第58話 - 精霊の加護 -
本業の方が多忙過ぎて昨日投稿が出来ませんでした…
少しの間、不定期の更新になってしまうかもしれません。。
◎途中まで読んでいた小説がぱったり更新されなくなった時の悲しさを筆者も味わった事があるので必ず完結はさせますのでご安心ください。
「これが炎の精霊…」
「小さくて可愛いっ!」
「でも見るからに元気がないよ。」
フェルに案内されて来たのは、少し広くなっている空間だった。ここに来るまでには火口付近にある転移石で飛んで来たのだが、どうやら普通には来れそうにない。
この空間に設置された祭壇に居るのが炎の精霊とやらだ。
『ボクは契約してるから火山のどこで魔力を供給しても精霊に届くけど、主さんは初めてだから!』と言うのはフェルの言葉だ。
そこに居る精霊と呼ばれたものは、ティアの言うように明らかに元気がないように見える。
『精霊さん、ボクに協力してくれる人間を連れてきたよぉ』
『インフェルノドラゴン。キミがここに来るのも久しいね。協力してくれるのは助かるけど、その魔力……君の種族は何だい?』
「…俺は人間だよ。」
『これは驚いたなあ。人間でこんなにも魔力を持つ者がいるなんて。こんな格好で申し訳ないけど自分は炎の精霊をさせてもらってるよ。』
「ああ、大丈夫。」
『すまないね、インフェルノドラゴンから聞いてるとは思うけど、しばらく魔力が枯渇していてね。精霊なのに恥ずかしい限りだよ。』
『主、精霊は魔力を根源とし存在する者。その根源が枯渇…つまり人間でいう瀕死の状態なのだ。』
「なるほど、ざっくりフェルに聞いたけどなんで枯渇してるの?」
『精霊には役割があってね、炎の精霊である自分はこのパルミュラーテの中心にある膨大なエネルギーを定期的に火山を通して放出する役目を担っているんだ。』
"パルミュラーテ "
転生してすぐこの世界について調べるために図書館で読んだ本に書いてあったな。
人間の住む大陸、獣人が住む大陸、魔族が住む大陸これらを総称してそう呼ぶ…だったかな?
まあ簡単に言えば前世でいう"地球"的な星の名前だったな。
多分この世界には惑星とか星とかっていう概念が無いだろうからな。
調べた本にもそれらの文字は出てこなかったし…
火山の噴火についても地球と似ている部分もある。
もう全然覚えてないが…確か地球の火山が噴火するのは、マントル内のマグマ溜まりが飽和して地上へと押し上げられて噴火する。…だったかな。社会人になると使わない知識は忘れてしまうなぁ。義務教育の敗北だ。
この世界では中心にエネルギーが溜まっていて、それを精霊が意図して放出させている。火山から放出するのは余計な魔力を抑えるために既に放出口となっている火山を選んだからか…?
「この世界の中心に膨大なエネルギーがある…?」
「え、どういうこと?」
『この世界の住人には理解ができないと思うから、簡単に言うね。火山の噴火によってこの世界の体調を整えているんだ。僕はそれを精霊の役目として助けている。』
「噴火させるのに魔力を使いすぎたって事か。」
『…やけに物わかりがいいね。普通はその子たちみたいな反応だけど』
「なんとなくイメージはできたよ。」
『さてはキミ、転生者かな?』
「……それだけで良くわかったな。」
『普通はなんとなくでもイメージは出来ないからね』
「ん、転生者…?ベルゼが?」
「そうそう」
「ん…どういうこと?」
「ティア、後で話してあげるねっ!」
ティアの頭は色々と理解の許容を超え今にも噴火しそうである。
『たまに来る転生者から元の世界でも噴火活動があったと聞いた事があるんだ。もっともここ数十年は転生者の話を全く聞かなかったけどね。』
「なるほどなぁ。…それで魔力の供給はどうすれば良い?」
『ああ、それは簡単だよ。僕の手に魔力を流してもらえるかな?できれば純粋な炎の魔力だと助かるんだけど。』
「純粋な炎の魔力になるか分からないけど、やってみるよ」
火山の噴火には雷が伴う場合がある。
インフェルノドラゴンは雷寄りの炎の魔力と言っていたが、それでも還元率が落ちる。
つまり、炎の精霊だから単純に炎の魔力を欲しているのだろう。
ベルゼは純粋な炎をイメージして差し出された精霊の手に魔力を流す。
『おお!これは凄い。還元率が非常に高い魔力だ…』
『主さん、さっきまで闇寄りだったのになんで!?』
「もともと俺が使う魔法はイメージで造られてるんだ。だから他人に渡す魔力もイメージして渡してみたらどうなんだろうって思ったんだ。」
そう言いつつ自身の半分くらいの魔力を精霊へと渡す。
『そんなことができるの…?』
「一応固有スキル持ちだからね。ただ、どんな魔力が渡されるのかは、やってみないと分からなかったけどね。」
『やっぱりおにいちゃんが認めた主さんだ!凄いなあ!』
この世界の最強生物の1つである竜にまで褒められてしまったベルゼ。
「こんなもんで大丈夫?」
『ありがとう。とても良い魔力だったよ。』
そう言った精霊は先ほどまでとは違い、元気そうに見える。
ベルゼは魔力の流れを見るために"破源の瞳"を発動し、精霊の体内に流れる魔力を見る。
「おー。凄い流れが良くなってる。」
『キミは魔力を見る事ができるんだね。』
「最近見れるようになったんだ。と言っても分からない事の方が多いけどね」
『なるほど。…その眼、使い方を違わず大事にすると良いよ。』
「? ああ…そうするよ。さて、これで用は済んだから俺たちは行くよ。』
「ん。」
「さっきより元気になって良かった!」
『待ってほしい。全回復という訳ではないんだけど、回復させてもらったんだ。お礼くらいはさせてもらいたい』
「お礼なんて良いよ。魔力を分けただけだし。」
『そうは言ってもね、精霊としてのプライドもあるからね。気持ち程度ではあるけど、お礼くらいさせてもらうよ』
そう言うと炎の精霊が纏っている赤い魔力が拡大し、その場を包む。
「温かい…!」
「ほわほわする。」
「これは…?」
『これは精霊の加護。僕の炎の加護をキミ達に与えるよ。炎属性への耐性と属性攻撃力のアップするよ。それと、ここみたいに暑い環境でも普通に過ごせるようになるよ』
「すごい…!」
「せいれいのかご。」
「良いのか?こんな大層なお礼を貰っちゃって。」
『もちろんだよ。でも一つ我儘を言うとまた遊びにきてほしいな。ここは誰も来ない火山。たまにインフェルノドラゴンと話をするだけで、退屈だからね。』
「まあ…フェルにも会いに来れるし、そのくらいなら問題ないよ。」
『ありがとう。こんな所だけどいつでも歓迎するよ。』
「こちらこそありがとう。じゃあ、また来るよ。」
『またね主さん!』
こうして炎の精霊から加護を貰った一向は、精霊とフェルに見送られながら一路、王都へと向かうのだった。




