ソレ目当てに遥々遠い街から来る者も居るくらい。
「まさかこんなたくさん魚介類が食べれるとは思わなかったなぁ…」
幸せそうなベルゼ。
それもそのはず、この世界に来て極々稀ではあったが魚は見たのだが、ベルゼが辿ってきた街々は比較的内陸にあったため、魚介類を出す店が少なかった。
それがセレスタンに入り浸っている理由の一つでもある。元日本人のベルゼとしては魚介類は見逃せない。この時既に王都を発ってから数週間が経過している。
前世ぶりの魚料理は、カラフルな魚の煮付けである。
流石に刺身で食べる習慣は無いのか、周りのテーブルを見渡しても見かけないのは残念だったが、久しぶりの魚料理に文句は言うまい。
「明日はどんなクエストを受けよっか!」
「そうだなぁ…アレなんかいいんじゃない?クエストボードの右上に貼ってあったやつ…」
「シーサーペント」
「それそれ。」
「最近になって出没するようになったシーサーペントのせいで漁ができなくなってるから討伐してほしいってクエスト?」
「そそ。」
「私のレベルアップの糧とする」
「海蛇って食べれるのかなぁ?」
「もう…わたしはそのクエストで良いけどBランクだから気合い入れて行こうねっ!」
「りょうかい!」
「望むところ」
次の獲物が決まったところでベルゼは煮付けの最後の一口を頬張るのだった。
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