第51話 - 次の目的地 -
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♢朝食後 ベルゼとリエルの部屋
「最後にベルゼ。あなたが使ったあのオーラみたいなのはなに。今まで使ったところを見なかったんだけど。」
「ああ、あれは混織霊気と呼んでるんだけど、闇属性を極めていくと使えるようになるらしいんだけどよく分かんないや。属性魔法2つを重ね合わせて纏う感じ?」
「なにそれ…。」
「俺もよく分からないんだよね。イメージで作ってるから」
『主は闇属性を得意とするであろう?闇に認められし存在は魔力の片鱗を掌握した際の特典だと思って良い。』
「……よく分からないけどすごいのね。」
おそらく途中から理解するのをやめたのであろう。
その目はあくびした後で潤んでいるように見える。
「そういえば、リエルの"聖霊の煌"ってどういう能力なの?確か、固有スキルだったよね?」
「"聖霊の煌"は1日1回だけど、全魔力の10倍の魔力を使えるの。でも使った後はすっからかんになちゃうから奥の手でしか使えないけどね!」
「あーそういう事ね。前にも1度使ってたけど、タイミング逃して聞けなかったんだよね〜」
「あ!キングサイクロプスの時?」
「そそ、あのクソ勇者が絡んで来た時。」
「そんな事もあったね!あの時はベルゼの攻撃から彼らを守ろうとして使ったんだったなぁ。あの時のベルゼの魔法、結構な魔力込めてたもんね!」
「しかもリエルが身を挺して助けたのに逆恨みしてきたんだったよな!ぶっ飛ばしてせいせいしたなあ。」
「待って、そのクソ勇者ってもしかして"モール"!?」
「あー…そんな名前だったか…?」
「もしそうなら伝説の剣と呼ばれた剣を使ってたはず…!」
「あー…俺がへし折った剣…か」
「へし折っ…た……?」
「ああ、コレだろ?」
そう言って"収納"から取り出したのは、以前、例の勇者が使っていた伝説の剣。当時はベルゼも唸る程の光属性の魔力を剣自身が放っていたのだが、戦闘中にベルゼが魔力吸収で残らず抜き取り、折れてしまった剣だ。
「待って。今何処から出したの。」
「亜空間?」
「意味が分からない。」
「ティア。ベルゼは特殊な出自なの。」
「それ、昨日も言ってたけど、特殊過ぎるでしょ!」
「まあまあ!」
そう言ってベルゼは2つに折れた剣を差し出す。
「この模様…!間違いない!この剣は私の師匠が使っていた、"エターナルイデア"!!」
「え、師匠さんの剣なの?」
「間違いない。この剣で何度も稽古をつけてもらった。」
「え…ごめん…折っちゃったけど…」
「大丈夫、この剣は折れても再生するから伝説の剣と呼ばれていたの。エクスカリバーと勘違いされるけど、実際は違う剣なの。この剣は折れたり刃こぼれしても魔力を流すと再生する。」
「そうなの!?」
「すごいなそれ…!アイツ折れた剣は要らないって捨ててったけど…」
「知らなかったの…?それにしても、師匠の剣をやはりモールが持っていたとは…。」
「なんであのクソ勇者が持ってたんだ?」
「分からない。でも噂でモールが伝説の剣を持ってるって聞いて…気になって噂を集めていたら、師匠の剣に似ていたから。」
「そうなのか…」
「話を戻すけど、この剣は流した魔力の量によって剣自身が放つ魔力が変わるの。師匠は光属性だったから光を放っていたと思うけど…」
「放ってた。でもあのクソ勇者も光は属性だったな…。剣が放ってた魔力に比べると弱い魔力だったけど。放ってた魔力を吸収したら折れたんだけど、俺、光に弱いから、かなりのダメージ入ったんだよね。」
「魔力を…吸収…?」
「あんまりできないけど、外から魔力を吸収できるの。光は苦手だから俺にダメージが入るけどね笑」
「……前からおかしいとは思ってたけど…なんなのあなたは!」
「ティア諦めなさい、ベルゼは特殊なの。」
「なんでリエルは納得できてるの!?」
「びっくり箱過ぎてとっくに諦めたのよ!」
「なるほど……」
酷い言われようである。
そしてティアは納得しないでほしい。
「それじゃティア、この剣いる?」
「いいの!!!??」
「うん。だって俺、剣はメインで使わないし。今の剣で十分だし。持ってても今まで通り"収納"に入れっぱなしだし。」
「本当に良いの!?」
「うん…え、要らないならしまっとくけ…」
「ありがとうベルゼ!!」
ベルゼからひったくった半分に折れた剣を大事そうに見つめるティア。
「……とりあえず、質問タイムは終わりにして良いかな?」
「「うん(っ)」」
「そしたら今後どうするかを話そうか。ティアには改めて言うけど、俺たちは悪い魔物をこの世界から全滅させるために色んな所に行く事になるからね。」
「承知してる。」
「とりあえず今決まってるのは、クロの故郷に行くくらいだよね?」
「そうだね。クロ、連れてってもらえるんだよね…?」
『昨夜から今朝にかけて確認しに行ったゆえ地理は問題ない。ここより東に行った所にある"ライアダム山"の近くになる。』
「あ、わざわざ確認しに行ってくれたんだ。」
「当然、主を招待するからにはな。それに影を渡り歩けば夜は早く移動できる。」
「"影縫いの歩"だっけ?あれ便利だよね〜。わざわざありがと。」
「礼には及ばぬ。」
「それでなんだっけ…ライアダム山?」
「ライアダム山はたまに噴火する火山だよ!」
「火山…か。その近くまで行くって大丈夫なの?」
「私達なら大丈夫だと思うよ!今、火山活動は大人しいらしいし!」
「リエルが言うなら良いか…」
『火口に行くわけではないゆえ安心すると良い。』
「ふむ…なら行こうか」
前世では火山が噴火した時、甚大な被害がもたらされていた。その火山の近くに行くと言うのはなかなかに怖いのだが、現地人が大丈夫と言うなら大丈夫なのだろう。と強引に納得するベルゼだった。
「とりあえず次の目的地はクロの故郷ね。ティアも行きたいところがあるなら言ってね」
「分かった。急ぎではないけど、王都には行ってみたいかな。」
「王都か!俺も行った事ないし、いずれは行きたいな!」
「じゃあクロの故郷の次に行く予定にしよ!」
「そうだね!」
次の目的地は決まった。
人間の住む大陸と獣人が住む大陸の境にあるという、クロの故郷。つまりクロは帰郷になる訳だ。
ティアとベルゼの要望でいずれ王都にも行く事になりそうだ。この世界に来てから未だに王都へは行った事がなかったが、一体どんな所なのか。今から楽しみなベルゼは完全に旅行気分だが、王都ではのんびり観光などをする余裕がなくなる事をこの時のベルゼには知る由もなかった。
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