第74話 - Bランク vs Sランク -
寒い日が続きますね。
皆様、風邪等ひかないようご注意ください。
Sランク冒険者サラは無詠唱魔法使いではありません。ですが長年の研究と知識欲により、詠唱は誰よりも早く、正確です。あと魔力コントロールも随一です。
74話ではサラが不穏な雰囲気になります。
それではお楽しみください!
「えー面倒な事に巻き込まれそうじゃん。」
『そうであるな。』
「俺は今世のんびり暮らしたいのに!!」
『主の体質的にそうも言ってられぬがな』
「そうなんだよねー…ってもう来たのかぁ」
探知魔法を使わないでも分かるくらいに何かが急接近するの感じる。
『我は影に潜むゆえ…』
「おい!クロ!俺も逃げたいんだけど!」
すでに影へと消えたクロだった。
「少年!今使ってた魔法は!何なんだ!」
「あーどうもー」
「今の魔法は何だと聞いてるんだっ!」
「わーキャラが崩壊してるよーこわーい」
「良いから!答えてくれ!」
「嫌ですよーそもそも冒険者って不必要に詮索しあうのって御法度なかったでしたっけ?」
「私には必要な事なんだっ」
「俺には不必要ですよ?」
「くっ!」
ギリっと歯が軋む音が聞こえる。
「…力ずくででも聞いてやるって顔してますよ。」
「……。」
「高ランク冒険者は手本になって欲しいですね。」
「辛辣だな。それにしても私が力ずくでも聞き出してやるという顔をしていたという割には随分と余裕がありそうだな?」
「いやいや、そんなことはないですよ〜」
「…まあいい。それよりも私の研究の為に力を貸してほしい。」
「お断りします。」
「何故だ…?」
「まず聞きたいんですけど、研究と言ったらもしかして長いこと俺の行動が制限されるんじゃないですか?」
「まあ…そうなるな。」
「なら理由は2つ。俺にはやりたい事と、やらなきゃいけない事があるので行動が制限される事はお断りしてます。もちろん、そういうクエストも受けてません。もう一つの理由…これはヒントになるかもしれませんけど、あの魔法は固有スキルによるものです。なので他人に教えたりはできませんし、研究材料になり得る事はは少ないだろうからです。」
「固有スキルだと…!?」
「ええ、これ以上は俺の手の内を晒す事になるので言いませんけど。」
「くっ…!固有スキルとなると確かに参考にならん…か」
「というわけで生憎お力にはなれません。」
「…残念ながら嘘は言っていないようだな…」
「ん?」
残念ながら嘘は言っていない…?
確かに嘘は言っていないが、どうしてそれが判る?
不審に思ったベルゼはサラの顔を見つめる。サラの瞳は薄っすら碧色になっていた。
「魔眼か…」
「ご名答。君は察しも良いな。…先ほどは手を出さないと言ったが……欲しくなってしまうよ。」
「それはどうも。こっちも情報を出したんだから、その眼についてくらい教えてくれても良いんじゃない?」
「…ふむ。まあ良いだろう。君が言ったように私の眼は魔眼だ。心実の眼と言ってな。発動中に嘘をつくと…燃える。文字通りな。」
ええ…!!うそやろコイツ!
危うく俺燃やされてたじゃねーか!!
てかどんな魔眼だよ!
