第56話 - 業炎獄竜 -
最近、時間がある時は厨二ワードを調べてる筆者です。
作者のやる気が漲るので
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◎ 混種霊気を、混織霊気と変更しました。
「あっっっつい!!」
「本当に…これでも温度調整されてるからマシなのに。」
「ん…シャワー浴びたい。」
一行は、シャドウクリーパーの故郷"ヴィアレン"を後にし、ここ"ライアダム山"に来ていた。
ライアダム山は現在火山活動がたまに起こっている活火山である。
「まさか火山活動が起こってる活火山に来る事になるとは思わなかったなぁ。」
前世では、火山活動が起こった際は避難せざるを得なかった。装備に付与されている温度調整機能が無ければ、この世界でも訪れる事はなかっただろう。
「この世界で唯一の火山活動中の山らしいからね。普通は来ないけど…」
「この世界の人って山に来る事あるの…?」
「そこに山があったら登りたくなる冒険者もいるくらいだからね!あとは修行とかで籠る人もいるよ!」
「そうなんだ…」
「人目が無いし、魔法を放っても迷惑にならないからね!」
街や街道で強力な魔法をぶっ放したら迷惑どころか多数の被害が出る。なので、修行をしたい冒険者などは稀に山籠りをするらしい。
『主、そろそろ…』
「ああ。こりゃ凄そうだな」
探知魔法に引っかかった馬鹿みたいに大きい反応はこの先にある。この大きさから竜だろうと想像に難く無い。
と、その時。
地震と共に何かの爆音が爆ぜる。
それは明らかにこちらに向けて放たれたものであり、3人は一瞬にして警戒の態勢に入る。
『おにいちゃああああああああああん!!!!!』
爆音の正体はきっとこの声の主だろう。
ベルゼはクロの話と今の大声から一瞬で理解した。
『ああ…奴だ……』
「え、クロなんでこの世の終わりみたいな顔してんの?」
『じきにに分か…』
『おにいちゃあああああああああん!!!!!』
物凄い豪風と共にやってきたのは体長十数mは優にある竜だった。そんな竜がクロを押し潰すかのようにアタックしてきた。
『久しいな、インフェルノ』
『おにいちゃん!会いたかった!!!!!!!』
『分かった故、離してくれぬか…我が死ぬ…』
感動の再会って、だいたい抱擁で始まるじゃん?
でも今見てる光景はドラゴンに押し潰された犬みたいになってるけど…
『我は狼だ。主。影狼なのだ。』
「あ、聞こえてた?」
『おにいちゃん!!このひ弱そうな人間達はなに?手土産?』
『手土産ではない。我の主だ。』
『えー!!おにいちゃん人間なんかに仕えたの!??』
『うむ。その通りだ。だが、主を普通の人間達と一緒にしてはならぬぞ。そして手土産ではない故、他の人間も喰ってはならぬ。』
『えー!男はまだしも女なんて喰べても美味しくないじゃん?そもそも人間なんて小さい生き物なんか喰べるまでもないよぉ!あ、でもちょうどおやつにはいいかも!』
『我の主達に失礼な事を言うでない。』
『本当のことじゃんー!』
「ずいぶんと失礼な竜だな。」
『えー!何この人間!おにいちゃんの主人だからって偉そう!どうせ不意打ちとか、無理矢理契約させたんでしょ!!』
『やめるのだインフェルノ。我が主だぞ。』
「ふーんだ!」
あー。ちょっと想像してたドラゴンとはかけ離れた感じだな…いや、尊大な所はイメージ通りだけど、クソ生意気な餓鬼みたいな感じだから余計にイラッとするな?
「クロちょっといいか?」
『な、なんだ…主よ…』
「なあ。俺さ、久々に本気を出そうと思うんだけど。」
『待ってくれ主!奴の非礼は詫びる。今の主が本気を出したら光属性以外の魔物はだいたい消し飛ぶ!』
『いや、流石に殺せはしないと思うからちょっと懲らしめた方がいいんじゃない?」
『待って欲しい!こんな性格で血は繋がっておらぬが我の妹なのだ!討伐されるにはまだ幼すぎるゆえ!』
「いや、どう見ても血は繋がってないだろ。でもさぁ、その妹はさぁ、俺のパーティーメンバー喰おうとしてたよなぁ?俺前に言ったよね?2人の害になる存在には容赦しないって。俺も流石に黙ってられませんよ?」
『い、言ってはおったが…』
「それにおにいちゃんが言っても聞かなそうじゃん。てかどのみち止まんなそうだし。」
『ちょっとおー!全部聞こえてるからね!おにいちゃんいじめるならボクが許さないんだからね!』
「お前に怒ってるんだよ…」
『おにいちゃんいじめる人間はボクが懲らしめるんだから!』
『待て!インフェ』
『フレイム・ボルケーノ!』
話を聞かない竜である。
だが、天狐ほどの圧力は感じない。
隠してるのかこの程度なのかは分からない。
今の自分がどのくらいの力量なのか。
試させてもらうにはちょうど良い。
そう思ったベルゼは瞬時に混織霊気を発動させる。
「クロ!お前の妹は話を聞かないドラゴンだなっ!ブレイズ・ウォール!!!」
闇と炎が織り重なり黒炎となる。
黒炎の障壁を展開し、インフェルノドラゴンが放った火山岩を迎撃する。
「この黒炎はなかなか使い勝手が良いなぁ。新しい引き出しが増えたな!」
ベルゼの魔法はイメージから造られる。
イメージする魔法が多いほど、ベルゼの力となるのだ。
「今度はこっちからいくからな!」
イメージするは闇と氷と風。
そして左手から放たれるは黒い氷と暴風。
「絶対零度の結氷風!!」
インフェルノドラゴンも、ベルゼの攻撃を受け身で待ってるわけがない。
だが、自らが吐く炎で迎撃しようとしたのがいけなかった。
ただの氷であればおそらくインフェルノドラゴンに軍配が上がったであろう。
それは炎と氷の魔法を使えるベルゼが、魔法研究の一環で行った実験で既に検証済みだった。
ゆえに、ベルゼは3種類目の魔法に風を選んだのだ。
暴風にかき消される炎は氷を溶かす事が出来ず、ベルゼの放った魔法はインフェルノドラゴンに直撃する。
『うわっ!なんなのこれ!!』
「それはな絶対零度のブリザードだ。いくら炎のドラゴンでも氷漬けになるだろうな。まあ放ったら最後、止めるまで辺り一面を凍り尽くしてしまうのが難点だけどな。』
『寒い…やだ!氷漬けなんてやだ!!』
その間にもインフェルノドラゴンの体はじわじわと氷始めている。
「そうだな。俺はあの2人の害になる者には容赦はしないと決めたんだ。だが、クロの妹だ。さっきの発言を取り消して謝るなら助けてやるよ。だが、謝らないと言うなら、人間如きに氷漬けにされた竜として見世物になるかもなぁ。くっくっく。」
『分かった!分かったから!ごめんなさい!!』
「素直でよろしい。クロ、お前の妹は素直な子だな!」
『主よ、気がついておるか?ずっと悪魔みたいな笑みを浮かべておるぞ』
「悪魔の笑み。。」
「あーあの顔たまんないっ」
「『えっ』」
こうして話を聞かないクロの妹こと、インフェルノドラゴンを懲らしめてしまったベルゼ。
本人達は忘れているが、上位竜は大国を滅亡させる力を持っているのだ。
しかもそんな竜を、クロの妹でなければそのまま氷漬けにしまうところだったベルゼだった。
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