第61話 - バイロニー男爵 -
投稿頻度が落ちてしまって申し訳ありません……
もしばらくで本業の方が落ち着くと思うのです…ご迷惑をおかけします。
ブクマして頂けたら投稿した時に分かると思うので良かったらお願いします。
♢アルスロー侯爵家 応接室
「という訳なんですよ。いきなりこんな話をしても信じて頂けないかとは思うのですが、どうかお願いできませんか…?」
「うむ…確かに簡単には信じられぬな…」
生やした髭を触りながら考え込むのはこの館の当主、アルノルト・アルスローである。
「ですよね…」
まあそうだろうな。
いきなり来て、使役してる魔物の妹的存在の竜に向けて討伐隊が向けられてるから、先に調査した結果いない事にしたいと言われても普通困るよね。
「じゃが、形的にもワシに仕えてるお主らの名が広まればワシにも利益はあるのじゃ。」
「ああ、前に言ってた貴族間での…ってやつですね。」
「そうじゃ。お主が言う事を証明できるならば力になりたいと思うのじゃ」
「証明…ですか…」
「うむ。まずお主が使役している魔物を見たい」
「それなら大丈夫です。クロ。」
『うむ。話は聞いていた。』
「うおっ!ほ、本当に魔物じゃな」
「そうですね。」
「なんと…。お主の事じゃから嘘は言わんと思っておったが…」
「ええ、嘘はつかないですよ。……どうですか?信じてもらえました?」
「う、うむ。」
仮にも形だけでも仕えてる主人を騙すなんて余計に面倒な事が増えるだろうからな。
「それは良かったです。ただ、さすがに領主様をシャドウクリーパーの里や火山には連れて行けませんよ…?」
「行ってみたいのじゃがな…ワシも立場があるからのう。………よし、お主らに一任しよう!」
「ありがとうございます…!」
ベルゼの話を信じてなかった訳ではないが、使役してる魔物を見たアルノルトは真実だと確信し、あっさりとベルゼ達の好きなようにさせると決めた。
万が一何かあっても、相手方の貴族は自分より位の低いバイロニー男爵だ。天秤にかけたらメリットの方が大きいと踏んだのだろう。
「すいませんでした、いきなり。」
「なに、気にせんでよい。久しぶりに顔も見れたしのう。」
「そうですね…たまには顔を出すようにします。」
「うむ。また土産話を持って遊びに来るがよい。」
「ありがとうございます。ではこれで失礼します。」
「元気でのう。お主が活躍すればする程、我がアルスロー家も安泰じゃからの。ほほっ」
アルノルトは、バイロニー男爵宛への手紙をその場で書いてベルゼに持たせてくれた。
久しぶりに会ったアルノルトは以前と変わらず迎えてくれた。挨拶もそこそこに事の流れを話すと、喜んで了承してくれた。お互いにメリットがあるからね。
事前知識で貴族は面倒な事が多いと思っていたが、アルノルトのような話の分かる貴族もいるんだなぁ。そういえばフェルの方に行った2人はちゃんと無事に話ができたのだろうか…?