「くくっ。そう構えなくて良い。嘘をつかなければ良いだけなのだからな!」
そういうとサラは"何かに取り憑かれた"ようにベルゼへと歩みよる。
「えぇ…めっちゃ怖いんですけど。俺はこれで失礼しますよ…?」
「逃げられると思っているのか。」
「やれるだけやってみますよ。」
そういうとベルゼは混織霊気を瞬時に展開し、イメージで魔法を構築する。
一方サラはと言うと、やはり聞き慣れない呪文を唱えながらこちらに歩み寄ってくる。
「やはり面白い。その魔力の鎧と思しき物も良いな…」
先に魔法陣が展開したのはベルゼ。
これは無詠唱かつベルゼのイメージさえ整えば即展開可能の為、言ってしまえば当然の事だ。
ベルゼの魔法は炎の円陣となりサラを囲んで燃え盛る。
「これ以上進むと燃えますよ。」
「あまり私を見縊らない方が良い。これでもSランクなのだからな。」
「…Sランクが自分の欲求に塗れてんじゃねえよ。」
炎陣が半ドーム型になり、サラの姿が見えなくなる。
つまるところ、完全にサラを囲った事になるのだが、サラも同じ冒険者という事でベルゼは加減をしていた。
半球体になった炎は触りさえしなければ熱さを感じず、燃える事もない。
「ふむ。君の力はこの程度ではあるまい?」
炎の中から聞こえた声と共に、一瞬にして炎の半球体は消失し、無傷のサラが出現する。
「念には念を入れてますよ。俺の力がこの程度だとは思わない事ですね。」
「それは楽しみだ。ならばこれはお返しだ。究極の立方体!」
突然ベルゼの周囲に半透明の立方体が出現する。
立方体内の空間に閉じ込められてしまった。
「これは捕縛用魔法の中でも最強の"究極の立方体"と言ってね。その壁はどんな攻撃にも耐え得る。そしてその中では魔法を構築する事は出来なくなる。」
「げぇ…それはやばいな。」
試しに魔法で攻撃しようにも、イメージまで出来ているのに放出が出来ない。
ベルゼは腰に差した黒刀・楳朱を抜き半透明の壁に斬りかかるも弾かれてしまう。
「無駄だよ。この魔法が発動してしまったからには君は逃げれない。壊せないのだからね。」
目前まで迫っていたサラはその綺麗な顔を歪めながらこちらに歩を進める。
「…ふう。流石Sランクだなぁ…念には念を入れといて良かった。」
「ほう。随分と余裕だな?私の魔法に手も足も出ないというこの状況で。」
「手も足も出ないなら身体ごと出るよ。」
「何を馬鹿な事を言っている?」
「それじゃあ。次にこうなったら俺も本気でいくから覚悟しとけよ。」
そう言い残すと、ベルゼは立方体の中から姿を消す。
「なにっっ!!!?」
突然の事でその綺麗な顔が台無しになる程驚くサラ。
それもそのはず、究極の立方体の中では魔法を新たに構築する事ができない仕様になっているのだから。更に破壊も不可能。
今まで抜け出せた者はいなかった。
あの少年はどんなトリックでここから脱出したのか…。
「くくくっ!はっはははははははははは!!!面白い!面白い!!益々欲しくなったぞ!!!!!!」
その顔に似合わない、似合わなすぎる大声で笑うサラ。
『オイオイ。それじゃあどっちが悪魔か分からないゼ…』
ドスの効いた黒い声が小さく聞こえるのだった。
「リエル!ティア!」
「ベルゼ!大丈夫!?」
「問題ない!いや、問題はあるんだ。魔物は全滅出来た!」
「なら何が問題」
「サラが俺の事を実験材料にしようとしてきたんだ!なんか半透明の檻に閉じ込められたんだけど、ギリギリ逃げてこられたんだが、いつまでもここに居たらまたすぐアイツは来る。だからここから逃げようと思う!」
「ベルゼがサラの毒牙に」
「半球体の檻って究極の立方体の事!?ベルゼどうやってアレから抜け出したの!!?」
「話は後だ。とりあえず逃げるぞ!」
「「分かった!」」
「ギルドの職員さん!魔物は全滅できました!俺たちは急用があるからこれで!!」
「ここから見ていたがお前の魔法…っておい!」
話も途中で逃げるように走り出した3人。
だった1人で約3000の魔物を一掃し、Sランク冒険者サラの最強捕縛魔法を掻い潜ったBランク冒険者。
後にこの日の事は、それを見ていた冒険者によって語り継がれる事になるのだが、そんな事は知る由もないベルゼ達だった。
ご覧頂きありがとうございました!!
次話もよろしくお願いします!
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