第55話 - 食文化 -
寝落ちしてました…
王都へ行くのはもう少し時間がかかりそうです。
『もう行ってしまうの?』
『母上、人間の寿命は我らよりも長くはない。その中で主らはやる事も多い』
『そうね、なら仕方ないわね!』
「またお邪魔させてもらいます。」
『今回は湖くらいしか案内できなかったから次はゆっくりとこの辺を案内させてもらいましょ!』
「ありがとうございます。」
「この辺って湖以外にも何かあるんですかー?」
『この辺は森に隠れておるから人が全く入らない故、豊かな自然が沢山残っている。滝とかは特に良いぞ。きっと主も気に入るであろう。あとは少し歩くが、ライアダム山だな。』
「火山に行って何するの……」
『あそこはインフェルノドラゴンが棲む地。奴の機嫌で火山が噴火したりしなかったりするのだ。』
「「「そうなの!?」」」
「上位竜が棲んでいるなんて…!」
「さすがにやばいでしょ」
『奴は無闇矢鱈に危害を加えるような性格ではないから安心すると良い。』
「え、竜って性格とかあるの?」
『我らや竜ほどの知能をもつ魔物はだいたい性格があるぞ』
「なるほど…竜はやたらめったら街とか滅ぼすイメージだった」
『それは人間が先に危害を加えたか、虫の居所が悪い時に目に入ってしまったからであろうな』
「いや、無闇矢鱈に危害加えてんじゃん!」
『だが、奴は我と小さき頃より育ったゆえ知れた仲なのだ』
「いや…なんでだよ…」
『この子がまだ小さい時にねえ、外で遊んでたら大慌てで帰ってきたのよ!何があったか聞いたら小さい竜が倒れてるって言うから、お父さんと一緒に見に行ったのよねぇ』
『懐かしいな!倒れていたのは赤ん坊のインフェルノドラゴンだったのだが、傷の手当てをして肉を与えて看病していたら懐いてしまったんだが、親も来なかったからうちで育てたのだ。』
『だけどねぇ〜』
『奴は竜。成長につれ我らより大きくなって、このヴィアレンでは窮屈になってしまってな。それでライアダム山に棲むことにしたのだ』
「一人暮らしのスケールがぱねえ…」
「クロは竜と一緒に育ったのね!」
「竜はモフモフしてるかな。」
『アンタ!たまにはあの子に会ってあげなさいよ!寂しがってると思うから!』
『う…む。分かってはいるのだ…』
「ならインフェルノドラゴンに会いに行こうよ!」
「え、これから!?」
「そうよ!クロもせっかくここまで来たなら会いに行ってあげなよ!」
『いや…我の事は気にしなくて良いのだが…』
「何言ってるのよ!こんな近くまで来たのに主人に兄弟を紹介しないの?」
『兄弟ではないのだが…』
「一緒に育ったなら似たようなものでしょ!」
『そうなのだが…』
「リエル、王都に行くの遅くなっちゃうけど良いの?」
「いいよ!私はどっちかと言うと知性のある竜に会ってみたさがあるし!」
「モフモフできると良いのだけど。」
「ティア、もふもふは諦めるんだよ」
「ガーーン」
『なら主さんと山に寄ってから行きなさいね!』
『主殿、息子をよろしくお願いしますぞ!』
「はい、ではお邪魔しました!」
「またモフらせてね」
「ばいばーい!」
短い滞在だったが、クロの帰省も無事に済んだ。
眼の事も聞けたし、素敵な景色を見る事ができてよかった。ここはまた来たいな。
だが帰省にも関わらず、こうも短い滞在には訳があった。
もちろん長居するとクロ両親にも迷惑になってしまうだろうというのはあるが、何より "食" に問題があったのだ。
普通に人間のように会話していたが、シャドウクリーパーは4足歩行の魔物である。
主に食べるのは肉。そう、ヴィアレンに着いてから歓待に振る舞われたのだが、素の生肉だった。
これは流石にと、炎魔法で焼かせてもらったものの、調味料などは一切持ち合わせていない。仮に持っていたとしてもせっかく振る舞われたものを大幅に手を加えるのは失礼だろう。聞けばだいたい毎食生肉を食べているとの事だった。
3人にはこの食文化だけは耐えがたい。
かと言って、ベルゼの "収納" にある食べ物をこっそり頂くのも忍びない。というか寄ってたかってたべられてしまうだろう。
クロの手前、口には出さなかったが皆一刻も早く、生肉パーティーから逃れるため帰省を終わらせる事を考えたのだった。
そして、次にここへ来る時は食文化ハザードを起こす事を決めたベルゼだった。
そんな一行は、王都へと向かう前に、クロと幼少の頃から一緒に育ったという"業炎獄竜"の棲まうライアダム山へと向かう事になった。
「いやークロ、あんな良い所に住んでたんだなぁ」
「ねー!私あんな綺麗なところがあるとは思わなかった!」
「とても良かった」
『気に入ってもらえて良かった!また来て欲しいぞ。』
「お邪魔させてもらうよ。」
「うんっ!」
「そういえばクロはインフェルノドラゴンと仲は良かったの?」
『うーむ…仲が良いか悪いか聞かれたら、良いと答えよう…』
「なぁ、さっきから何か歯切れが悪いな?」
『そ、そんな事はないのだ!』
「あやしい。」
「クロ、俺たちとしては厄災そのものな上位竜に会おうってなってるんだ。何かあるなら先に教えてくれ。」
『うむ…それはそうなんだが……実は…我は奴にかなり好かれてるのだ』
「「「は???」」」
『形容しがたいのだが、奴は我の事を好いているようなのだ。』
「なになに!ドラゴンに好かれてるの!?」
「兄妹愛…?」
「良かったなクロ、主として祝福しよう!」
『これだから言うのは嫌だったのだ…。奴が火山に移り住む前はライアダム山は休火山と言われていた。奴が移り住んでから火山活動が盛んになったらしいのだが、それは我が主探しの旅に出てから頻繁に起こるようになったと父上から聞いた。』
「ふむふむ」
『様子を見に行った母上からも、我が旅に出た事によって情緒不安定になっているとも聞いた…』
「完全にクロが原因。」
「恋ね…」
「恋なのか……」
どうやら火山でも一悶着ありそうだな。
それにしても上位竜…どのくらいの強さなのか…
敵にならない事を願うベルゼだった。
ご覧頂きありがとうございました!!
次話もよろしくお願いします!
高評価、ブクマ等して頂けると筆者もやる気に満ち溢れます。それはもうモリモリと。合わせてよろしくお願いします。




