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夢にまで見た異世界でのんびり冒険者をやりたい人生だった  作者: りるお
第2章 - 中級冒険者編 -
53/142

第53話 - クロの帰郷 -

今週も始まってしまいましたね。

皆さん頑張って生きましょうね…



今回はクロの里帰りです。




"ヴィアレン"への旅路は順調だった。

道中で出現した魔物を討伐したり、小さな村に立ち寄ったが、宿は無かったものの泊まらせて貰ったり、お礼に村の畑を荒らすボアファングを討伐したりと、まるで冒険者の鏡みたいな生活を経験した。振り返るとこの世界に来てから、普通の冒険者としてあまりそういった経験はしてなかったからな。


今まで居た街とは違い、小さな村というのは初めてだったが、住民どうしは仲が良く余所者である俺たちを追い返す事もなく、むしろ村では採れない素材や冒険話をせがまれながらも歓迎してくれた。



今更だが、この世界では長距離移動には馬車を使うのが一般的だ。馬に荷台を引かせる、よくあるファンタジー物語に登場するアレだ。こういうところはテンプレなんだなぁ。

御者は基本的に雇うか、自分らで行うかの2パターン。前者は貴族に多く、後者は冒険者や一般の人が多く、


今回、ダンジョンの街ルーファスで御者を雇った。

よく行く甘味処でたまたま若い青年と仲良くなったのだが、これが今回雇った御者で、「どこか出掛けるときはうちに声をかけてくださいね!」と言われていたためだ。今回バタバタと発つ事になってしまったのだが、一応付き合いもあるし、たまたま声をかけたら快く雇われてくれたのだった。


御者は雇われが多いらしいのだが、この青年は商業ギルドに登録していて、家族全員でやっている御者業者らしい。商業ギルドは未だによく分からない部分が多いが、前世でいう家族経営の御者だろう。青年の父親はハーフエルフらしく、この世界初めてのエルフ!と期待したのだが、クォーターの青年の見た目は耳が少しだけ尖っているが、ほぼ普通の人間の見た目だった。ちょっと残念。



のんびりとした(おそらく)普通の冒険者っぽい生活はあっという間で、気がつけば"ライアダム山"の麓にある大森林に差し掛かっていた。


「色々と楽しいお話をありがとうございました!」

「こちらこそ楽しかったよ。ちょっと遠くまでありがとう。」

「この辺りなら近い方ですよ、前なんて7日間の距離を行ったのにかなり値切られましたからね…笑」

「それはそれは…また機会があったらお願いね!」

「はい!ではありがとうございました!」


深々と頭を下げる彼は、若いのにちゃんとしてるなあ。ああいう人ならまた使いたいな。と思うベルゼだった。

彼は17歳と言っていたから現在の見た目はベルゼの方が圧倒的に幼いのだが…



『主、ここより徒歩ですぐになる。』

「ん、案内よろしく頼むよ。」

「この先にもふもふがたくさん…!」

「もうティアったら!」

「リエルさんもちょっと前までクロのこと抱き枕にして『もふもふぅ〜』とか言いながら寝てたじゃん。」

「それは言わない約束でしょうおとっつぁん……」





ヴィアレンはライアダム山の麓の深い森の中にあるらしい。

一行はクロを先頭に歩く。この森は前世で一度行った富士の樹海みたく木々が高く生い茂っているが、人の出入りもないようで獣道があるくらいだ。

不思議と魔物は出現しない、どころか探知魔法にも引っかからない。

なんでもクロの一族、シャドウクリーパーはとても綺麗好きで、住処の付近はいつも綺麗になっているらしい。魔物はゴミじゃないんだけどね。




『主、あの洞窟を抜けると我の故郷だ。』

「楽しみだな!」

「クロの両親も久しぶりにお会いできるね!」

「もっふもふ!」


その洞窟は深い森の中、いきなり出現する。

そもそも人が立ち入る事のない森の中、それなりに深く入り込まなければこの洞窟すら見つけられない。

リエルの光魔法"ライトニング(照明)"で真っ暗な洞窟を照らしながら進む。



しばらく歩いた後、少し前から見えていた出口から差し込む光はだんだんと大きくなって、ついに洞窟の終着に至る。



「わあー!綺麗!」

「これは……」

「ん、すごい…」



一行の眼前に現れた景色。

かなり大きな湖。その湖の中心には大きな木がそびえている。その荘厳さに言葉を失う。




『主、我らの故郷"ヴィアレンだ。人間がここに立ち入るのはもう随分と久しいだろう。』

「すごいなこれは…」

『ここまで来たらもうすぐだ。我の両親も待っている故、行くとしよう』

「そう…だね」


突如現れたその景色に目を奪われてしまっている3人。人間がここを知ってしまったら、この景色を独占する為に戦争が起こるかもしれない。それほどまでに素晴らしい眺望だった。