そんな事を考えながら再びバイロニーの街へと戻るベルゼだった。
「で、2人は無事に話ができて来たと?」
「うん!最初は『おにいちゃんはいないの?!』ってずっと言ってたんだけど、女の子どうしだったからガールズトークで盛り上がっちゃった!」
「楽しかった」
「何しに行ってたの…」
「でもちゃんとお話しはしたよ!普段から静かにするのと、少しの間隠れてるって!」
「それなら良いんだけど…」
「1年後におにいちゃんと会うなら約束守らなきゃねって言ったら、すんなりだった!」
「そ、そっか…」
策士リエルさんである。
「じゃあ明日は打ち合わせ通りに頼むよ。」
「うんっ!」
「りょうかい」
♢翌日 バイロニー家屋敷
「お招き頂きありがとうございます!Aランク冒険者のリエルです!こちらはパーティメンバーのベルゼとティアです!」
アルノルトに会った翌朝、俺たちはバイロニー家の屋敷を訪ねた。
「ようこそ我が屋敷へ!わざわざお越しくださってありがとうございます!」
領主のバイロニー男爵は若い。
見た目から判断するに20代後半か30代前半といったところだろう。
とてもイメージしていた貴族とはかけ離れている好青年という印象だ。
冒険者に対してありがとうなどと言うとは思ってもいなかった。
「アルノルト様より手紙を預かってます。どうぞ。」
ベルゼは昨日書いて貰った手紙を差し出す。
「ご丁寧にどうも、皆さん他の冒険者とは違って礼儀正しいのですね…!」
「え、どういうことですか…?」
「ああ、すいません!皆さんみたいな冒険者は初めてで。もっとこう…ワイルドな冒険者が多くて…」
「なるほど。」
この世界の冒険者はテンプレ通り、筋肉隆々戦士が多い。と思う。
この世界に来てあまり経ってないが、ギルドに出入りしている冒険者はそういうタイプが多かったし。
もっとも魔法職は身体強化の魔法を使える為、その限りではない。…ないのだが、魔法が使えるゆえに教養がない者が多い。そういう印象だ。
おそらく男爵はそういう者と会う機会が多かったのだろう…?
「アルスロー侯爵様より頂戴したお手紙を拝見させて頂きましたが…何から驚けば良いのか分からないですね…笑」
手紙にはアルスローに下位竜が飛来した事、ベルゼの手によって討伐された事、アルスローに来ていた商人からライアダム山にも竜が飛んでいたと噂聞いたため、"冥府の使者"に調査依頼をしたと書いてあった。
「調査の結果から聞いても良いですか?」
「はい。ライアダム山を隅々まで調査した結果、すでに下位竜の痕跡はありませんでした。」
「良かった…!!」
「なので、討伐隊の編成は無駄になってしまうかと思います。」
「…実を言うと、高ランク冒険者を多数雇って討伐隊を組むとなるとかなりの金額がかかってしまうんですよ。お恥ずかしい話、先代の父が亡くなって僕が当主になってから日が浅くて… なるべく家計を圧迫したくなかったんです。」
「そうなんですね…」
当主だった父親が亡くなって、この青年に代替わりしたようだ。前世のベルゼと同じ位の年齢くらいで男爵になっているのはそういう理由らしい。
「では、後ほどこの件をこちらからギルドの方に伝えておきます。わざわざ調査をして頂いてありがとうございました!」
♢バイロニー 市街
「フェルちゃんの所に討伐隊が行かなくなって良かったねっ!」
『皆、感謝する』
「良かった。」
「…………」
「ベルゼどうかしたの?」
「いや、なんかあっさりしてるなと思って…」
「そうかな?」
「うーん…自分の領地の近くに竜がいるかもしれないのに、すぐ討伐隊をキャンセルするかなぁ?」
「代替わり後って言ってたし、報酬金の事もあったからじゃない?」
「自分よりも地位の高い貴族がわざわざ冒険者を調査に出した。調査したのも高ランク冒険者だったから安心。」
「まあそうなんだけどさ……勘ぐりすぎだな!」
「そうだよぅ!」
「とりあえずここでやる事は無くなった。王都に向かう。」
「そうだな!今日は王都に向かう為に準備して明日発とうか!」
「「うん!」」
♢ ?
「アルスローに差し向けた竜は討伐された…か。」
「調査したという冒険者を帰して良かったのですか?」
「迷ったんだけどね。一応侯爵家の犬だ。何かあったら侯爵家が動くだろう。そうなると面倒だし、まだ子供だ。高ランクとはいえ昔に比べると人間の実力はかなり落ちているからな。」
「そうでございますね。」
「竜を倒したという冒険者も魔力は少なかった。大方、他の冒険者と協力して、留めを刺したのがあの黒髪だったのだろう。」
「なるほど。それで、もてはやされている訳ですね。」
「そうだろうね。それより、準備は整っているかな?」
「はい、その件については近いうちに。完了次第いつでもどうぞ」
「あのお方からお許しを頂いたから良いものの…次はもうないからね。」
「承知致しております。」
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