第7話 - 覚醒する転生冒険者 -
7話目です。
ようやく物語が動き出します。
技名を考えるのがとても苦手な事に気がつきました。
それではご覧ください!
衛兵との会話の中で魔物について話を聞くことができた。
このエリース近辺はどうやらレベルの高い魔物はあまり存在しないとの事だ。だが辺境に近い場所にある為、魔物の数は少なくない。
低レベルの魔物が多い為か、エリースの冒険者はランクがあまり上がらず、他の街に行ってしまう事が多いそうだ。
だが、冒険者も生活がかかっているので狩猟を行う。ただし、低ランクゆえに深い森に入らず、浅い森か街道付近に現れる低レベルな魔物が主なターゲットとの事。
会話に出てきた高レベルのオークは、西の森という人の手が入らない深い森の事で、エリースの冒険者の手に負えないまでに成長してしまったようだ。
だからと言っていきなり俺が立ち向かうのは無理があるだろう。どの程度の強さなのか、数はどのくらいなのかも分からない。
そもそも俺は昨日この世界に来たばかりだし、倒したのも低ランクの象徴であるゴブリンだ。
なんとなく手応えで、それなりには戦えると推測できるが、推測を誤って死んでしまっては元も子もない。
そんなわけで、まずは俺の魔法は何ができるのか、どこまでできるのか。という事を確認してから魔物討伐に動こうと思う。
まず西の森の手前に位置する広い草原に来たのはそういう為だ。
色々考えたが、前世のファンタジー物で得た知識をフル活用しようと思う。
例えば飛行魔法とか、瞬間移動とかである。もしこれが出来るならば、俺はかなり強くなれるのではないだろうか。
最初に飛行魔法だ。現在意識して抑えている、身体を覆っていた魔力を解放する。
そのまま、空を飛ぶ…というよりは浮く事をイメージする。
「…マジで浮いたぞ」
思った通りである。やはり無詠唱魔法は、魔力とイメージが大事なんだろうな。
今度は浮きながら飛ぶイメージする。実際に空を飛んだ事はもちろんないが、イメージでどうにかなりそうな気がしているのだ。
「おお!!遂に人類は空を飛ぶ事が出来るようになったぞ!!」
思ってたより簡単に飛ぶ事ができた。…異世界とんでもなくチョロいぞ。
他の魔法も試したいし、モンスターも討伐しなくてはならないから、飛行魔法だけで魔力が底を尽くのは勿体ない。満足してはないがとりあえず地面に降り立つ。
次に瞬間移動だな。これは無理そうな気がしているが何事も挑戦だよね。
万が一成功して遠くまで行ってしまっても面倒なので、今見えてる範囲…ちょうどあそこの切り株を目標にしてみるか。
先程同様、魔力を覆ったまま、あそこに行きたい!と強くイメージする。…というか念じる。…が何も起こらない。
「瞬間移動は無理ゲーだったか?」
いやいや、そう簡単に諦めたくはないよね。うーん。そもそも瞬間移動とかアニメで見た事あるくらいだからイメージし辛いんだよなあ。
…アニメか。ふと思いついた前世で見たアニメ。あの時の冒主人公は、目を瞑り、人差し指と中指を眉間に当てて、対象を探してたな…
思いついた事はなんでもやってみよう!いざ、レッツトライ!
目を閉じ、眉間に指を当て切り株をイメージ。イメージったらイメージ。本気でイメージ。
魔力の高まりを感じつつ、そこに行きたい!!!瞬間移動がしたい!!!そう強く念じながら目を開く。 くわっ!
「おおおおおお!!!」
オッス!オラ瞬間移動もできっぞ!!
本当に異世界チョロいぞ…これは。いやーマジでできるとは思わなかったな!!これ使えると超便利だよなあ!
気分は最高潮である。
魔力はあんまり減った感じもしないし、元いた所に戻ろうと思って瞬きをした瞬間、また世界が変わる。
「あれ……????」
ふと辺りを見る。
後方に一瞬前まで目の前にあった切り株がある。
これはもしや………
そう。単純に目を閉じる必要があっただけなのだ。
別に眉間に指を当てる必要はなかったし、強く念じなくても、飛ぶ場所のイメージがあれば良いのだ。そして一人称をオラでなく、戦闘狂にもならなくて良いのだ。
「なるほどな」
先程のポーズが無駄になりはしたが、便利な魔法が2つも使える事が分かったのだ。
とりあえず魔法研究はここまでにして、そろそろ今日のご飯代を稼がなくては。
周辺を探知魔法で調べると、森の中にいくつも反応がある。
複数相手は流石に怖いので、最初は単独で行動している魔物を相手にしてみようか。
♢
「ふいーーとりあえずこんなところで良いだろ」
結局戦闘の音を聞いた魔物達がどんどん集まってきてしまい、氷の刃で攻撃しては新しい魔物から逃げ、隙を見て攻撃して…というのを繰り返し、ようやく落ち着く事ができた。
残念だが、倒した魔物は持ち帰るのが困難なため、土魔法で地面を掘り、炎で焼いてしまった。
そろそろ引き上げてエリースに帰ろうとしていると探知魔法に4つの反応。
しかもかなりのスピードでこちらに向かって来ている。
氷の刃を生成し、あとは飛ばすだけという段階で維持しつつ探知魔法に集中する。
ひらけたこの場所だと接敵しても距離があるからいきなり攻撃を食らうことはないだろう。
「ブモォオオオオオオ!!!!」
あ、これ絶対オークですやん。