『いらっしゃーい!』

『おお、来たか!待っておったぞ!』

「ご無沙汰してます。お邪魔するのが遅くなってしまってすいません。これお土産です。」


そう言って"収納"から取り出したのはケーキの箱。

クロ曰く、故郷では甘い物を食べる事が無く、コレを買って行ったら間違いない!と鼻息を荒くして言われたので、ホールで何個か買ってきたのだ。


『あらあら、お土産なんて良かったのに!』

『主殿よ、これは人間の食べ物なのか?』

「そうです、クロの好物なので皆さんのお口ににも合うかと思って買ってきたんですけど…」

『わざわざありがとうございますね!皆が集まったら頂きましょうねお父さん!』


「(なんか人間と会話してるみたいだな…)」

『父上、母上、これは"ケーキ"という甘味でな、大変に美味なのだ。』

「そういえばクロのお父さんお母さんの声も聞こえるね!」

『光の娘か、我らの大半はもとより誰かしらに仕えてきた故、人間や魔族の言葉は話せるのだ。』

「なるほど、この世界の魔族も言語は違えど会話はできますもんね。」

「わたしはリエルって言います!改めてよろしくお願いしますー!」

『あらあらご丁寧に。主さん、こんな可愛い子大事にしなさいね!』

「は、はい…」


まさか飼い犬の母親にとやかく言われるとは思ってなかったベルゼだった。


『主殿は新しい娘も侍らせてるのか』

「あ、いやいや、こちらはティアと言います。新しいパーティメンバーです。」

「こんにちは。今日はモフモフさせてもらいにきました!」

『あらー大人しい子かと思ったら積極的なのね!』

「いえ、普段は大人しいです」

「もふもふが3人…!!」

『あらあらぁ』


『主殿も隅に置けぬな!』

「あ、いえ。ティアはそういう関係じゃないです。手を出したらリエルに殺されるので…」

『お父さん当たり前じゃない!こんな可愛い子がいるのに2人3人なんて許されないわよ。』

「ですよね!お母さん!」


クロのお母さん、目が笑ってないよ…

お父さんも、しょぼん(´・ω・`)ってならないでよ…

手を出すつもりはないからね…!


『(主殿、女性はなによりも怖いからな…。光の娘を怒らせない方が良いぞ…うちのに似ている)』

「(ええ、その片鱗は見た事あるので…気をつけます…)」

『「2人して何話してるの!」』

『「ひえぇ……」』


その時、タイミング良く一同の中心に光が差し込んだ。


『はーい!天狐ちゃんこと、"カノミ"ちゃんでーす!みんなからは"カノミン"って呼ばれるようになったよー!』

『て、天狐……』

『やあアルビナント!久しぶりだね!元気してる?』

『あ、ああ…』

『あらリエルちゃん、使い魔に天狐を選んだのね!良く倒せたわね!』

「いえ、お母さん…私なんかの実力じゃ、カノミンに傷一つつけられなかったんです…」

『最高の一撃が良かったら仕えるって話だったの!』

『あらあら、じゃあこの子は見込みアリなのね!』

『そうそう!すっごく良かったよ!』

『すごいじゃない!リエルちゃん!天狐はうちのお父さんに勝っ』

『母さん、そんな昔の話はやめてくれないか…息子や主殿の前なのだぞ』

『そうね…笑 この辺でやめといてあげましょうね!』


天狐はリエルによって"カノミ"と名付けられた。愛称カノミン。



それからクロの親族がぞろぞろと集まって話をしたり、お土産で持ってきたケーキを振る舞ってもらったのだが、一部のシャドウクリーパーさん達は、食べた瞬間から涙を流す者、クロに対して嫉妬混じりの冗談を投げつける者、人間の主人を見つけると息巻いた者もいた。



今回、やはりというか呼ばれた目的は特になかった。テンプレならば、故郷が何かしらの災難に見舞われているから助けてほしいとかせがまれるのだろう。だが全くもってそんな事はなかった。実に肩透かしである。


だが、一応預かってる息子が元気な顔を見せに行くのに付き添うのも主人の務め(?)だし、リエルとティアもシャドウクリーパーの皆さんと仲良くなれたし良かったかな。リエルは特にお母さんに気に入られてるし、ティアは、ずっともふもふしてるし。俺もしたい。

残るは俺の目的でもある"この眼"について聞けたらと思う。

ご覧頂きありがとうございました!!

次の投稿は明日になります。

次話もよろしくお願いします!


高評価、ブクマ等して頂けると筆者もやる気に満ち溢れます。それはもうモリモリと。合わせてよろしくお願いします。

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