見るからに二足歩行の豚ですやん。
噂になってた奴ですやん…
氷の刃でオークを倒せるのか、どの程度の威力なのかも試したいしな。無理なら飛んで逃げるか。
とりあえず4匹もいるのでなるべく早く対処しよう。そう決めて氷の刃を放出する。
「なにっ!!?」
放出された氷の刃は1匹に着弾したものの、オークを仕留める事は出来なかったのだ。
威力が低いのか、向こうが硬いのか、相性なのか。
分からないが、豚野郎は俺に突っ込んでくる。
「くそがっ!!!」
完全に油断していた俺は慌てた事で、抑えていた魔力を大量に放出してしまう。
オークとの距離は2m、何故か咄嗟に堅牢な壁や鎧のイメージが湧く。
その瞬間魔法として発動。
いわば魔力障壁と、魔力の鎧を発動していた。
魔力障壁に阻まれた2匹と、障壁を避けた2匹は魔力鎧にぶち当たり、軽く吹き飛んだ。
咄嗟に飛行魔法で飛び上がり雷の魔法を発動させる。
それなりに魔力を込めた左手から放出されるのは稲妻だ。
放出された稲妻は縦横無尽に走り、4匹の豚さんを襲う。
「ブモオオオオオオオォォォォ………」
丸焦げになった豚さん達は地面に倒れてピクピクしている。
そのまま警戒を解かずしばらく経つと痙攣も収まったので、氷の刃を投げてみる。
突き刺さって血は出るが反応はない。どうやら無事に倒せたみたいだ。良かった。。。
そして何故かその瞬間、急に身体が軽くなった気がした。
「良かったあ……完全に油断してた……」
今まで出会った魔物は今まで氷の刃のみで倒せていたから油断仕切っていたのだ。
「でも新しい魔法もできたな。なんか勝手にイメージが湧いてきたけど…あといきなり身体軽くなったし、なんなんだ…」
ともあれ無事で良かった。
そうだ、魔物も結構倒したし、ステータス見てみるか。
ー ステータス ー
Name ベルゼ
Lv. 18
HP 7689/7689
MP 6502/8400
- 属性 -
(炎,水,土,風,雷,氷,時,闇)
- 固有スキル -
・創造具現化・遅延呪文
「…えらいことになってませんか????」
身体が軽くなった気がしたのはレベルアップしたからなのか…?
それにしても色々突っ込みどころはある。まずHPとMPに関しては比較対象が無いから置いて置こう…。 多分だけどすごい事になってる気はするけど。
次に属性。めっちゃ多くない?っていうか()は何だ…?風と時と闇が増えてるな。
なんとなくだけど、飛行が風、瞬間移動が時、かな?
闇は…なんだろう、魔力の鎧か…?となると使う魔法の属性が新たにステータスにも反映されるのか…?
最後に、最も特筆するのが固有スキルだ。
これは意味が分からないが、恐らく"創造具現化"はイメージで魔法を使う事っぽくない?創造した魔法を具現化するって事で。
そうだと仮定するならめっちゃチートじゃないですか?
俺のイメージした魔法が、魔法として具現化しちゃうのだから。
次の遅延呪文…これに関しては全く分からないな。
遅延てなんだよ。電車かよ…もう遅延も許さぬ社会の歯車にはなりたくないよ???
…まあこれの考察はまた今度にして、そろそろエリースに帰るとしようか。
と、そこでまた問題が発生する。この4匹のオークの死体だ。
体調2m弱、体重もかなりありそう…絶対一人じゃ持ってけないよ。
流石に持ち運んでエリースに帰れないが、話題沸騰中のオークを倒したから森は安心だ!と言っても誰が信じてくれるだろうか。うーん。困った。
「……そうだ!物は試しだよな!」
創造具現化だ。考察が正しいのかも証明できるしね!
早速、麻袋から取り出したのは、今日倒した魔物の魔石。それを手に持ち、魔力を込める。そして、"収納" とイメージする。
すると、突然右手に持っていた魔石が消える。
「成功かな?」
とりあえず消えたが、魔石がどうなってるのか分からない。そして再度、"収納"から取り出すイメージ。
「おお!成功だ!」
魔石は再び右手に現れた。
「消えたり出たりするけど、これってどこに行ってるんだ?」
そう、例えば消えた先が変な所で誰かに迷惑をかけてしまうかもしれない。盗られてしまうかもしれない。思わぬ事になってしまう可能性もある。
それならばと…
今度は手に何も持たず、右手に魔力を込めながら
「収納オープン!」
すると右手の先の空間が、直結1mほど、正方形に切り取られた。
「おお!これが噂の亜空間と呼ばれる場所か…?」
全く知らない。知るはずもない。が、俺のイメージが具現化するなら亜空間と呼ばれる場所だろう。
"亜空間というもの"を何となくイメージしたのだから。
収納を開いたまま再び魔石を持ち、魔力を込めながら魔石を収納するイメージ。
手から消える魔石、亜空間に現れる魔石。
「成功だ!!ファンタジー最高かよ!!!!」
創造具現化は完全にチートだ。俺のイメージが具現化するのだから。
その限度はまた検証する必要があるが、今は十分なデータが取れた。
オーク4匹を収納へとしまい、意気揚々とエリースへの帰路に着くのであった。
ご覧頂きありがとうございます。
次回更新は明日20時前後です。
次話もよろしくお願いします。
ブクマ等して頂けると筆者もやる気に満ち溢れます。それはもうモリモリと。合わせてよろしくお願いします。